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慶應義塾女子高等学校 2024年出題傾向リサーチ(数学解答速報も公開中)

出題傾向リサーチ

英語

1 説明文の読解(約410語):小問数11

2023年までの図表の読み取り問題から、2024年は短い説明文の読解に変わりました。古代洞窟の壁画に添えられた手形についての文章を読み、要約文内の空所10か所に適語を補う問1と、本文最後の空所に入る適文を選ぶ問2の構成です。問2は2023年までの大問1に通じる、本文中の情報に基づき論理的思考力が問われる難問でした。

2 説明文の読解(約720語):小問数14

宇宙空間におけるソーラーパネルの活用についての説明文です。並べかえ英作文や内容一致など、慶應女子高の典型的な問題が多く含まれています。本文中の空所に入る語句を別の場所から抜き出す問6は、文章内をくまなく探す必要があり、時間がかかったと思われます。

3 対話文の読解(約420語):小問数10

飛行機が墜落したあと、熱帯雨林で40日間生き延びた子どもたちをテーマとした対話文です。本文内容に合う選択肢を答える問2は、本文に書かれている情報とそうでないものを素早く整理する必要がありました。問3は5つの文を話の流れに合うように正しい順番に並べかえる問題でした。

4 説明文の読解(約640語):小問数13

ジェンダーギャップについて述べられた説明文です。男女の賃金格差、時代背景など、社会が抱える問題をさまざまな角度から読み取る必要がありました。設問では、与えられた4つの見出しにふさわしい段落を選ぶ問1が特徴的でした。2024年はすべての大問で小問数が増加していて、例年以上にスピードが求められた年であったと言えます。

5 自由英作文:小問数1

diversityの意味と、それにまつわる受験生自身の経験を約50語の英語で答える自由英作文です。常日頃から時事関連の話題に関心を持つ姿勢と、短時間で英文にまとめあげる高い記述力が求められた難問でした。

数学

1 小問集合

[1]不定方程式、[2]食塩水の文章題の2問からなる小問集合でした。[1]は適切な式変形ができるかどうかが鍵でした。選んだ解法によって解の導きやすさが大きく変わるため、行き詰ってしまった受験生もいたと思われます。[2]は条件がシンプルで、立式後の計算もそれほど手間がかからないので、しっかりと正解したい問題でした。

2 場合の数

お釣りが不足しないような支払いの順番が何通りあるかを考える問題でした。穴埋め形式の誘導があるので方針は見えやすいと思われます。一方で、前の設問の結果を利用して答えを求めていく問題であるため、勘違いや数え間違いには注意が必要でした。

3 二次関数

放物線と座標平面上の図形に関する問題でした。面積を二等分する直線や等積変形など、頻出のテーマに関する出題だったので、慶應女子高の受験生にとっては比較的取り組みやすかったと思われます。

4 平面図形

[1][2]は三平方の定理に関する基本的な問題ですが、数値が少し複雑なため、計算ミスに注意する必要がありました。[3][4]は角の二等分線と垂線の活用に関する問題です。これ自体は頻出の内容でしたが、[2]までとつながりがないために戸惑った受験生もいたと思われます。

5 空間図形

立方体の中にできる正多面体に関する問題でした。よく見かけるテーマなので、できれば完答を目指したい大問でした。ただし[2](1)(2)は問題の意図を掴むのにやや苦労した受験生もいたかもしれません。


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国語

1 竹久夢二『新方丈記』

関東大震災を体験した筆者が被災後の見聞をまとめた随筆文からの出題でした。震災前の社会のありように対する反省と、新しい社会の実現に向けた展望とを、整理しながら読み進める必要があります。記号選択や空欄補充は標準的な難度のものが中心だったため、記述でどこまで得点を重ねることができたかが、この大問のポイントだったと言えます。また、文中に『方丈記』の一節が引用されているのも特徴で、古文の内容理解に関する設問が2つ出されています。古文が単独出題された2023年に比べると取り組みやすい難度でしたが、類推力を働かせて自分で言葉を補いながら考える必要がありました。知識分野からは、漢字・ことわざ・文学史に関する問題が出されています。

2 長谷川眞理子『進化的人間考』

高度な認知能力に基づく人間社会の特質について論じた文章からの出題です。対比構造は明確で具体例も豊富に挙げられているので、読み進めやすい内容だったと言えます。ただし、文章内容に関する○×形式の正誤判定が5問あるため、読みやすさにつられて細部の確認を怠ることがないように注意しなければなりません。記述は全3問で、理由説明や比喩の換言などが求められました。一部の問題では傍線部から離れた箇所を参照する必要があったため、これらに対応できたかどうかで点差が生じたものと考えられます。例年同様、品詞分解に関する問題も出されました。2023年に比べると傍線部を構成する単語数は減少していますが、各品詞に対する正確な理解が前提となっている点は変わりません。確実な得点源にするには、入念な文法対策が不可欠です。