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東京都立戸山高等学校 2023年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

1 リスニング問題:小問数5

例年通り問題Aと問題Bに分かれています。問題Aは3つの対話文とその内容に関する質問がひとつずつ放送され、答えとして適切なものを選ぶ形式でした。問題Bは外国人の先生が中学生に向けて行ったスピーチについて、放送された質問に対して適切な答えを選ぶ形式と英語で記述する形式でした。

2 対話文の読解(約1130語):小問数14

鳥や昆虫などの生物が人間の発明のヒントになっていることについての、高校生と先生による対話文です。2022年に引き続き、理科系の文章が出題されましたが、2023年は語数が約300語減少しました。本文中の空所に適切なセリフを選んで入れる問1、3、4は例年通りの形式です。問5の並べかえ英作文は、基本的な構文ではあるものの、修飾語句を挿入する位置に注意が必要でした。日記の空所に入れる英語を選ぶ問7は、文脈から判断するだけでなく、選択肢の品詞を意識することで解答しやすくなったことでしょう。

3 説明文の読解(約1180語):小問数10

橋の歴史や構造について、複数の写真やイラストを交えて述べられた説明文で、語数は2022年より200語以上増加しました。本文の流れに合うように複数の空所に入る英文をそれぞれ選ぶ問1は、前後の内容だけでなく、選択肢の代名詞や時制を意識できたかどうかが、また問3の並べかえ英作文は、与えられたイラストを正確に分析できたかどうかがポイントで、差がついたと思われます。空所に入る英文を並べかえる問4は、前後の文脈がヒントでした。本文の内容に合うものを選ぶ問5は、本文と選択肢の時制を注意深く確認する必要がありました。問6の自由英作文は、橋をどこに作りたいか、作った橋はどのような変化をもたらすかについて、40語以上50語程度で解答する形式で、記述力だけでなく想像力も求められました。

数学

1 小問集合

平方根の計算、二次方程式、連立方程式、確率、作図の5問からなる小問集合でした。例年通りの出題で、基本的な内容が問われています。ミスに注意して完答を目指したい大問です。

2 二次関数

二次関数と三角形の面積についての問題でした。〔問1〕は基本問題で、確実に正解したいところです。〔問2〕〔問3〕については解法の方針に迷うことはなかったでしょう。しかし、文字を含む計算がやや煩雑になるために正確に処理する必要がありました。

3

平行四辺形の内部に円が接している問題でした。〔問1〕は図を描き直して丁寧に角度を調べることで正解できたことでしょう。〔問2〕は少し解きづらい側面があり、悩んだ受検生もいたと思われます。適切な線分比に着目することがポイントでした。〔問3〕の証明は標準的な内容なので、確実に得点しておきたい問題です。

4 空間図形

都立戸山高では頻出の立体と動点に関する出題で、直方体の辺上を2点が移動する問題でした。それぞれの設問で位置関係を把握し、正確な図を描いて考えることが重要です。難度は標準的ですが、時間を取られた受検生も少なくなかったと思われます。

国語

1 漢字の読み取り

難問揃いだった2022年と比べ、標準的な難度に戻りました。

2 漢字の書き取り

いずれも難度は標準的で、読み取り同様1問は四字熟語でした。

3 滝口悠生『長い一日』

夫婦が引っ越しに際して、長年間借りした家の老夫婦と食事を共にする場面を描いた小説文からの出題でした。小説文は、昭和初期以前に成立した、古い文章の出題が続いていましたが、2023年は現代を舞台にした文章でした。記号選択ではまぎらわしいものもあり、解答にたどり着くためには丁寧な読解が求められました。大問4の難度を考えると、この大問での失点は極力避けておきたいところです。

4 寺田寅彦『万華鏡』

科学者のあり方について、骨董趣味にたとえて考察する論説文からの出題でした。明治から昭和を生きた筆者による文章で、受検生にとっては読みづらかったと思われます。具体例をヒントにしつつ、手早く読み進めることができたかどうかがポイントでした。記号選択では一般論を適切に理解したうえで解答する設問もありました。例年通り、200字以内の字数制限のある作文が出されました。

5 上野洋三『芭蕉の表現』

松尾芭蕉の俳句を解説した文章からの出題でした。表現技法に関する知識が1問出されましたが、問いに説明があるため、そのヒントを頼りに解くことが可能でした。そのほかの4問はいずれも文章内容に関する記号選択で、傍線部前後の内容把握ができていれば、悩まずに正解できるものでした。