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【2023年高校入試分析】早慶高〈女子〉

入試分析

入試の概要

慶應女子高と早実高では、一般入試における過去5年間の志願者数について、コロナ禍や早実高の定員削減の影響をあまり受けておらず、大きな変更はありませんでした。早大本庄学院の志願者数は、2020年の2次試験(面接)廃止で増加、コロナ禍の2021年は遠距離受験・通学への懸念からか減少し、翌2022年はその反動で増加、2023年は前年の揺り戻しによりやや減少しました。とはいえ、2次試験が廃止され受験しやすくなったことから、慶應女子高と早実高を受験するSAPIX生の8割が早大本庄学院を併願しています。

各教科の傾向と対策

英語

慶應女子高では、2021年より大問1がリスニングから資料の読み取り問題に変更となり、解答にかなり時間がかかります。早実高は3校の中で最も読解問題の語数が多いことが特徴です。また、早大本庄学院の総語数はやや少なく見えますが、各設問の選択肢が長文で、本文に加えて読まなければならない英文が多くなっています。総じて、早慶高の英語対策には速読力が必要です。加えて、先に設問に目を通して読み取るべき情報を整理したり、重要箇所に線を引きながら読んだりするといった読解のコツも身に付けておくことが求められます。なお、各校の長文のテーマを見ると、環境や貧困などSDGsを意識した社会問題が取り上げられるケースが増えています。

対策として重要なのは、まず語彙・文法知識を拡充すること。これが速読力や読解力の土台になります。また、社会問題を扱った題材での演習が有効です。記述力を磨くことも重要で、特に英文に関しては、テキストの各単元の例文を暗唱できるレベルになるまで繰り返し発音練習しましょう。

数学

慶應女子高は全ての設問で解法の記述を要求されます。2023年は、難度はそれほど高くありませんでしたが、その分確実に正答する精度の高さが求められました。早実高は、作図や関数で処理に時間がかかる問題がありましたが、内容としてはどれも典型的でした。早大本庄学院は、2023年は特に計算過程に文字を含んだ問題が多く出され、処理能力の高さが求められました。例年より難度は高かったといえます。

対策としては、関数・図形など頻出単元の標準問題を数多く解き、解法をマスターしておくこと。また、慶應女子高では与えられた図が不正確なことが多く、早大本庄学院では図が与えられないケースもあることから、自分で適切な図をかく習慣を付けることも大切です。さらに過程の複雑な計算にも対応できるように計算力を強化するとともに、より良い解法を見つけることも意識しましょう。

国語

2023年の国語の大問構成は、慶應女子高が60分で論説文+古文+小説文の3題。慶應女子高は近年、大問の構成が年ごとに変わっていましたが、今年は従来多く見られる形に戻りました。早実高が60分で小説文+論説文+古文の3題。早大本庄学院が50分で論説文+小説文の2題。この3校の中では早大本庄学院のみ、古文単独の出題がありません。早実高と早大本庄学院の構成は例年この形で安定しています。慶應女子高は3校の中で記述が最も多いのが特徴です。知識問題も多く、文法・文学史・古典常識・語句など幅広く出題されます。早実高は、かつてはほとんどの問題が記号選択でしたが、近年は記述問題も出されるようになっているので、対策が不可欠です。早大本庄学院は記述・記号選択・抜き出し・知識とバランス良く出題されます。

なお、慶應女子高では国語とは別に60分600字以内の作文も課されます。

入試データ分析

サピックスオープンにおける合格可能性80%ラインの偏差値は、慶應女子高が62、早実高が59、早大本庄学院が60です(一般的な模試の偏差値より10〜20ポイント低め)。なお、早実高と早大本庄学院については、女子は男子より2ポイントほど合格ラインが高くなっています。

合格者と不合格者の平均偏差値を比べると、早大本庄学院では英語で最も差がついており、早実高では英語と国語の偏差値の高さが重要でした。慶應女子高でも英語で差がつく傾向が顕著でした。慶應女子高の合格者の英語偏差値は57以上に集中しており、国語でも同様の傾向がみられます。

早慶高合格のポイントは、英語の実力を鍛えるとともに、英語を含め、得意教科を二つ以上持つことです。中3までに正しい学習習慣と基礎学力をしっかり身に付け、極端な苦手をつくらず、得意教科を作る(できれば英語)こと。また、第一志望を早めに設定すれば合格に向けてのプランが作りやすくなります。中3になったら、合格の形をしっかり思い描き、苦手教科の克服は夏前に本格始動すること。第一志望を早めに宣言して、最後まで諦めずに走り続けましょう。

  • 参考:高校受験合格偏差値
  • この記事は2023年3月21日(火・祝)に実施したイベント「高校入試分析会 2023」のダイジェストです。