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渋谷教育学園幕張高等学校 2023年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

1 適語句選択(約210語):小問数10

マイクロクレジットという金融サービスに関する英文中の空所に適する語句を選択する問題で、9年連続で出されていた正誤問題から出題形式が変更されました。動詞の語法や品詞・表現の細かい知識が問われました。

2 並べかえ英作文(約200語):小問数5

ロボットに関する英文中の空所に入る文の一部を、語句を並べかえて完成させる形式です。文法の知識に加えて、空所前後との繋がりをふまえて文脈を把握する力も必要でした。

3 英文記述:小問数3

日本語の文章中の下線部を英語に直すという、2019年以来のシンプルな出題形式でした。(1)は統計を示す文で、主語と動詞の対応に気をつけるべき問題ですが、類似表現を学習した受験生であれば、文構造を思い浮かべやすいものでした。

4 説明文の読解(約330語):小問数9

戦時中の暗号に関する説明文です。問4の50字程度で答える日本語記述は、下線部の正確な解釈に加え、解答の要素を簡潔にまとめることが必要でした。

5 物語文の読解(約610語):小問数12

家の中で姿を消した猫を探す物語文です。問7の適語補充は、断片的な情報から書くべき語を判定する力が問われ、その情報を使ってさらに計算を要する問8は、物語の全体像と細かい部分の両方を正確に理解する必要がありました。平均点が低かったことからも、この大問に苦戦した受験生が多かったと考えられます。

6 LISTENING COMPREHENSION :小問数7

Part1、Part2ともに、放送内容に関する質問の答えを選ぶ形式です。問題用紙には選択肢のみが印字され、質問も聞き取る必要があります。Part1は放送回数が1回のみです。

数学

1 小問集合

例年通り、煩雑な計算が多く、受験生にとっては正確さとスピードが必要な大問だったと思われます。(1)文字式の計算、(2)連立方程式、(3)二次方程式、(4)円の問題で、(3)までは時間をかけずにミスなく正解しておきたいところです。(4)は①の意図に気づければ、渋谷幕張高の受験生であれば類題を解いたことがある問題だったと考えられます。

2 場合の数

4桁の自然数について各位の数字に関する問題でした。(1)は悩むことなく正解したい問題です。(2)は(1)から解法のヒントが得られれば方針に気づけたと思われます。(3)はもれなく調べられれば正解にたどり着いたことでしょう。適切に場合分けをして数え漏れに注意することが大切です。

3 二次関数

放物線と直線の関係を学習していればすべて正解できたと思われます。符号に注意して落ち着いて完答を目指したい大問でした。

4 三角形の内接円

直角三角形の内接円の問題でした。基本レベルの内容だけでなくさまざまなタイプの問題に触れているかどうかで差がついたと思われます。決して難しすぎるというわけではないので時間さえあれば解ききれた受験生も多かったと思われます。

5 展開図と立体

(1)は展開図の面積でしたが、正答率は高かったことでしょう。(2)で展開図を組み立て、空間内での図形の把握ができたかどうかが鍵でした。(2)は学習状況によって差がついたと思われます。

国語

1 藤高和輝の文章

哲学者バトラーがジェンダーの問題に対して提唱する概念を「トラブル」に着目しながら説明している文章でした。ジェンダーや性は高校入試において頻出のテーマですが、複数の識者の考えも提示されながら論が進んでいくため、丁寧に論理を読み解く力が必要でした。設問構成は漢字の読み書き3問、空欄補充2問、内容一致3問、記述1問です。四字熟語は2023年も出されました。2022年より設問数が増えましたが難度は標準的で、まぎらわしい選択肢が少ないので、この大問は高得点勝負になったと考えられます。

2 宇佐見りん『くるまの娘』

それぞれが深刻な問題を抱えている家族が葬式の帰りに一緒に過ごすなかで、主人公の高校生の心情が揺れ動く様子が描かれた文章でした。3年連続で長めの小説文が出題されましたが、例年より主人公の年代が受験生に近いため読みやすい内容でした。また2022年と同様に記述が1問だけと少なく、ほかの問題も表現の意味を問うものが中心でしたが、表現の意図に留意しつつ慎重に解答する必要があるため高得点を取るのは簡単ではありません。そのほか、漢字の書き取り3問、知識1問が出される形式は、例年通りでした。

3 『醒睡笑』

鎌倉時代の作品が5年続いていましたが、2023年は江戸時代の作品からの出題でした。古文では頻出テーマである偉人についてどれだけ理解しているかが鍵でした。例年と異なる形式の設問として、漢文の書き下し文に関連するものが出されています。渋谷幕張高の古文は難度が高い出題が多いので、入念に古文の学習に取り組む必要があります。

理科

1 化学変化(化学)

銅を含む鉱物をテーマにした問題です。前半は基礎~標準レベルの内容で、確実に得点しておきたいものでした。後半はしっかりと準備してきた受験生であれば、類題を解いたことはあったと思われますが、見慣れない複雑な化学物質が題材で、難度が高く、対応に苦慮する可能性があったと考えられます。

2 磁界(物理)

電磁誘導と物体の運動に関する問題です。扱われている実験を実際に行ったことのある受験生は少なかったと思われます。思考のポイントを見抜くことが出来るかどうかで、大きな得点差が生じたと思われます。

3 遺伝(生物)

ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に関する問題です。PCRのメカニズムについての説明文を読みながら解き進めるもので、複雑な計算や見慣れないグラフを解析する高度な分析力が求められました。一つのミスが後の解答にも影響する構成で、連続失点を避けるためには正確な情報処理能力が必要でした。

4 地質(地学)

岩石の固まり方についての問題です。前半は基礎~標準レベルの知識の確認でした。取りこぼしは避けたい内容です。後半は見慣れないグラフの解析が軸となる考察問題でした。高度な読解力、思考力、分析力が求められ、大問1から順番に解いてきた受験生であれば、残り時間も少ない状況になり、より難しく感じたと思います。

社会

1 歴史総合

日本で採掘された金・銀・銅や日本の人口をテーマとした歴史の総合問題でした。貨幣に関する問題に難度の高いものはありましたが、ほとんどの問題は中学学習レベルで対応可能でした。文章記述は6問で、すべて解答用紙の枠内で説明するものでした。典型的な記述も含まれていたので、確実に得点したいところです。なお、例年出題される字数制限のあるものや使用語句に下線を引くものは全大問を通して出題されませんでした。

2 公民総合

日本国憲法の改正や戦後の経済成長と停滞をテーマとした公民の総合問題でした。前半は基本的な問題が目立ちましたが、参議院の議席配分に関する問題は丁寧かつ慎重な計算が求められました。一方、後半は前半に比べ、得点しづらい問題が多く、特に国家公務員数の推移に関するものは難度が高いものでした。

3 地理総合

2022年に世界や日本で起こったできごとをテーマとした地理の総合問題でした。世界や日本の河川流域に関する問題を正解するには河川名だけでなく、日ごろから地図でその流域を確認しておく必要がありました。臨機応変な対応が求められる記述問題は例年ほど難解なものではありませんでした。