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神奈川県公立高等学校(特色検査) 2024年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

自己表現検査(60分)

神奈川県は2019年から上位校の特色検査(自己表現検査)の出題方法を、それまで学校がそれぞれ作成していた自校作成形式から変更しました。2024年には学力向上進学重点校8校(横浜翠嵐、湘南、柏陽、厚木、川和、横浜緑ケ丘、多摩、小田原)と学力向上進学重点校エントリー校10校(横浜平沼、光陵、希望ケ丘、横須賀、平塚江南、鎌倉、茅ケ崎北陵、相模原、大和、横浜国際)の計18校の県立高等学校において、「共通問題」と「共通選択問題」を組み合わせて実施しました。

以上をふまえて、2024年の主要校の出題をまとめました。学校が異なっても、すべての大問が同じになる場合があります。

それぞれの大問の出題内容は、以下の通りです。数学に関する問題がすべての大問で出題されていて、数学が重視されていることが分かります。また、2024年は技能4科目に関係した出題は美術のみありました。

問1【英語】【数学】

英語で書かれたキャッシュレス化に関する生徒の会話文と、生徒が作ったプレゼン内容に関する出題でした。(イ)では、決済方法としてよく用いられている2次元コードの仕組みを英語で理解し、問われている数値を算出する必要がありました。(エ)は2次元コード決済にかかる手数料に関する問題で、仕入れ値と売値、手数料の数値から、赤字の出ない販売個数を算出する必要がありました。

問2【社会】【数学】【国語】

水についての文章と、それをもとに作成されたレポート・ワークシートに関する大問でした。(ア)の穴埋め問題は、バーチャルウォーターや、農産物の生産に使用する水の量に関する知識があれば解きやすい問題でしたが、文章をヒントに解答することも十分可能でした。(イ)は文章と地形図を照合させる問題で、川の形状から川の流れる方向を、地形図からおおよその地形を、文章から築いた堤防の長さを読み取り、解答につなげる力が試されました。(ウ)は黒田官兵衛の「水五訓」と水の具体的な性質の説明を比較し、あてはまらないものを選ぶ問題で、古文を読解する力が多少必要でしたが、神奈川県公立校共通選抜の国語でも古文が出題されるので、苦戦した受検生は少なかったと思われます。(エ)は資料を読解して計算する問題で、文章内の数値をもとに単位に注意しながら丁寧に計算する必要がありました。

問3【数学】【国語】【英語】【美術】

富士山と単位に関する会話文を読んで設問に答えていく形式でした。(ア)は正しい英文を選択する問題で、質問への答え方から、どういう質問の仕方だったのか、単位の違いという背景をもとに正確にとらえる必要がありました。(ウ)は与えられた表と図から登山ルートを選択する問題で、標高や歩行距離といった複数の情報をもとに消去法で答えを導くことが重要でした。(エ)はテンガロンハットの高さを求める問題で、なじみのない単位を、文章をヒントに正しく単位変換できたかどうかがポイントでした。(カ)は新聞記事のまとめと会話文を読んで合致するものを選ぶ問題で、選択肢がやや長いため、丁寧に確認する必要がありました。

問4【数学】【国語】

(ア)は複数の意味に取れる文を、文意が明確になるように直すというテーマの問題でした。(ⅰ)は文章中の空欄を埋める記述問題で、二つの指定語がヒントになるので解きやすかったと思われます。(ⅱ)は適切な文を選ぶ問題で、三つの文を一つにした複雑な文だったため、やや間違いやすいものでした。(イ)は大きさの異なる立方体・正四面体に関する問題でした。(ⅰ)と(ⅱ)の(い)は得点したいところです。(ⅱ)の(う)は入れられる立体の最大個数を求める難度の高い問題でしたが、(い)の答えを上手く活用できたかどうかがポイントでした。(ウ)は大きさの異なるバケツから特定の重さの水を量り取る問題で、類題を見たことのある受検生もいたことでしょう。両方のバケツの水量の変化を書き出しながら丁寧に思考していくことで正答したい問題でした。(エ)は16進法に関する問題で、記数法に関する知識よりも、丁寧に数え上げる力が求められました。

問5【理科】【数学】

公園に関する小問集合でした。(ア)はてこ、浮力、密度の複合問題でした。てこのつり合いは文章に書かれているので、浮力と密度の基礎ができていれば解きやすかったことでしょう。(イ)はブランコをふりこに見立てて考える問題でした。ふりこの周期がふりこの長さで変化することを知っていれば容易だったと思われますが、知らない場合は実験の読み取りが必要でした。(エ)は自動車の左折についての問題で、最短距離で左折した際の車の動きを考察し、複数の条件から計算する必要がありました。(オ)は石を並べていく問題で、例の図をヒントに正しく立式できたかどうかがポイントでした。

問6【数学】【理科】【社会】

中央アメリカと生物多様性に関する会話文から、設問に答えていく大問でした。(ア)はトーナメント表の確率の問題で、類題を解いたことがあるかどうかで差がついたことでしょう。(イ)は中米諸国の貿易や経済状況の統計を含む問題でした。高校入試では見ない国々のため、知識よりも、文章から各国の経済状況の特徴を読み取って解答につなげる力が求められました。(ウ)は建設した意味を記述する問題で、リード文に掲載された地図と指定語句から、解答を導けたと思われます。(エ)は多様度指数を求める式をもとに計算する問題でした。見慣れない式や表し方に戸惑った受検生もいたことでしょう。落ち着いてじっくり読むことで式の意味を理解することがポイントでした。