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筑波大学附属高等学校 2024年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

1 リスニング問題:小問数6

男女二人の対話を聞いて、内容に関する質問に対して4つの選択肢から答える形式です。質問の英文は放送され、問題用紙には記載されていません。

2 物語文の読解(約1030語):小問数15

水泳部員である主人公が大会へ挑む際の苦悩、奮闘を描いた物語文でした。泳ぎ方に関連する単語を文脈から類推して読み進める必要がありました。物語の状況、展開を把握したうえで、本文の空所に入る適切な英文を選ぶ問2は筑波大附高の典型的な問題です。また、会話表現の知識が要求される問4は解答の選択に迷った受検生もいたと思われます。文章も2023年と比較すると長くなり、読解、文法、語彙といった英語の総合力が問われる大問であったと言えます。

3 物語文の読解(約1030語):小問数12

怠け者だった主人公と妖精とのやり取りを描いた物語文でした。大問3も大問2と同様、1000語を超える長文で、本文を読む時間と設問にかける時間の配分を誤ると大きな失点につながってしまいます。物語の理解度を測る設問が中心で、問1では本文の細部に注目して解答を導き出す設問がある一方で、問8の適語補充問題は物語を俯瞰的に捉える必要がありました。下線部の内容を日本語で説明する問5においては、状況を正確に把握したうえで、簡潔な日本語で表現する能力も要求されました。

4 和文英訳:小問数4

英語の対話文中において、与えられた日本語を英訳する問題で、筑波大附高では頻出の形式です。くだけた日本語表現から適切な英語表現を想起できるかどうかがポイントです。既に書かれている英文にも注目し、代名詞や時制に注意を払う必要がありました。

数学

1 文章題

長方形の紙を用いて冊子を作ったときのページ数について考察する問題でした。状況を把握するのに時間をかけてしまった受検生もいたかもしれません。難度が高いわけではありませんが、手間のかかる大問と言えます。

2 データの活用

ある中学校のハンドボール投げの記録について分析していく問題でした。与えられた情報を整理するのに苦労した受検生もいたことでしょう。大問1と同様、時間内に完答するのは難しかったと思われます。

3 座標平面上の図形

座標平面上において、ある点を回転移動させた後の座標を求める問題でした。各小問が(4)への誘導になっているため、解法に困ることはなかったと思われます。計算ミスに注意して、完答したい大問でした。

4 空間図形

立方体を2つの平面によって切断してできる立体に関する問題でした。(2)は断面図を描く形式でしたが、落ち着いて対応したいところです。取り組みやすい設定だったので、ミスに注意すれば高得点を狙える大問でした。

5 速さの文章題

2つの列車の速さや進んだ道のりについて考える問題でした。式を立てることは容易なものの、計算量が多いので手早く処理していく必要があります。最後の大問であることも加味すると、十分な時間を残せた受検生は少なかったと思われます。

国語

1 橋場弦『古代ギリシアの民主政』

近代民主主義とはどういうものかを考えるために、「語源」や「歴史」という観点から一つずつ丁寧に論じた文章からの出題です。2023年は随筆文からの出題でしたが2024年は例年出題されていた論説文に戻りました。内容が抽象的なテーマであったため、内容を把握するためには具体例や注釈に注目する必要がありました。2023年と同様に記述は2問出され、本文中の根拠となる単語を用いて分かりやすくまとめていく必要がありました。根拠とすべき箇所が明確だったので、解答をまとめるのに十分時間をかけられたと思われます。記号選択が5問出され、2023年同様、本文の論じ方を説明する問題も出されました。そのほか、漢字の書き取りが3問出されていますが、いずれも標準的な難度なので、失点は避けたいところです。

2 水野良樹『誰がために、鈴は鳴る』

病気のため休業している主人公が祖母の十七回忌のために7年ぶりに実家に帰り、姉とやりとりする場面を中心に描いた文章からの出題です。会話文が多用されていているので、読みづらさはありません。設問に関しては例年通り、記述・抜き出し・記号選択がバランスよく出されています。記述は2問で字数制限はありませんでした。いずれも本文の展開をしっかり把握できていれば記述に必要な要素は把握しやすいものだったので、記述に時間をかけて得点を積み上げていくことが重要でした。また、2023年に続き、語句の意味を選ぶものが3問出されました。記号選択では選択肢が1行と短い分、文章の正確な理解が必要です。抜き出しは標準的な難度であり、全体的にこの大問でしっかりと得点できるかどうかで点差が生まれたと言えます。

理科

1 天気(地学)

天気に関する基礎問題が中心です。天気図や海陸風に関する基本的なしくみを理解できているかどうかが問われました。(3)は、天気図から気温、湿度、気圧、天気の変化を判断する問題で、やや高度な分析力が求められました。

2 天体(地学)、電流、磁界、運動(物理)

天体の基礎知識の定着を確認する問題と、電流や磁界、運動に関する基礎から標準レベルの問題です。(2)は交流電源に関するやや細かい知識の問題と磁界の基礎問題、(3)は記録タイマーについての基本的なしくみの理解を確認する問題でした。また、(4)(5)は、台車にはたらく力と運動の関係についての出題で、標準レベルではあるものの、正確に理解しておかなければ間違えやすい問題でした。

3 物質の特徴、化学変化(化学)

(1)は濃度の違いによって生じる現象についての問題で、細かい知識を問われ、戸惑った受検生も多かったと考えられます。その他は密度や化学変化に関する基礎問題です。(2)(4)(5)は密度によって水に浮くかどうかを判断する基本的な問題で、(3)は典型的な化学反応式の問題でした。

4 動物、進化、人体(生物)、岩石(地学)

動物、進化、人体に関する基礎問題が中心です。(1)は動物の分類に関する基礎知識の問題でした。(2)は一見、生物の発展的な知識の問題に見えますが、岩石の基礎知識を活用すると消去法でも判断できる内容でした。(3)は進化に関する基礎知識、(4)は人体や動物についての基礎から標準レベルの知識が必要でした。また、(5)はだ液についての実験の問題で、情報量がやや多いものの、状況を落ち着いて整理できれば極端に難度の高いものではありませんでした。

社会

1 世界地理

地形・気候・産業・文化などが幅広く問われました。地形断面図や食料自給率に関する問題は、類題を解いたことがあるかどうかで正答率に差が出るものでした。

2 日本地理

地形図の読み取りや、硫黄鉱山に関して複数の資料を参照しながら解答する文章記述など、思考力・読解力・記述力を要するものが多く見られました。

3 古代~近世の歴史

資料をもとにした出題でした。文章記述問題を除いては、基本的な知識で対応できるものがほとんどであり、確実に得点したい大問でした。

4 近現代の歴史

ある碑文を題材とした出題でした。基本的な知識で対応できる問題がほとんどでしたが、大問3と比較して資料の数が多く、一つ一つの分量もあるため、資料を的確に読み取って、年代や歴史的事象を判断することが求められました。

5 政治

男女平等の実現を題材として、人権・裁判所・国際連合などに関して出題されました。語句記述やグラフの読み取り問題は容易に解答できるものでしたが、正誤問題は細かな知識を問うものや正しいものをすべて選ぶ形式のものがあり、難度は高めでした。

6 経済

身近な経済を題材に価格や税などについて問われました。ほとんどの受検生が知らない知識を、文章をヒントにその場で考えて解答する問題は例年通りの形式で、冷静に対応する必要がありました。