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東京学芸大学附属高等学校(一般) 2024年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

1 リスニング問題:小問数5

英文の放送を聞き、質問の答えとして最も適切なものを選ぶ問題です。2023年と同様、英文の放送は1回のみで質問は問題用紙に印刷されていました。何を聞き取るべきか分かりやすいものの、集中して聞き取る必要があります。

2 物語文の読解(約560語):小問数14

フルートを演奏することが好きな少女が、ある日けがをした小鳥を見つけ、その鳥と一緒に、音楽で成功を収めていく様子を描いた物語文です。問2は、第3~第6段落に相当する英文のまとまりを、正しい順に並べかえる問題でした。問5~問9は問題文も英語で書かれる、東京学芸大附高の過去の入試問題ではほとんど見られない形式でした。しかしながら設問は読みやすい英文だったので、得点しやすかったと思われます。

3 物語文の読解(約670語):小問数14

50代半ばに脳卒中で倒れた女性が、近所に住む男性の優しさに触れ、後に彼からプロポーズされるまでを描いた物語文です。問1は第一段落末尾にある複数の空所を補う英文を順番に答えるものでした。また、問4は物語後半における二人のセリフを、選択肢から一つずつ補うものでした。空所の数より選択肢が多く、慎重に選ぶ必要がありました。

4 説明文の読解(約650語):小問数13

数占いあるいは数秘学と呼ばれる、数によって導き出される物事の本質や人間の性格などについて書かれた説明文でした。問1は、本文中の空所に適切な語句を補う選択問題でした。解答しやすいものが多かったなかで、(え)は難しかったと思われます。また問3、問4では本文中に書かれた数秘学の例を参照し、数字を求める必要がありました。提示されたルールや手順をしっかりと把握し、時間をかけずに素早く解答したいものでした。

数学

1 小問集合

(1)平方根の計算、(2)2次方程式、(3)二次関数の変化の割合、(4)確率でした。どれも基本的な問題なので、計算ミスや数え漏れに気をつけて短時間で完答したい大問でした。

2 単位の文章題

文字式の各項の単位を換えたときに、それぞれの係数がどのように変化するかを考察する問題でした。見慣れない問題ですが、難度が高いわけではないので、落ち着いて手早く正解したいところです。

3 座標平面上の動点

座標平面上を平行移動する線分についての問題で、小問ごとに異なる図を自分で描く必要がありました。(1)(2)は基本的な内容でした。(3)は与えられた角度の条件をどのように使えばよいか分かりづらく感じた受験生もいたことでしょう。

4 座標平面上の動点

座標平面上の動点を1つの頂点とする相似な三角形について考察する問題で、大問3と同じく、小問ごとに異なる図を自分で描く必要がありました。(1)(2)は確実に正解したい問題です。(3)は、与えられた条件から分かる図形的な性質を組み合わせて解く必要があり、正解できた受験生は少なかったと思われます。

5 空間図形

錐体の切断の問題で、(1)は体積比についての独立の小問、(2)(3)は線分比についてつながりのある小問という珍しい形式でした。類題を解いたことがあると思われますので、できれば完答を目指したい大問です。ただし、(3)は四角錐の形が具体的に定まっていないため、戸惑った受験生もいたかもしれません。

国語

1 市橋伯一『増えるものたちの進化生物学』

生物の進化について論じた文章からの出題です。随所に具体例が用いられていたため、文章の内容は把握しやすかったと言えます。例年通り設問は記号選択形式がほとんどで、内容理解に関するものが中心の構成でした。間違っているものを2つ選ぶ記号選択は、解答の根拠とすべき箇所が指定されていたため、しっかりと得点したいところです。適切な接続語の組み合わせを選ぶ形式の空欄補充も、まぎらわしい選択肢がなかったので、なるべく失点は避けたいところでした。

