東京学芸大学附属高校 2026年 教科別入試問題分析
英語

1 リスニング問題:小問数5
英文の放送を聞き、質問の答えとして最も適切なものを選ぶ問題です。2023年から、英文の放送は1回のみです。質問は問題用紙に印刷されていて放送されません。試験開始直後の実施のため、限られた時間の中で問題に目を通し、聞き取るべきポイントを把握しておく必要があります。
2 説明文の読解(約490語):小問数8
アメリカとブラジルでの時間に対する考え方の違いに関する説明文です。対比関係を意識しながら読み進める必要がありますが、文章構成は複雑ではないので解釈に大きく苦労することはないと思われます。実験結果に含まれる数値に注意を払うことができるかどうかがポイントでした。
3 物語文の読解(約950語):小問数10
叔父からの遺産の使い道に悩む青年の物語文です。例年と比べて文章がやや長く、登場人物の心情が読み取れるような直接的な表現はほとんどないため、読解のスピードと正確さの両方が求められます。本文中の空所を補充する選択問題が3つあり、空所付近の表現をヒントに解き進める必要がありました。また、与えられた日本語に沿ってセリフを完成させる記述問題では、文法事項の正確な理解が求められました。全体として、ほかの説明文2つに比べて難度が高いと考えられます。
4 説明文の読解(約1110語):小問数14
中世の城での生活について述べた説明文です。城の設備やそこで生活する人々の描写について正確に想像しながら読み進める必要があります。設問の過半数を占める空所補充問題は、ほとんどがその前後を参照すれば正解できるものでした。一方、並べかえ英作文は文脈を正確に理解したうえで接続詞や不定詞を使いこなす必要がある難問でした。長文の総語数は2500を超えて、2025年の約1980から大幅に増加しました。
| 年 | 長文読解 | 記述 | 文法 | リスニング | 発音・語彙 | |||||
| ① | ② | ③ | ④ | 日本語 | 英語 | 大問 | 長文内 | |||
| 2026年 | 説明文 | 物語文 | 説明文 | - | ● | ● | ● | |||
| 2025年 | 物語文 | 説明文 | 説明文 | - | ● | ● | ● | |||
| 2024年 | 物語文 | 物語文 | 説明文 | - | ● | ● | ● | |||
| 2023年 | 物語文 | 説明文 | 説明文 | - | ● | ● | ● | |||
| 2022年 | 説明文 | 物語文 | 物語文 | - | ● | ● | ● | |||
数学

1 小問集合
(1)平方根を含む累乗の計算、(2)連立方程式、(3)変化の割合、(4)データの活用と例年通り4題の構成でした。5年連続で出題されていた確率がなくなり、その代わりに5年ぶりにデータの活用が出題されました。複数解答だったこともあり、例年に比べると取り組みにくいと感じた受験生もいたかと思われます。
2 関数
座標平面上にできる三角形の面積に関する問題でした。テーマ自体は高校入試において頻出なものでしたが、文字を使った計算がやや煩雑でした。また、(3)が複数解答だったため、全体を通して慎重に取り組む必要がありました。
3 平面図形
四角形内部に対角線を引くことでできる三角形について考察する問題でした。ある定理をモチーフにした図形であり、ほかの高校でも出題されたこともありますが、取り組んだ経験がなくても小問の流れに沿っていくことで完答を目指せる問題でした。
4 立方体と動点
立方体の辺上を動く2つの動点を結んだ直線に関する問題でした。動点の問題は学芸大附高では頻出であり、直近5年間で4回出されています。しっかり対策をしてきた受験生は落ち着いて取り組めたことでしょう。動点の動き自体もシンプルだったので、問題の意図を掴んで手早く調べたいところです。
5 空間図形
立方体と四角錐を組み合わせた図形に関する問題でした。与えられた設定から適切な切断面を取り出す必要がありました。最後の大問であったこと、空間図形が2題続いたこともあって、時間的にも精神的にも余裕を持ってこの大問に取り組めたかどうかが得点差に現れたことでしょう。
| 年 | 計算問題 | 整数 | 作図 | 証明 | 文章題 | 円 | 平面図形 | 関数 | 二次関数 | 場合の数 | 確率 | データの活用 | 空間図形 | 球 |
| 2026年 | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||||
| 2025年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||
| 2024年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
| 2023年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
| 2022年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
国語

