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慶應義塾女子高等学校 2023年出題傾向リサーチ(数学解答速報も公開中)

出題傾向リサーチ

英語

1 図表の読み取り(約240語):小問数4

2021年から引き続き、リスニングに代わって、グラフなどの図表と短い文章から情報を読み取る問題です。2023年は世界の食糧消費と廃棄量がテーマで、設問は(A)(B)(C)の3つのパートに分かれています。グラフと英文の関連性を慎重に読み取る必要があり、問題の分量に対して、解答するために思いのほか時間がかかった大問だと思われます。

2 説明文の読解(約680語):小問数12

「迷信・験かつぎ」についての説明文です。迷信を信じる人の年代や性別ごとの特徴、また験かつぎをする理由や心理面に与える効果などが述べられています。問2は下線部内の空所に入る単語を選ぶ形式で、日本語訳も与えられていますが、正解するためには日本語で判断せず、英文の構造から判断する必要がありました。問4は英訳、問6は和訳が出題され、いずれも長い解答を記述する必要がある難問です。

3 対話文の読解(約450語):小問数12

日本の「折り紙」をテーマとした対話文です。問2は慶應女子高の典型問題と言える、文章内の空所に入る英文を選択する問題です。問7は「方向」を表す2つの単語が何の比喩として用いられているかを考える問題でした。

4 説明文の読解(約510語):小問数9

ジャガイモの歴史について述べられた説明文です。この大問でも和訳、英訳、英問英答という3種類の記述が出題されています。問4は場面の状況を正確に表しているものを選ぶ分析力が求められました。

5 自由英作文:小問数1

本を読む場合、図書館で借りるのと書店で買うのとどちらが良いか、理由を含めて50語程度で意見を述べる英作文です。2022年の「対面授業とオンライン授業のどちらが良いと思うか」というテーマと同様、受験生には考えやすいものだったと思われます。

数学

1 小問集合

[1]文章題、[2]整数の2問からなる小問集合でした。[1]は条件が多少複雑なため、問題文を落ち着いて読み、冷静に対応できたかどうかがポイントでした。[2]は整数の和、差、平方に関する問題でしたが、解法への道筋を見出しやすい問題だったと思われます。

2 文章題

総当たり戦の勝ち点についての問題でした。丁寧に誘導がついていたので、序盤は難なく正解を得られたと思われます。中盤以降は状況を整理して論理的に考える必要があり、差がつきやすい問題だと言えます。

3 二次関数

放物線と座標平面上の三角形に関する問題でした。慶應女子高の入試問題としては標準的な難度の問題と言えますが、出題の意図を読み取ることで、さらに短時間で正解を得られたことでしょう。

4

円の中にある三角形の相似に関する問題でした。慶應女子高の受験生にとっては基本的な内容であり、数値も計算しやすい設定だったので、手早く完答することを目指したいところです。

5

三角柱に内接する球とその切断面に関する問題でした。[1]は典型問題で、短時間で正解したいところです。[2]も類題演習の経験がある受験生が多かったと思われますが、やや数値が複雑になるため、注意深く解き進める必要がありました。丁寧に図を描き、正確に状況を把握できたかどうかもポイントでした。

 


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国語

1 齋藤孝『なぜ日本語はなくなってはいけないのか』

2023年は論説文・古文・小説文の3題構成でした。2022年は2題構成で、ここ数年、大問構成が年ごとに変化していますが、設問の内容に大きな違いはありません。大問1は、今日、英語力が重視される風潮があるなかで「日本語学習の意義」を論じた文章でした。記述は2問と少なめですが、例年と同様に的確な内容を複数盛り込む必要があり、受験生の間で得点差が生じたと考えられます。抜き出しは字数制限がなく、設問の指示を正確に把握しないと、解答を探すのに時間を大幅に取られてしまうので、注意が必要です。文学史は受験生にとって解答しにくいものでした。

2 『建礼門院右京大夫集』

古文単体の出題は2019年以来4年ぶりです。鎌倉時代初期に成立した作品で、文章は短めですが情景描写が多く、受験生にとっては把握しにくい内容でした。特に、記述2問では文中の表現を解釈し解答をまとめる必要があり、苦戦した受験生も多かったと思われます。古典常識に関する設問は、いずれも基礎的な内容なので確実に正解したいところです。

3 菊池寛『マスク』

世界的な感冒が日本でも流行するなか、世間の変化とともに揺れ動く主人公の心情を描いた小説文でした。舞台は大正時代で、文体が若干現代のものと異なりますが、受験生もイメージしやすい内容なので読み取りにくさはありません。記述6問は、どれも主人公の心の機微に関連するもので、理由や状況と心情を的確に把握し、表現する必要がありました。ここで大きく点差が開いたと考えられます。例年通り、品詞分解の問題がありますが、標準的な難度なので、失点を避けたいものでした。