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埼玉県公立高等学校 2024年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語(学力検査問題)

1 リスニング問題:小問数11

例年通り、No.1~No.3は短い会話を聞いて、質問の答えとなるイラストや図を選ぶ問題、No.4~No.5はそれぞれ放送された英文に関する質問の答えを選ぶ問題、No.6はスピーチの内容に関する3つの質問の答えを選ぶ問題、No.7は放送された会話に関する質問の解答になるよう、与えられた英文の空所を補う問題でした。英文は2回ずつ放送され、内容は学校選択問題と同じですが、No.6は選択肢が、No.7は記述する内容が異なっています。また、放送ごとのリード文が学力検査問題では問題用紙に印刷されています。

2 適語補充:小問数5

日本語のメモをもとに、英語で書かれたポスターの空所にあてはまる語を答える問題でした。問3の条件英作文は与えられた条件に基づき、ミスのない正しい英語を書くことが求められました。

3 スピーチの読解(約220語):小問数5

ニウエという国についてのスピーチでした。空所に入る最も適切な語句を選ぶ問2は、下線部の文だけでなくその前後にも目を通したうえで答える必要がありました。

4 対話文の読解(約750語):小問数7

ピクトグラムについての対話文でした。文章が4つのセクションに分かれており、各セクションごとに内容理解が問われました。問7の条件英作文は空欄直後の代名詞が何を指すかを考えたうえで、その後の発言につながるように書く必要がありました。

5 スピーチの読解(約230語):小問数3

ALTの先生による、ラグビーに関するスピーチ文を読んで答える問題でした。問3の条件英作文は、「スポーツをみることとすることのどちらが好きか」について理由も含めて3文以上でまとめる問題でした。身近で書きやすいテーマであり、ここで確実に得点したいところです。

英語(学校選択問題)

1 リスニング問題:小問数11

例年通り、No.1~No.3は短い会話を聞いて、質問の答えとなるイラストや図を選ぶ問題、No.4~No.5はそれぞれ放送された英文に関する質問の答えを選ぶ問題、No.6はスピーチの内容に関する3つの質問の答えを選ぶ問題、No.7は放送された会話に関する質問の解答になるよう、与えられた英文の空所を補う問題でした。英文は2回ずつ放送され、内容は学力検査問題と同じですが、No.6は選択肢が、No.7は記述する内容が異なっています。また、放送ごとのリード文が学校選択問題では問題用紙に印刷されていません。

2 対話文の読解(約810語):小問数8

ピクトグラムについての対話文でした。文章が4つのセクションに分かれ、セクションごとに問題がありました。問3の並べかえ英作文は、5文型や動名詞などの理解とともに文脈が理解できていないと解けない問題でした。問6は4つのセクション全体に関する内容が問われました。

3 説明文の読解(約870語):小問数11

人工冬眠について調べた高校生による説明文でした。学校選択問題の傾向として、本文の内容について日本語で説明する問題や、英語での質問に英語で答える問題、本文の要約文の空所に適切な英語を補う問題などが例年出されています。本文中の解答の根拠を、設問に応じて適切に言いかえられる文法知識や要約力が必要でした。

4 自由英作文:小問数1

例年と同様、テーマを示す英文を読み、その文中の質問に対する自分の考えを、理由が伝わるように40語以上50語程度で記述する問題でした。作文のテーマは、受検生自身がこれまで考えた機会が少なく、難しく感じたと思われます。

数学(学力検査問題)

1 小問集合

2020年から引き続き、16問の小問集合でした。(15)は、合同な正三角形を規則的に並べたとき、重なる部分と重ならない部分の面積に関する問題でした。立式するのに戸惑った受検生は少なくなかったと思われます。(16)は箱ひげ図の出題で、理由を記述する小問でしたが、指定された用語を用いる形式なので、対応しやすかったことでしょう。

2 小問集合

(1)作図、(2)証明の2問構成でした。(1)は条件を満たす台形の頂点を作図する基本問題です。(2)は、直角三角形とその辺の長さを1辺とする2つの正方形において、三角形の合同を証明する問題でした。有名な構図なので、類題を解いたことがある受検生も多かったと思われます。

3 二次関数

放物線と2直線による3つの交点が作る線分が、比の条件を満たすときの座標を求める問題でした。会話文形式で解法の手順や注意点が分かるため、流れに沿って解き進めていきたい大問でした。

4 空間図形

水で満たした直方体の容器を傾けたときの残った水の体積や、床から水面までの高さを求める問題でした。(1)(2)ともに、与えられた図のなかで図形的性質を活用できたかどうかがポイントです。

数学(学校選択問題)

1 小問集合

小問数は例年通り10問で、難度も2023年と大きくは変わりませんでした。(10)は箱ひげ図の出題で、指定された用語を用いて理由を記述する形式でしたが、何を書けばよいのか困ることはなかったと思われます。ミスに注意して確実に得点を重ねたい大問でした。

2 小問集合

(1)作図、(2)証明の2問構成でした。(1)は、条件を満たす台形の頂点を作図する基本問題なので、失点は避けたいところです。(2)は、直角三角形とその辺の長さを1辺とする2つの正方形において、2本の線分が直交することを証明する問題でした。類題演習の経験の有無で差がついたと思われます。

