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【2023年高校入試分析】開成高・筑波大学附属駒場高

入試分析

受験者動向

開成高の受験者数は一昨年、新型コロナウイルス感染症の影響で500名を切りましたが、今年は555名でした。合格者数はここ4年ほど大きな変化がなく、今年は189名でした。

一方、筑駒高は出願者数・受験者数ともにあまり変化しません。辞退者がほとんど出ないので、募集定員40名に対する合格者数は例年45名程度です。

調査書について

開成高の合否は学力試験と調査書で総合的に判定されることになっていますが、ほぼ学力試験で決定されます。

それに対し、筑駒高では5教科500点(各教科100点)の学力検査と調査書100点の合計600点満点で選考されます。うち調査書100点については、実技系4教科の内申点を換算すると公表されています。

学力検査について

開成高は例年、受験者と合格者の教科別平均点を発表していますが、ここ数年、合格者と不合格者の点差が最も開くのは数学、次に英語という傾向があります。今年は数学で21・7点、英語で16・2点の差が開きました。このデータから開成高合格には数学と英語の力を付けることが特に重要であると分かります。

筑駒高は毎年、合格者最高点と合格者最低点を発表しています。600点満点で、今年の最高点は455点、最低点は378点。この数字を参考に計算すると、平均して1教科当たり70点から60点までを得点している生徒たちが競い合っていると考えられます。

入試問題分析

英語

開成高の難度は年によって変わりますが、合格者と不合格者の平均点の差は大きく変わりません。それは難度にかかわらず差がつく問題が出ていることを意味します。問題数の4割が文脈理解(長文読解)で、語彙、リスニング、文法もバランス良く出題され、長文読解ではただの内容理解だけではなく、文法や語句の高度な知識も問われます。問題の難度別割合は今年、基礎44%、標準40%、応用16%。合格目安の70%を正答する鍵は標準問題が解けたかどうかでした。

筑駒高は記述問題が多いのが特徴です。今年は小問22問のうち12問が記述問題でした。平均点は非公開ですが、難度は昨年より上がった印象です。読解では文中に明記されていないことを読み取る力、条件に合わせて的確に説明する力が必要です。

両校とも語彙、文法、リスニングの対策が必要なことに加え、開成高は素早く問題を解く力が求められます。演習などを通して必要な力を身に付けましょう。

数学

開成高の今年の受験者平均点は過去10年で2番目に高い56・8点でした。典型問題や丁寧な計算処理が求められる問題など、さまざまなタイプの問題がバランス良く出題されていたことが得点の高さにつながったといえます。

筑駒高は毎年、同じ4単元から出題され、開成高と同様、解答用紙に解法や計算を記述することが必要です。また、試験時間が45分間と短いので、取り組む問題の選択や順番を判断する力も求められます。加えて1問の配点が大きいので、基本レベルの問題は取りこぼせません。

両校とも、単に解答するだけでなく、根本的な意味や結果に至るまでの過程を理解することこそが重要です。解法を自分で整理して書く習慣を身に付けましょう。

国語

開成高、筑駒高、共にほとんどが記述問題です。開成高は一昨年、長く続いた3題構成を2題構成に変更しましたが、昨年からは従来の構成に戻りました。筑駒高は昨年、問題の文章量が大幅に増えましたが、今年は元に戻っています。最新の話題に関する文章から出題されるのが近年の傾向で、今年はAIやロシアの内情をテーマとする文章が出ました。知識問題は両校とも少なめですが、確実に得点することが大切です。

現代文の読解では、開成高は記述に字数制限があるので、簡潔にまとめたり、書きたい事柄から重要なものを選んだりする力が必要です。筑駒高は試験時間が短いので、一読で理解し、記述問題を1回で正しく書き切れるようにしましょう。

理科

両校とも基礎的な問題の割合が高く、今年は開成高が73%、筑駒高は50%でした。開成高の場合、基礎問題の取りこぼしを減らすことが合格の鍵です。さらに標準・応用レベルの問題でプラスアルファの得点を目指しましょう。筑駒高はその年の問題の難度別割合によって目標点が変わりますが、基礎レベルの問題を全て正解し、標準レベルの問題の半分以上を正解することが一つの目安です。

両校に共通する学習法は、基礎レベルの知識や計算方法を完璧にすることです。また、難関校でよく出る問題を解いて、本質の理解に努めましょう。

社会

ここ数年、開成高の社会は合格者平均点が低下傾向にあります。学習指導要領の改訂で教科書の内容が充実化しましたが、その中でもさらに細かいところの知識が必要となる問題が増え、全ての受験者にとって解きづらくなっていることが原因と考えられます。

筑駒高の特徴は正答を複数選択する出題形式ですが、昨年以降は易化傾向です。取り組みやすくはなりましたが、それでも他の難関校より高難度です。

両校とも教科書の内容は当たり前として、さらに踏み込んだ部分まで学習するようにしましょう。

  • この記事は2023年3月19日()に実施したイベント「高校入試分析会 2023」のダイジェストです

 

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