都立国立高進学【保護者】2025受験体験記(M・Hさん)

Tに翼

都立国立高 進学
併願合格校:栄東高、巣鴨高、西大和学園高、早大学院

M・Hさん
●お子さまの名前 Tさん
 国立校

第一志望校の合格発表後に息子が真っ先に報告へ向かった先は、サピックスだった。

その肩に降りかかる冷たい雨粒は、霙のようにも見えた。

息子は学校の勉強より、音楽に夢中だった。強制されることを拒否し、学校への不信感を臆することなく口にする。勿論、内申点はなかなかとれない。

そんな息子にとってもサピックスの授業は面白く、毎回の模試やSS特訓は刺激になったようだ。

先生方にはいつも絶妙なタイミングでフォローしていただいた。何をしても周囲に反対されるなか、「戦えるよ」と背中を押してくださったのはサピックスの先生の他にはほとんどいなかった。

適度な距離感で辛抱強く励まされ、ついには反応の薄かった本人が面談で「上を目指したい」と言い出した。決して強いられたわけではない。

しかし、ノートはとらない主義で答案は殴り書き派だった息子が、少しずつ変わり始めた。その後、受験が終わるまで楽器は屋根裏へ封印されることになった。

特に、演習でとんでもない点数をとってしまった後と、いつも強がっていても入試本番では緊張したのか、うまくいかなかった日にいただいた電話は有難かった。親からの安易な気休めより、たくさんの受験生を見てこられたサピックスの先生方の言葉は何より響いたのだと思う。

少なくとも、志望校を下げずに挑戦したことには大きな意味があった。テキストや難関校の過去問を数多く解くうちに、息子は出題者の意図や問われていることの目的を考える力がついていたようだ。

第一志望校の試験は思いのほか解きやすかったそうで、明らかに足りない内申点をカバーして合格することができた。

塾で勧められた英語の長文音読と海外ニュースの視聴も非常に効果があり、実は今でも家族で続けている。いつかこの夜の奇妙な朗読会を懐かしく思い出してくれるだろうか。

部活と趣味と勉強で忙しく、試験中に体調を崩してしまったこともあった。深夜まで問題を解いて目の下にクマを作り、パジャマの上にコートを着て急ぎ塾へ向かったこともあった。

付属校への進学も考えたが、息子は大学受験をしたいと言った。土砂降りでも大志を抱いて前へ進む姿をしみじみと嬉しく思う。どこかに存在していたスイッチがいつのまにか入っていたのかもしれない。

自分の行きたい場所に飛んでいけたら、M沢K治の教え子のように、パイプオルガンでも何でも思いのままに弾くがいい。

先生方、3年間ご指導いただき本当にありがとうございました。