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東京都立日比谷高等学校 2023年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

1 リスニング問題:小問数5

例年通り問題Aと問題Bに分かれています。問題Aは3つの対話文とその内容に関する質問がひとつずつ放送され、答えとして適切なものを選ぶ形式でした。問題Bは外国人の先生が中学生に向けて行ったスピーチについて、放送された質問に対して適切な答えを選ぶ形式と英語で記述する形式でした。

2 対話文の読解(約1310語):小問数7

食肉をめぐる、環境問題をはじめとするさまざまな問題について生徒4人が話し合う対話文です。問4で本文の内容と一致している「文」ではなく「グラフ」を選ぶ形式が3年ぶりに出題されました。文字で与えられた情報を視覚情報に変換する必要がある問題です。また、問5では30語以上の英作文が出されていることから、合格には高い記述力が必要不可欠であることが分かります。

3 説明文の読解(約1280語):小問数8

身近にあるものが持つデザインの役割についての説明文です。複数の文のうち、本文の流れから考えて「取り除くべき文」を選ぶ問2や、筆者の意図を正しく換言したものを選ぶ問4では、正確に文脈を把握することが求められています。また、問5では、5年連続で本文の流れに合う内容を15語以上で書く英作文が出されています。このような、ミスのない英文を書くことに留まらない高い記述力と深い思考力の両方が求められる問題は、都立日比谷高の特徴の一つです。

4 自由英作文:小問数1

2022年に続いて、複数の資料をもとに自分の考えを記述する形式です。2023年は、示された2つの案のうちどちらが良いと思うかを、根拠を挙げて記述する問題でした。英文を正確に書くことはもちろん、多角的に与えられる情報を読み取り、矛盾のない内容を記述する力、情報を分析する力、そして論理的思考力が求められています。

数学

1 小問集合

平方根の計算、二次方程式、一次関数の変域、カードの確率、作図の5問構成で、2022年からほぼ変化はありませんでした。難度としては取り組みやすく、都立日比谷高の受検生であれば、いずれもミスなく完答を目指したいところです。

2 二次関数

2つの放物線と直線によってできる図形に関する問題でした。〔問1〕は基本問題、〔問2〕も深く考え込まず、素直に座標を文字で表していけば難度は高くありません。丁寧に計算を進め、正解したいところです。

3

〔問1〕は角度を求める基本問題、〔問2〕(1)の証明問題も等しい角度に着目しながら考えれば、方針は立てやすい問題でした。〔問2〕(2)は(1)の結果をうまく利用すれば、容易に求めることができますが、解法によって差がついたと思われます。

4 空間図形

円錐の一部と三角錐を組み合わせてできる立体に関する問題でした。〔問1〕〔問2〕は適切な平面を取り出すことがポイントで、〔問2〕はやや計算量が多いため高い処理能力が求められました。〔問3〕は比較的取り組みやすい問題なのでどれだけ時間を残せたかが鍵でした。

国語

1 漢字の読み取り

例年通り、受検生になじみの薄い高難度な語句を含む計5問が出されました。

2 漢字の書き取り

4年連続で出題された四字熟語はなくなり、例年通りの難度のものが計5問出されました。

3 山本兼一『花鳥の夢』

安土桃山時代の有名な絵師が、破門された人間との再会を通して、自分の芸術に関する考え方を見つめ直す様子を描いた小説文でした。主人公が気づきを得るというストーリー構造は、近年の出題内容とも共通します。2022年に一度なくなった記述が復活しました。ほかの設問は例年通りすべて記号選択形式でした。

4 若林幹夫『地図の想像力』

地図が制作されることで作り上げられる社会と歴史、そしてそこから人間が抱く世界像について述べた論説文でした。抽象的な内容ですがテーマはシンプルでした。記号選択5問と制限字数250字以内の作文1問の6問構成で、例年出題されていた記述が4年ぶりになくなりました。しかし、要求される作業量が全大問中最も多いのは変わりません。そのため、この大問に使える時間が確保できたかどうかがポイントでした。

5 尼ヶ崎彬『花鳥の使』

室町時代の連歌師である心敬と伝統的な和歌世界の物の見方の違いについて考察した文章でした。複数の古文が引用されていますが、説明書きが併記されているので丁寧に筋を追って読むことが大切でした。例年この大問では抜き出しが出されていましたが、2023年は2022年に引き続きすべての設問が記号選択でした。