インタビュー

【卒業生インタビュー】
SAPIXで学び、身につけたさまざまな力こそが、クライアントの企業活動を支え、守るための礎となる

【卒業生インタビュー】<br />SAPIXで学び、身につけたさまざまな力こそが、クライアントの企業活動を支え、守るための礎となる

筑駒高から現役で東大理科一類に進学し、工学部を卒業したA・Tさんは、その後、東大法科大学院を経て司法試験に合格。現在は法律の側面からビジネスを支える「企業法務弁護士」として第一線で活躍しています。一般の人にはあまりなじみのない企業法務とはどんな仕事なのか。SAPIX中学部高田馬場校で学んで挑んだ高校受験の経験は、現在の仕事にどう生かされているのかについて、存分に語っていただきました。

企業法務で最も重要な能力は
「情報の取捨選択力」と「論理的な文章力」

──そもそも「企業法務弁護士」とはどんな職業なのでしょうか。
T 弁護士と聞くと、どんな姿を想像されますか。恐らく裁判所で「異議あり!」と叫んだり、罪を犯した人を守るために熱弁を振るったりする姿を思い浮かべるのではないでしょうか。これは一般的に個人の案件を扱う弁護士の姿です。

それに対し、企業をクライアントとし、ビジネスを法律面からサポートする専門家が企業法務弁護士です。

企業が新しいサービスを始めようとしたり、海外企業と大きな取引をしようとしたりするときには、必ず法律の壁が立ちはだかります。「この新しいアプリは法律に反していないか」「この契約書を交わして損をしないか」といったことを、法律のプロの視点からチェックし、必要に応じて対策をアドバイスするわけです。

企業法務弁護士は、いわば「企業が大きなけがをしないように守る盾」であり、「安心して新しい挑戦ができるように道を切り開くナビゲーター」のような存在といえます。

──確かにドラマで見る弁護士とはだいぶイメージが違いますね。
T はい。裁判に勝つことよりも、「そもそも裁判になるようなトラブルを未然に防ぐこと」が主な仕事です。

何千人、何万人という社員が働いていて、その先には製品やサービスなどを利用する何十万人、何百万人という顧客がいる企業もあります。もし、法律違反によって企業活動がストップしてしまったら、多くの人が困ってしまいますよね。

企業法務弁護士は法律知識を駆使し、世の中のビジネスがスムーズに、かつ安全に回るように裏側から支えています。億円単位の巨大プロジェクトに初期段階から関わることも多く、社会を大きく動かしている実感が得られる、とてもダイナミックでやりがいのある仕事です。

──企業法務弁護士に特に求められる能力は何でしょうか。
T 企業法務の現場で毎日使う最も重要なスキルは二つあります。それは「情報の取捨選択力」と「論理的な文章力」です。この二つはともにSAPIXで徹底的に身につけたものです。

まず、「情報の取捨選択力」ですが、企業のビジネスに関係する法律や規則の量、そして取引に関する書類の山は、それこそ気が遠くなるほど膨大です。これらを頭からお尻まで100%完璧に読み込もうとしたら、いくら時間があっても足りませんし、クライアントが求めるスピードに追いつけません。

そこで求められるのが、「この大量の情報の中で、クライアントにとって本当に危険なポイントはどこか」を一瞬で見抜き、そこに集中してエネルギーを注ぐ力です。こうした情報の取捨選択力とめりはりのつけ方の土台は、SAPIXのボリュームのあるカリキュラムをこなす中で、自然と身についたものでした。

──もう一つの「論理的な文章力」とは?
T 企業法務弁護士は毎日ものすごい量の文章を書きます。契約書を作成したり、「このビジネスは法律上、ここが問題です」といった意見書をクライアントに提出したりします。

この時、書き方一つ、言葉の組み立て方一つで、相手への伝わり方や法的な効果ががらりと変わってしまいます。もし、私の文章が曖昧だったら、そのクライアントが大損をしてしまうかもしれません。

ですから、「どう表現すれば、誰が読んでも間違いのない、一番論理的で説得力のある文章になるか」を常に考え抜く必要があります。この「物事を論理的に組み立てて言葉にする力」の原点にあるのは、間違いなく中学生の時にSAPIXの国語の授業で徹底的にたたき込まれたことです。受験勉強だと思って取り組んでいた国語が、まさか大人になって法律の書類を作成する際の最大の武器になるとは、当時は思いもしませんでした。

相手の意図を正確につかむ
「質問の力」と「社会性」もSAPIXで

──情報を正確に取捨選択するには、まず必要な情報をクライアントからきちんと引き出さなければなりませんね。
T 企業法務弁護士は、クライアントから「今度こんな事業をやりたい」と相談されることもあります。相手は法律のプロではないので、最初は説明が漠然としていることも少なくありません。しかし、正しくアドバイスしようと思ったら、「この問題をクリアするにはどんな情報が必要なのか」と逆算し、相手から漏れなく聞き出すことが求められます。

その場合、ただ「教えてください」と問うのではなく、「ここまでは理解しました。この部分はどうなっていますか」などと、自分の頭を整理した上で的確に質問しなければなりません。こうした手法は中学生時代にSAPIXの先生方に質問する時のスタイルそのものです。

──大人と深く対話する経験も、早いうちから積まれていたわけですか。
T そうですね。中学生の時期に、学校の先生以外の大人とこれほど深く本音で向き合って話をする機会はなかなかありません。

SAPIXの先生方は生徒を一人の人間として対等に見て、時には非常に率直で厳しいアドバイスもしてくれました。本音でぶつかってくれる先生方と対話を重ね、心地よい緊張感の中でもまれたことで、社会性や、ビジネスパーソンと対等に渡り合うためのコミュニケーション力の土台が築かれたと思います。

