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【2022年高校入試分析】東京都立日比谷高

入試分析

入試の概要

推薦

今年の倍率は、男子は昨年の2.97倍から3.06倍にアップし、女子は4.63倍から3.86倍にダウンしました。昨年はコロナ禍で集団討論が廃止され、それが志願者増の一因となりました。男子は今年もその傾向を維持しましたが、女子は増加傾向に歯止めが掛かりました。

推薦入試は調査書450点、面接200点、小論文250点を合計して合否が判断されます。小論文では、資料読解のための社会科の知識を含む一般教養と、論理的な文章構成力が求められます。学校が開示した昨年の受検者の小論文と面接の得点分布を見ると、大きく差が開いています。合格するためには44〜45の高い内申を取った上で、小論文・面接ともに高得点を取る必要があるといえます。

学力検査

応募人員と受検人員は、男子が昨年の297名・215名から330名・249名に増加し、女子は238名・202名から216名・189名に減少しました。女子はここ数年、学力上位層が早慶高などの大学附属高に流れる傾向があり、今年から都立高全校に拡大して実施された男女別定員の緩和措置も敬遠され、受検者が減少しました。今年は男子が募集人員プラス17名、女子が募集人員通りの合格でしたので、男子に有利に働いたと推測できます。

昨年の受検者平均点は英語60.7点、数学64.1点、国語64.1点。自校作成問題に移行した2018年度直後は科目ごとにばらつきのあった難度が、安定してきた傾向がうかがえます。学校の発表によれば、受検者平均点を少し下回るあたりが合格に必要な点数とのことなので、目安にすると良いでしょう。

データ分析

学力検査

今年の日比谷高合格者の昨年12月のサピックスオープンでの偏差値を見ると、男子は最高64.8、最低50.1、女子は最高69.7、最低46.7でした。合格のために目標とする偏差値は男子60、女子55です。なお、サピックスオープンの偏差値は一般的な模試より15ほど低く算出されます。

学校が公表した昨年の得点分布を見ると、国語では男女とも受検者平均点付近を得点した人が多いことが分かります。合格のためには、数学は男子が受検者平均点プラス15点、女子はマイナス15点あたりの得点が目安です。英語は男女ともに受検者平均点付近を頂点とした山形の得点分布ですが、女子は分布の幅が広く、差がつく傾向があります。共通問題の理社は9割の得点を目指しましょう。

内申点は、主要5科目の内申1ポイントが学力検査の3.3点に、実技4科目は学力検査6.6点に相当します。5段階であれば、主要5科目で4は一つまで、実技4科目で4は二つまでで、残りは全て5という成績を目指しましょう。

合格に向けては、高い内申点を目指して学習に取り組む姿勢、難問に立ち向かう粘り強さ、そしてコミュニケーション能力と一般教養に裏打ちされた読解力と記述力が求められます。

入試問題分析

英語

問題構成は変わらず、大問1リスニング20点、大問2対話文34点、大問3物語文34点、大問4英作文12点。英作文だけの大問があるのが特徴ですが、大問2・3にも英作文があり、28点分を英文記述が占めていることから、英語表現力が重視されているのが分かります。合格するには、長文を速読し、情報を精査・分析した上で、英語で正しく表現する力が求められます。長文読解演習と精読を習慣化して、英作文指導を受けるなどしましょう。

数学

問題構成は例年同様、大問1小問集合25点、大問2二次関数25点、大問3円25点、大問4空間図形25点です。作図・証明・解法記述が35点分を占め、記述対策が必要となります。今年は高得点勝負であったと考えられ、標準的な問題を速く正確に解くことが求められました。多様な解き方を学び、論理的に問題を解く力を身に付けましょう。

国語

問題構成は、大問1漢字の読み取り10点、大問2漢字の書き取り10点、大問3小説文の読解24点、大問4論説文の読解36点、大問5古典解説文(現古融合文)の読解20点。50分で現代文3題を読み、250字以内の作文を書くというスピード勝負になりますが、近年は記号選択問題が増加傾向です。中1で読解の基礎固め、中2で経験値の蓄積、中3で総合力の引き上げを図ると良いでしょう。

理科

理科は都立高共通問題で、大問1・2小問集合、大問3地学(地質)、大問4生物(植物と遺伝)、大問5化学(イオン)、大問6物理(運動とエネルギー)です。今年は典型的な問題が中心で計算問題があまり出されませんでした。また、学習指導要領の改訂により新たに追加された「ダニエル電池」も、早速出題されました。仕組みの理解を確認する問題が増えているので、反復と丁寧な取り組みが重要です。

社会

社会も都立高共通問題で、受検者の昨年の平均点は、日比谷男子85.7点、日比谷女子81.9点、東京都全体54.6点です。合格には90点以上が求められるため、失点は10点(2問)まで。都立高入試は出題傾向が安定しているため、対策を練ることが重要です。教科書をベースに演習を重ね、どのような知識が必要なのかを把握して、多様な問題形式に対応できるようにしましょう。

  • この記事は2022年3月18日~5月9日にかけて動画配信された「高校入試分析会 2022」のダイジェストです。