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早稲田大学高等学院 2024年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

A 適語句選択・適語補充・誤文訂正:小問数12

Ⅰでは動詞の語法が複数問われました。Ⅱでは2023年に引き続き会話調の日本語に合うように英訳する問題が複数あり、中学範囲を超えた熟語表現も問われています。Ⅲは品詞の理解がポイントでした。

B 説明文の読解(約790語):小問数19

表情が他人に与える印象について、笑顔に関するさまざまな研究をもとに述べた説明文です。Ⅱの並べかえ英作文は文脈理解だけでなく、品詞や語法などの知識も求められる問題でした。Ⅲ(4)は絵文字を選ぶ新しい形式でしたが、ヒントが近くにあるので確実に正解したい問題です。Ⅴでは2023年に出題がなかった発音・アクセントに関する知識が問われました。大問CとDも合わせると総語数が2000語を超えるため、読解のスピードも求められています。

C 物語文の読解(約800語):小問数7

主人公が聴覚障害のある両親を持つ転校生と友達になり手話を学ぶ物語文です。大問CとDでは設問や選択肢がすべて英語で書かれています。特に大問Cは解答の根拠となる箇所を素早く見つける力が求められました。本文中の手話を示したイラストを選ぶⅤは新しい形式です。

D 物語文の読解(約480語):小問数6

貧しい帽子売りの主人公が、娘の機転を利かせた行動により危機を逃れる物語文です。物語の展開を予測するⅢとⅤは思考力が求められます。Ⅳは単語本来の意味をそのまま答えるのではなく、物語の展開を理解してその場面での適切な解釈を考える必要がありました。解答用紙に書かれた英語に続けて自分の考えを述べるⅥの条件英作文は、2021年から連続で出題されていて、一文で簡潔にまとめる力が求められます。大問B~Dの長文読解では語注が1つもないため、豊富な語彙の知識も必要です。

数学

1 小問集合

(1)はさいころの場合の数、(2)は円と三角形、(3)は直角三角形の成立に関する場合の数の問題でした。(1)(2)は基本的な問題で、着実に正解したいところです。(3)は、問われている内容を把握するのに時間がかかった受験生も多かったと思われます。

2 空間図形

立方体の表面を通る最短経路、および、その経路上の点を通る平面による立方体の切断がテーマの問題でした。いずれの題材も、早大学院の受験生であれば類題演習の経験があったと思われますので、正答を積み重ねたいところです。(3)は、切断面の位置を捉えにくく、(2)までと比べて手間のかかる問題でした。

3 二次関数

放物線上の点を結んでできる図形の問題でした。文字を用いたまま計算を進める必要がありましたが、典型的な設定であり、作業量も多くはないので、着実に完答を狙いたい大問と言えます。

4 確率

立方体の辺上を一定の確率で移動する2点に関する問題でした。2つの点が同時に動くため、状況を把握しにくい設定です。(1)~(3)は、丁寧に調べられたかどうかで差がついたと思われます。(4)は、適切な解法を選択できたとしても、正答に至るのは容易ではなかったことでしょう。

国語

1 谷川嘉浩『スマホ時代の哲学』

スマートフォンが私たちの感性にもたらす変化について述べた論説文からの出題です。身近なテーマで、筆者の主張は理解しやすいものでした。抜き出しと不適切なものを答える記号選択中心の設問構成は変わらないものの、抜き出しが全3問と例年と比較して少なめでした。抜き出し3問はいずれも根拠のはっきりした標準的なものでしたが、記号選択4問は広い範囲から正誤の根拠を探す必要があり、難度の高いものでした。知識分野からは、空欄補充形式で語句を答えるものが3問と漢字が3問出ています。

2 池田賢市『学校で育むアナキズム』

「個人」という概念について改めてとらえ直して考察した論説文からの出題です。抽象的なテーマですが、例年より文章量は少なめでした。抜き出しは4問、不適切なものを答える記号選択は3問出されましたが、過去の入試問題で練習を積んできた受験生であれば時間に余裕を持って取り組める難度でした。そのほか、知識分野からは文学史が1問と漢字が3問出されましたが、いずれも標準的な難度だったので、合格のためには取りこぼしを避けたいところです。

3 『撰集抄』

語り手である西行が、出家した女性から聞いた話を紹介する文章からの出題です。物語の状況が読み取りにくいことに加え、展開も分かりにくく、読み取りに苦心した受験生も多かったと思われます。設問はすべて記号選択です。基礎的な知識事項も出されていますが、傍線部の解釈は全体的に難度が高く、受験生の想定より時間がかかる大問だったと言えます。