直前まで悩まされた焦りや不安を
SAPIXの先生方が見事に解消してくれた

──ここからはTさんの受験生時代についてお聞かせください。そもそもなぜSAPIXを選ばれたのでしょうか。
T 私は少し特殊なケースだと思います。小学校の半分くらいを海外で生活していて、6年生の後半という時期に帰国しました。そのため、日本の小学校高学年の学習内容を学ぶタイミングが周りに比べて若干遅れていました。そこで、その遅れを取り戻すためにしっかり挽回しなければいけない、と思ったのが塾を探し始めたきっかけです。

数ある塾の中でSAPIXを選んだのは、まず高い合格実績があったからです。さらに、学校の通学路の途中に校舎があり、無理なく通い続けられると思ったことも大きかったですね。

──入室後の最初の印象はいかがでしたか。
T 合格実績が素晴らしい塾なので、入室前は真面目でお堅いイメージを持っていました。しかし、実際は「先生との距離が非常に近く、とてもなじみやすいな」と思いました。

特に英語と数学の先生には大変お世話になりましたが、他の先生方もとても個性的で、全員が強く印象に残っています。理系教科が得意だった私にとって、数学の先生が黒板に書く「美しくて、すっと頭に入る解き方」の授業は毎回本当に感動的でした。

──その後、最難関校である筑駒を志望されますが、苦手教科の克服には苦労されたそうですね。
T 国語と社会がとにかく苦手で、受験直前の本当に最後の最後まで成績が伸びませんでした。「このままで大丈夫だろうか」と、受験期の終わりまでずっと焦りや不安を抱えていたので、精神的にもかなりしんどかったです。

しかし、そんな私の様子を、国語や社会の先生だけでなく、全ての先生方が気にかけてくださっていました。

SAPIXの先生方は生徒の様子を見る目が本当に鋭いんですよね。こちらから「実は悩んでいて……」となかなか切り出せないときでも、先生の方から「今、ここで悩んでるんじゃない?」「こういうやり方を試してみたらどう?」と、私にぴったりのアドバイスを先回りして提案してくださいました。

苦手すぎて個別に相談しに行った社会も、「ここだけ押さえておけばいいんだ」という重要なポイントを教えていただいたことで、最後にはそれなりに点数が取れるようになり、合格ラインまで実力を引き上げることができました。校舎全体で生徒がSOSを出しやすいアットホームな空気を作ってくれていたからこそ、不安に押しつぶされずに最後まで走りきることができました。

──見事に合格された筑駒での高校生活はいかがでしたか。
T 期待していた通りで、校則もほとんどなく、全てが生徒の自主性に任されている、真に自由な学校でした。先生方も「大学に合格させるためだけの授業」ではなく、それぞれ「これが面白い!」と思う専門的な内容を熱く教えてくれるのが新鮮でした。

周りの生徒も優秀な人が多かったです。ただ、学校生活の中で勉強が「できる」「できない」という序列のようなものを感じたことは一度もありませんでした。なぜなら、勉強以外に、スポーツ、音楽、美術など、誰もが何かしら自分の好きなことや得意な分野を持っていて、それぞれがきらりと光るものを有していたからです。お互いの個性を認め合える最高の環境でした。

──SAPIXのクラスメートとは今でもつながりがあるのでしょうか。
T 中学時代からずっとつながっています。当時の1クラスは10人前後という少人数だったので、居心地がよく、そこでのつながりは別々の高校に進んだ後もずっと続いています。今でも定期的に集まっているんですよ。

大人になった今では、みんなばらばらの分野で驚くほど活躍しているので、各自の話を聞くたびに「よし、自分も負けずに頑張ろう!」と、とても良い刺激をもらっています。

企業法務弁護士として、仕事の量が多くて「本当にしんどいな」と思う時期もありました。しかし、そんなときに完全に仕事を離れてこの仲間たちと会って、たわいのない話をする時間こそ、私にとって最高に幸せな息抜きになり、仕事を続けていくための大切な心の支えになっています。中学生の時に切磋琢磨し、大人になった今では互いを高め合える大切な仲間に出会えたことは、まさに何物にも代えがたい財産です。

──最後に、これから高校受験に挑む後輩に向けてメッセージをお願いします。
T これまでを振り返って心から思うのは、「あの時、SAPIXで必死に頑張った時間は何一つ無駄になっていない」ということです。

受験勉強は自分の目標である第一志望校合格を果たすという、ピュアなきれいごとばかりで成り立っているわけではありません。正直に言えば、今、頑張れば頑張った分だけ、将来の自分が楽になると思います(笑)。単に知識が増えるだけでなく、当初工学部に進んだ私がいわゆる文転して企業法務弁護士になったように、将来選べる進路の選択肢が格段に広がるからです。

もう一つ強く伝えたいのは、たとえどんな結果になったとしても、「自分で目標を決めて、それに向かって全力で努力した」という経験そのものが、これからの皆さんの人生を支える大きな自信になることです。

思うように成績が伸びずに不安になったり、逃げ出したくなったりすることもあるかもしれません。でも、そこをぐっとこらえて踏ん張ったことや、SAPIXの先生方に相談しながら壁を乗り越えた経験は、大人になって新たな困難に直面したときに、必ず皆さんを助けてくれる力になります。

今の努力は全て未来の自分へのプレゼントです。SAPIXには頼れる先生方と、共に切磋琢磨できる最高の仲間がそろっています。体調に気をつけて、ぜひ素晴らしい未来のために、最後まで悔いのないように駆け抜けてください。応援しています!

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