3 二次関数

放物線と2直線による3つの交点が作る線分が、比の条件を満たすときの座標を求める問題でした。会話文形式で解法の手順や注意点が分かるため、流れに沿って完答しておきたい大問でした。

4 確率・場合の数

硬貨を投げたときの表裏に応じて、正方形の頂点上を動く点に関する確率・場合の数の問題でした。(2)では条件を満たす表裏の出方を慎重に考える必要があり、この大問に時間をかけすぎてしまった受検生もいたことでしょう。

5 空間図形

水で満たした直方体の容器を傾けたときの残った水の体積や、床から水面までの高さを求める問題でした。(1)(2)ともに、与えられた図のなかで図形的性質を活用できたかどうかがポイントです。(2)は難度が高く、時間内に正答までたどり着けた受検生は少なかったことと思われます。

国語

1 辻村深月『この夏の星を見る』

サッカーを続けられなくなった男子中学生と、物理部に所属する先輩のやり取りを描いた小説文からの出題です。文章の内容理解を問う記号選択は、いずれも解答の根拠が明確で、丁寧に読み進めていくことで対応できるものでした。字数制限と指定語句のある記述が例年通り出されています。

2 漢字の読み取り・書き取り・知識、資料の読み取り

漢字のほか、文法や熟語の成り立ちについて基礎的な理解が問われました。問4はスピーチ原稿に関するもので、文章の並べかえや効果的な話し方の選択、不自然な日本語表現の修正が出題されました。

3 小川さやか『手放すことで自己を打ち立てる』

タンザニア社会のあり方から、所有と贈与について述べた論説文からの出題です。やや抽象的な内容で読みづらさを感じたかもしれませんが、論旨自体は明快です。記号選択はおおむね標準的な難度でした。大問1同様、記述は指定語句を手がかりに解答を作成していく必要があります。硬質な文章を的確に理解する力が問われました。

4 『一休ばなし』

江戸時代の仮名草子からの出題です。話の展開は分かりやすく、一部に現代語訳も付されているため、読みにくさはありません。文中の和歌の解釈について問う記号選択が対話文形式で出されています。

5 条件作文

例年と同じく、資料を読み取って自分の考えを記述する問題でした。資料はSDGsに関するもので、受検生にとってもなじみ深いテーマだったと思われます。示されたデータと自分の体験を適切に関連づけて書けたかどうかで点差がついたと考えられます。

理科

1 小問集合(物理・化学・生物・地学)

小問数は例年と同じ8問でしたが、内訳は物理分野が3問、化学分野が1問、生物分野と地学分野が2問ずつという変則的なものでした。内容も例年に比べて難しく、やや細かい知識を問うものも見られました。

2 天体(地学)

月の見え方と日食・月食に関する問題でした。大問全体の半分程度は基本知識の確認、残りの半分程度は図や文章を読み取る問題でした。なかでも問3の図は多くの受検生にとって見慣れないもので、この分野の理解度によって差がついたと思われます。

3 動物(生物)

動物の分類に関する問題でした。基本知識の比重が大きい大問ですが、問3では図を注意深く読み取ることで解答を導けたと思われます。また、問5では論理的に考える力が問われました。

4 化学変化(化学)

炭酸水素ナトリウムの化学反応に関する問題でした。問2と問3は基本的な計算方法を前提として計算・考察を進める形式の問題でした。問4では見慣れない化学反応式が出題され、文章を正確に把握したうえで答える必要がありました。

5 運動とエネルギー(物理)

斜面を下る鉄球の運動に関する問題で、この分野では珍しく計算が必要のないものばかりでした。問3は仮説を検証するための実験方法を考える問題で、類似の問題はほかの分野でよく見られます。問4には記述問題が2問ありましたが、指定語句がヒントとなり書きやすかったと思われます。

社会

1 世界地理

世界地理の総合問題でした。例年通り、基本的なレベルの問題が中心で、演習をしっかり積んでいれば十分に対応できました。

2 日本地理

日本地理の総合問題でした。ほかの高校の入試問題でもよくみられる資料を用いたものが多く出題されていました。文章記述問題はものごとを多角的に読み取る視点が必要でした。

3 日本史(古代~近世)

5つの異なる時代を説明した文章を題材とした問題でした。例年通りの出題だったので、過去の入試問題で演習を積んでいる受検生にとっては十分に対応が可能なものでした。

4 歴史総合(近代~現代)

例年通り、近現代史の年表をもとにした大問でした。例年出されている並べ替え問題がなくなった一方で、語句の補充問題に対応するためには前後のできごととの因果関係や流れを理解している必要がありました。

5 公民

公民分野における学習課題を題材とした問題でした。2023年に行われた国際会議に関する問題は、公立校の入試問題としては一歩踏み込んだ時事的な内容を答えるものであったため、日頃から現代社会への関心を持つことが必要でした。

6 3分野総合

地理・歴史・公民の3分野からまんべんなく出題されました。例年通り複数のグラフの読み取りが必要な問題が出されましたが、過去の入試問題で演習を積んだ受検生にとっては、標準的な難度だったと思われます。