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お茶の水女子大学附属高等学校 2023年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

1 リスニング問題:小問数4

男女の会話を聞き、問題用紙に書かれた質問の答えとして最も適切なものを記号で解答する問題でした。放送は1回のみのため、質問にあらかじめ目を通し、注意して聞くべきポイントを把握しておく必要がありました。

2 リスニング問題:小問数3

例年通り、放送される英文の一部を書き取る問題でした。英文は3回放送され、2回目の放送はゆっくり読まれるので、高得点を取りたい大問です。

3 説明文の読解(約740語):小問数13

時代や技術の変化にともなう小売店の規模や業態の変化についての説明文でした。例年通り、空所に適切な語を入れて要約文を完成させる問題で、単語の意味だけでなく文法の知識も試されました。

4 物語文の読解(約720語):小問数4

弟が、姉の作文をお手本にして書いた作文を発表する物語文からの出題でした。すべて日本語で記述する形式で、問題文の条件に沿った丁寧な解答が求められました。(4)は、文章の意外な結末を理解しているかどうかが問われました。

5 説明文の読解(約250語):小問数5

ゾウの群れの習性に関する説明文でした。本文の空所に合う英文を選ぶ問題で、紛らわしい選択肢はなく、全問正解したいところでした。

6 条件英作文(約170語):小問数4

例年通り、与えられている語句を順に用いて、不足している語を補い英文を完成させる問題でした。内容は分かりやすいものの、正解するには正しい語彙・文法の知識はもちろん、さまざまな表現を使いこなす力が必要でした。

7 自由英作文:小問数1

高校生は本を読むべきかどうかについて、自分の意見とその理由を40語程度の英語で述べる問題でした。例年通り身近なテーマで書きやすいぶん、時制や綴りなどの細かいミスに注意が必要です。

数学

1 小問集合

(1)式の値、(2)連立方程式、(3)確率、(4)作図の4問構成でした。(1)から(3)はミスなく確実に正解したい問題でした。(4)の作図は工程が多いため、何から手をつければよいか悩んだ受検生もいたことでしょう。

2 文章題

川をボートで往復する速さの文章題でした。(1)は文章をしっかり読んでミスなく処理したいところです。(2)は(1)で作った式をもとに計算していきますが、式変形が複雑なため、解答できた受検生は多くなかったと思われます。

3 関数

座標平面上の正方形を移動させる関数の問題でした。移動後の図形が与えられていないため、自分で描き加えて、特別角や等しい長さに注目しながら丁寧に処理する必要がありました。(1)を求める過程で図の特徴を理解できれば、(2)(3)はこれを手掛かりに正解を導くことは十分可能でした。

4 空間図形

立方体の4点を取って作られる2つの三角すいの重なった部分について考察する問題で、立体図形は5年ぶりの出題でした。(1)は基本的な問題なので素早く処理したいところです。(2)は断面を複数取り出し、位置関係を把握することが求められました。難度が高く、類題を解いたことがあるかどうかで差がついたと思われます。

国語

1 佐伯和人の文章/中谷宇吉郎の文章

月や地球に対する人間の認識の仕方を論じた2つの文章が出題されました。いずれも平易な言葉で書かれ、具体的な内容も多く含まれているので、読み取りに苦労するものではありません。一方、設問はすべて字数制限のある記述で、総合的な記述量は260字と、2022年に比べて必要とされる作業量が大幅に増加しました。特に2つの文章の共通点をまとめる問題では、指定語句の使い方に苦慮した受検生もいたと思われます。大問2・3と比べると解答のまとめ方に迷う設問も多く、総じて点差のつく大問だったと言えます。

2 国木田独歩『画の悲しみ』

画を描くことを得意とする2人の少年の関わりを、主人公の視点から描いた小説文です。例年同様、時代設定の古い文章ですが、難解な語句は少なく内容把握はしやすいものでした。記号選択や抜き出しは、いずれも標準的な難度ですが、制限字数100字の記述は主人公の心情変化を丁寧に追う必要があり、差がついたものと思われます。知識分野からは語句の意味と漢字の読み書きが出されていますが、基本的な内容が多く、確実に得点につなげたいところでした。

3 『枕草子』

宮中で庭に雪山を作る場面を描いた文章です。文中に複数登場する会話文の主語が正確に把握できれば、文章の展開自体はシンプルで読み取りにくさはありません。例年通り内容合致問題が出され、文章を細部まで理解していることが求められました。例年と比較して2023年は知識問題が多く、古典常識・古典文法・文学史と幅広い分野の知識が問われていますが、いずれも難度は標準的です。

理科

1 小問集合(物理、化学、生物、地学)

大半は各分野における基礎知識を確認する問題や基本的な計算問題でした。選択肢から正しいものをすべて選ぶ問題では、一部非常に細かい知識や分析が必要な選択肢もあり、慎重に解答する必要があります。

2 小問集合(物理、化学、生物、地学)

電流や水溶液に関する計算問題と、幅広い分野の知識を確認する記述問題でした。正確な理解が求められているため、基礎的な内容の記述問題でもやや表現に困る受検生がいたと思われます。

3 地震(地学)

地震の知識について、基礎から応用レベルのものが幅広く問われたほか、日本における地震に関するニュースで取り上げられていた現象についても出題されました。日本近海で発生する地震のメカニズムを正確に理解していれば対応できるものの、全問正解することは難しかったと考えられます。

4 力、仕事、電流(物理)

力に関する問題は基礎レベルだったので、取りこぼしは避けたいところです。電流の問題は、与えられた図から状況を正確に判断したうえで、問題文の条件について自分で分析する思考力が求められました。

5 生態系(生物)

ある生物の習性に関する調査結果から新たな仮説を考えたり、グラフとして表されたデータを分析する力が求められました。落ち着いて選択肢とグラフを精査することができれば対応できる問題でした。

6 物質の特徴、イオン(化学)

多くの受検生は初めて知ったであろう水質浄化に関する技術について、基礎知識と複合して考える問題でした。基礎知識を確認する問題が中心であり、取りこぼしは最小限にしたい内容でした。

社会

1 地理総合

2022年の急激な物価上昇に関する文を題材とした問題でした。統計や語句記述問題の多くは類題の演習を積んでいれば対応できるものでした。文章記述問題も高度な知識を要求されるものではなく、与えられた資料を読み解くことができれば解答できるものだったので、確実に得点したい大問でした。

2 地理総合

自動車産業を題材とする問題でした。ほかの高校の入試問題でもよく目にする資料が多く出されたので、問題演習を積んでいれば十分に対応できるものでした。環境に関する文章記述問題は1つの物事に対して多角的な視点を持つことができているかどうかが試されるものでした。

3 日本史総合

鎌倉時代に関連する4つの史料と説明文を題材とした問題でした。関連する知識が正確に整理されていることに加えて、史料や説明文を丁寧に読み取る力が必要でした。

4 歴史・公民総合問題

平和に関する演説を題材とした問題でした。戦後の歴史と国際社会に関して、歴史分野と公民分野の双方の視点から出題されました。例年出題される分野でもあるので、過去の入試問題で対策をしておくことが大切です。

5 公民総合

成年年齢が18歳に引き下げられたことに関する会話文を題材とした問題でした。政治・経済分野ともに幅広く出題されました。文章記述問題は近年の社会問題や実施された政策の背景や理由を問うものが出され、日頃から深く掘り下げた学習ができているかどうかが試されるものでした。