2 川上弘美『真面目な二人』

主人公と同じ大学に通う女の子とのやりとりを描いた小説文からの出題です。難解な表現が少なく、会話文が多用されていたので、読みやすい文章でした。登場人物の心情に関する記号選択が複数出されましたが、いずれも傍線部の前後を丁寧に読むことで対応できるものでした。一部、まぎらわしい選択肢のある記号選択もあり、文章の展開をしっかりと把握したうえで解答する必要がありました。そのほか、本文の表現に関する設問も出されています。

3 『十訓抄』

鎌倉時代の説話集からの出題で、蹴鞠を好む男性の身に起きた出来事について筆者が意見を述べる文章です。文章は短いものの、大意を理解するには引用されている比喩表現を適切に理解したり、注釈をしっかりと確認したりする必要がありました。古文の解釈に関する記号選択3問では、文章を正確に訳出する力が求められました。古文単語の意味を答える記号選択が2問出されていますが、いずれも標準的な難度だったので、確実に正解したいところです。

理科

1 火山、地層(地学)

前半は火山に関する知識を確認する問題、後半は柱状図の読み取りに関する問題でした。典型問題で構成された大問だったので、取りこぼしなく解ききりたいところです。

2 物質の特徴(化学)

氷を加熱する実験の結果について考察する問題でした。正確に解き進めることが求められたうえに、見落としがちな観点の出題もあったため、解きにくさを覚えた受験生もいたことでしょう。

3 電流、磁界(物理)

電流と磁界に関する総合問題で、基本事項の定着を確認する内容でした。いずれも基礎から標準レベルの問題で、高得点が狙える大問でした。

4 生態系、植物(生物)

生態系に関する総合問題と植物に関する知識問題でした。問われている知識はいずれも基本的なものなので、この大問でのミスは避けたいところです。

5 天気、天体(地学)

天気と天体の総合的な理解度を測る大問でした。大問自体は典型問題が中心なので、取りこぼしは最小限にとどめたいところです。

6 中和、イオン(化学)

中和反応の実験についての会話文を読んで解く問題でした。典型問題も含まれていましたが、受験生にとってはやや見慣れないテーマが扱われていて、難度の高い内容だったと言えます。

7 力、運動(物理)

力と運動について、幅広く理解できているかどうかを確認する問題でした。取りこぼしは最小限にしたい大問でした。

8 人体、微生物(生物)

人体に関する知識と実験結果を組み合わせて解く問題でした。標準レベルの知識も問われ、学習量が得点差につながる出題も見られました。

社会

1 世界地理

アフリカに関する問題でした。難解な問題はなかったものの、歴史・経緯度・気候・産業・貿易など資料や写真を用いて、アフリカに関するさまざまな知識が問われました。

2 日本地理

近畿地方の産業・人口・観光に関する出題でした。統計資料の読解問題は、定番のものだけでなく、ほかの高校では出題例が少ないものもありましたが、これまでに習得した知識と丹念に照らし合わせれば、十分に対応が可能でした。

3 政治

日本の政治に関する出題でした。選挙制度や政党に関しては、現代史をからめて、その変遷を問うものでした。また、例年出題されている3つの選択肢の正誤を判断する形式は、正確な知識を必要とするもので、2024年も継続して出題されました。

4 経済

消費や環境を中心とした出題でした。標準レベルの知識で対応できるものがほとんどでしたが、政治分野と同様に3つの選択肢の正誤を判断する形式の問題が2問出され、正確な知識の運用を求められました。

5 日本史

古代から近代にかけての日本の宗教を題材とした出題でした。史料の読み取り問題や旧国名に関する問題など、例年の傾向を踏襲したものであったため、過去の入試問題で演習を積んだ受験生には対応しやすい大問でした。

6 歴史総合

福井県の敦賀港を題材とした近現代の問題でした。大問5と同様の出題形式でしたが、全体的に大問5よりも難度は高めでした。地図上で位置を問うものや、人名を漢字指定で答えるものなど、普段から丁寧に学習しているかどうかが試されました。