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英語スピーキングテスト「ESAT-J」初年度の結果

学習アドバイス

東京都教育委員会が2019年度より実施に向けてプレテスト等を行ってきた、中学校英語スピーキングテスト「ESAT-J」。2022年11月27(日)にいよいよ本実施となり、その結果が2023年2月の都立高校入試で活用されました。ここではESAT-Jの基本情報から、2022年度の実施概要と結果、今後の学習法などについてお伝えします。

  • 本記事は、2023年5月23日(火)時点の情報をもとに制作しています。

ESAT-Jとは? ~基本情報~ 2022年度の結果 SAPIX生へのアンケート結果

ESAT-Jとは? ~基本情報~

目的とこれまでの経緯

東京都教育委員会(以下、都教委)が中学校3年間で培われた英語の「話すこと」の能力を測ることを目的として導入した、東京都中学校スピーキングテスト「ESAT-J」。対象は、東京都内の公立中3生(志望校を問わず)でした。また必要な場合は、都内在住の国私立中生も受験可能でした。テストの結果は都立高校入試に利用されます。実施に向けて、2019年度より「プレテスト」を行い、出題内容の妥当性や採点の精度、運営方法などを検証してきましたが、2022年度の中3生より試験が本実施され、7万名弱が受験しました。大きなトラブルなく終了し、その結果が2023年2月に行われた都立高校入試に活用されました。

なお、2023年度から中1・2生にもスピーキングテストを実施する方針が公表されています。

実施方法

毎年度11月の第4土曜日から12月の第2日曜日の週休日、または祝日に、都立学校や民間施設などを会場として実施されます。2022年度は11月27日(日)〈予備日12月18日(日)〉に実施されました。受験回数は1人1回までで、受験料は都が負担。出題内容は中学校学習指導要領に準拠したもので、試験はタブレット端末、イヤーマフ(防音用)、イヤホンマイクを使用し、解答音声を録音する形式です。

評価方法と活用の仕組み

ESAT-Jでは、「話すこと」の学習の到達度がA~Fの6段階で評価され、1月中旬に本人および中学校に評価を返却されます。調査書の記入欄に評価が記載され、都立高校へ提出される仕組みです。

都立高校入試(第一次募集・分割前期募集)では、学力検査の得点(5科・700点満点)と調査書点(9科・300点満点)に、このESAT-Jの点数(20点満点)を加算した総合得点で合否が決まります。スコアはそれぞれ、A評価→20点、B評価→16点、…F評価→0点というように、20点~0点の4点刻みで算出されます。

2022年度の結果

実施概要・結果

都立高校入試での活用初年度である2022年度のESAT-Jは、2022年11月27日(日)に実施されました予備日2022年 12月18日(日)。申込者数は76,267人、受験者数は71,197人(予備日含む)でした。

受験者の平均スコアは60・5。前年度に実施された確認プレテスト②では53・7で、6・8ポイントの上昇となりました。A~Fの段階別評価の分布状況は、下の一覧表の通りです。

2022年度の出題内容

ESAT-Jの問題は、PartA 「英文を読み上げる」、PartB「質問を聞いて応答する/意図を伝える」。PartC「ストーリーを英語で話す」、PartD「自分の意見を述べる」の四つのパートで構成されています。三つの評価の観点(A.コミュニケーションの達成度/B.言語使用/C.音声)が設定され、それぞれのパートでこの観点に則り評価・採点されます。この形式に沿って、2022年度は下記の通りに実施されました。

SAPIX生へのアンケート結果

SAPIX生 受験概況

アンケートの結果、SAPIX生のESAT-J受験結果は、段階別評価のA評価が70%を占めており、東京都全体の平均(A評価16.8%)を大きく上回りました。とはいえ、テストの難易度についてはSAPIX生の30%が難しいと回答し、簡単と回答したのはわずか11%でした。油断せずに日頃から英語のアウトプット学習にしっかりと取り組むことが重要です。音声のスピードは、SAPIX生の大多数が「SAPIXの教材やテストと比較して同じくらいまたは遅い」と回答。Best Teacherの「英語オンライン・レッスン」や英語音声ダウンロードなどを活用して、スピードに慣れておきましょう。

SAPIX生 アンケート・感想

以下は、SAPIX生へのアンケート結果と感想・アドバイスです。次年度以降の受験生は、必ずチェックしておきましょう。

  

\SAPIX生の声/
Q.テストの印象はどうでしたか?

  • 質問は簡単に聞き取れたが、意見・理由を考えるのは難しかった。
  • 自分の考えをメモできないので、忘れてしまう。
  • 英検®準2級の方が難しかった。

 

\SAPIX生の声/
Q.タブレット端末やマイクなどの機材はスムーズに操作できましたか?

  • イヤーマフの締め付けが結構強く、少し耳が痛くなった。
  • タブレット端末から流れる説明のスピードが速いと感じた。
  • 2回しか操作説明がされないので注意すること。

 

 

\SAPIX生の声/
Q.「こういう練習をしておくと良い」など、アドバイスをお願いします。

  • PartCの4コマの説明では、場面と場面をつなぐ言葉を頭に入れておこう。
  • SAPIXの英語オンライン・レッスン(Best Teacher)が効果的だった。
  • SAPIXの「都立スピーキングテストプレ」を受験しておくことがお勧め。
  • 時間を測って解答する練習を積んでおこう。
  • 英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

今後の学習法

都教委の特設ページに、過去の問題スクリプトや解答例、英語力アップに向けたアドバイスなどが掲載されているので、ぜひ、チェックしてみましょう。

英語で自分の意見を表現するための土台は、語彙と文法です。これらは、SAPIXの授業や、テキストを使った家庭学習を通して身に付けることができます。基本例文を覚えることで表現の幅を増やすことができるため、中1~3のテキストに掲載されているKey Sentencesを音読するのも効果的です。

また、SAPIX中学部ではアウトプット対策として、さまざまな家庭学習ツールを導入しています。中3生は英語オンライン・レッスン(Best Teacher)を最大限に活用しましょう。小5~中2生は、MyETを使用して声に出して発音練習をし、単語の正しい発音を身に付けましょう。また、全学年で配信されている英語音声ダウンロードもしっかり活用し、アウトプット力の強化につなげましょう。

さらに、SAPIX中学部では、都教委が過去に実施したプレテストを研究して作題した公開模試「都立スピーキングテストプレ」を実施しています。実際のESAT-Jと同様にタブレット端末・ヘッドセットを使用して実施するため、本番に近い環境で予行練習をすることができます。本模試を受験して出題形式やテストの緊張感に慣れ、本番のテストに余裕を持って臨みましょう。

【「ESAT–J」の対策にも有効】
中3生必修 英語オンライン・レッスン