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【2023年高校入試分析】早慶高〈男子〉

入試分析

入試の概要

早慶高の一般入試では、各校で英数国の筆記試験が課され、それに加えて早大学院では小論文が、慶應義塾高と慶應志木高では2次で面接が課されます。なお、早大本庄学院の2次の面接は2020年に廃止されました。

試験日程は以下の通りです。慶應志木高の2次と早大学院は同じ2月11日なので、どちらかしか受験できません。ただし、慶應志木高が第一志望で、2月7日の一次に不合格だった場合は早大学院を受験できるため、両校とも出願する人は毎年多いです。また、慶應義塾高の一次と早実高の試験日である2月10日は開成高、中大附高、桐朋高などの人気校と日程が重複しているため、慎重な決断が求められます。早大本庄学院の2月9日は他の早慶高と重ならないため、早慶志望者の多くが受験します。

各教科の傾向と対策

英語

どの学校も長文の文字数が多く、速読力が求められます。早大本庄学院は一見語数が少なめですが、選択肢が長文です。また、早実高は試験時間が長いですが、他校にはないリスニングがあります。

長文は、設定がイメージしにくい物語文や、SDGs関連の社会問題を取り上げる説明文など、内容が高度で難解。高校範囲の語彙や文法が出題されるので、英語力の土台となる語彙・文法知識を拡充しましょう。また、精読をベースにした多読・速読の反復、英語と日本語の記述力を磨くために、テキスト単元ごとに全ての例文を定着させるなどの対策が必要です。

数学

慶應義塾高は例年、計算量が多いため、解きやすい問題を見極める力と時間配分がポイントです。早大学院も序盤に難問があったり、図をかく問題が多かったりするためスピーディーに解き進める必要がありました。一方、早大本庄学院は計算過程に文字を含む問題が多くなり、高い精度の処理能力が必要になりました。慶應志木高は作図の代わりに証明が出題されました。早実高は典型問題が多く、ケアレスミスには要注意です。

早慶高の数学の入試問題は図がかかれていなかったり、不正確だったりするので、普段から適切な図を自分でかいて解く習慣を付けましょう。計算力の強化も重要です。途中式を計算しやすい形に工夫するよう心掛けるとともに、数多くの問題に当たって取り組むべき問題を見極める力を身に付けましょう。

国語

早大学院は例年、論説文+論説文+古文、早大本庄学院は論説文+小説(随筆)文、早実高は論説文+小説文+古文という問題構成です。慶應志木高は毎年構成が異なる不定型です。慶應義塾高は現代文+現代文ですが、難解な文語文からライトなコラムまで、内容は年ごとに一変するため、慶應2校では柔軟な対応が求められます。読解問題の傾向は、早大学院が記号選択・抜き出しが多く、慶應義塾高、早大本庄学院、早実高は選択と記述のバランス型。慶應志木高は記述重視からバランス型まで年ごとに変わります。

早慶高合格のために必要なのは、標準問題に正答する精度を上げること。標準問題とは学習を積み重ねてきた受験生が実力通りに得点できる設定の問題のことで、この問題の正答率が合否を左右します。安定した得点源を確保するために、まず知識の強化が最重要です。知らない語句に出合ったら意味を調べるようにしましょう。そして読む力の強化も必須です。各校とも解答の根拠となる部分が傍線部や空欄部から離れた場所にあるケースが多いため、文章全体を俯瞰する視点を養うことも大切です。普段からできる対策としては、演習時に文章の要所に線を引く、演習後に文章を要約するなどがお勧め。出題傾向が不安定な慶應志木高は、場当たり的な解き方ではなく、毎回同じ解法を心掛け、解答の方針をきちんと立てる意識を持ちましょう。

入試データ分析

SAPIXの偏差値(一般的な模試の偏差値より10~20ポイント低め)での合格可能性80%ラインは、慶應義塾高58、慶應志木高62、早大学院57、早大本庄学院58、早実高57。慶應志木高だけ高い要因は、開成高をはじめとした難関校との併願者が多いことです。

合格者と不合格者の平均偏差値を見ると、各校とも英語で最も差がついていて、その差は6・4〜9・9でした。つまり、早慶高に合格するには英語の実力が必須。さらに、英語を含め武器になる教科を最低二つは持つことが必要です。

そこで、まず中2までに正しい学習習慣を身に付けましょう。決まった時間に机に向かい、問題を解いたら答え合わせをして、間違った問題は必ず復習してください。また、中2までに志望校を決め、「自分は○○高に行きたい」と宣言することはモチベーションの維持につながります。中3になってからは現実を直視し、苦手克服に早めに着手することが重要です。模試の結果に一喜一憂せず、復習を徹底しましょう。

  • 参考:高校受験合格偏差値
  • この記事は2023年3月19日()に実施したイベント「高校入試分析会 2023」のダイジェストです。