1 福永真弓『自炊と自己家畜化』
社会システムに依存してしか生きられない人間にとって、「自炊」がどのような意味を持っているのかというテーマについて、猫の餌をカスタムする話を引き合いに出しながら考察した文章です。筆者の主張がはっきりしているので、取り組みやすい大問だったと考えられます。設問は内容理解に関するものが中心で、接続詞に関する1問も含めて、ほとんどが記号選択でした。選択肢の中にはまぎらわしいものもあるので、文章全体にわたって注意深く読む必要があります。そのほか、漢字の読み取り、書き取りが合計5問出されていますが、受験生にとってなじみのないものも含まれていました。
2 天沢夏月『青の刀匠』
武器である刀をなぜつくるのかという疑問に対して真剣に向き合いながら、伝統工芸を受け継いでいく人々の姿を描いた文章です。登場人物各々が抱える事情が徐々に明らかになっていく展開で、テンポよく読めるものでした。設問は記号選択のみで、心情把握や傍線部の内容把握、理由説明といった読解力を問うものが中心です。知識分野として、語句の意味2問と口語文法1問が出されています。
3 『唐物語』
中国の故事を紹介した説話集からの出題で、春秋時代の君主にまつわるエピソードです。注釈を参考にして注意深く読む必要があります。文章の細部まで理解できていないと、指示内容の把握や、理由説明といった読解力を問う記号選択や、空欄補充に対応できません。そのほか、知識分野では、古文単語の意味2問が出されていますが、いずれも標準的な難度だったので、確実に得点したいところでした。
| 年 | 文章1 | 文章2 | 文章3 | 文章4 |
| 2026年 | 福永真弓『自炊と自己家畜化』 | 天沢夏月『青の刀匠』 | 『唐物語』 | - |
| 2025年 | 山極寿一『森の声、ゴリラの目』 | 滝口悠生『音楽』 | 『古今著聞集』 | - |
| 2024年 | 市橋伯一の文章 | 川上弘美『真面目な二人』 | 『十訓抄』 | - |
| 2023年 | 菊池暁『民俗学入門』 | 乗代雄介の文章 | 『一休ばなし』 | - |
| 2022年 | 宇野重規『〈私〉時代のデモクラシー』 | 池澤夏樹『スティル・ライフ』 | 『花月草紙』 | - |
理科

1 植物、生態系、生殖(生物)
植物の分類などに関する小問集合で、主に知識問題が出されました。判断の難しい問題もありますが、あまり時間をかけずに解き終えたいところです。
2 力、運動とエネルギー(物理)
力と運動に関して、法則や現象の理解度を測る問題でした。中学生が間違えやすい内容が多く含まれていたため、得点差がついたと思われます。
3 化学変化、物質の特徴(化学)
金属の利用の歴史をテーマに、化学変化や密度に関して出題されました。問題文の中にヒントや条件が隠されていたため、読み飛ばさないように注意する必要がありました。
4 地質、地震(地学)
火山噴出物と地震に関する問題でした。正誤問題は一つずつ確実に判断する必要がありました。
5 気体、化学変化(化学)
気体に関する基礎知識、実験操作に関する細かい知識、化学変化の計算問題などが出されました。化学変化の問題は、知識不足によって連続して間違える可能性がありました。
6 生殖、生態系、人体(生物)
前半はミジンコの生態に関する問題で、図やグラフを読み取る力が問われました。後半は人体に関する基礎レベルの問題で、失点せずに解ききりたいところです。
7 電流(物理)
電子線に関する問題でした。基本事項だけでなく、それらをふまえた標準レベルの問題も含まれています。
8 天体(地学)
天文観測をテーマにした基礎から標準レベルの問題でした。(5)は知識と図を組み合わせて解く問題で、状況をイメージする力が試されました。
| 年 | 物理分野 | 化学分野 | 生物分野 | 地学分野 |
| 2026年 | 力、運動とエネルギー、電流 | 化学変化、物質の特徴、気体 | 植物、生態系、生殖、人体 | 地質、地震、天体 |
| 2025年 | 仕事、運動とエネルギー、電流 | 気体、化学変化 | 植物、動物、人体、生殖 | 天体、天気、岩石 |
| 2024年 | 電流、磁界、力、運動 | 物質の特徴、中和、イオン | 生態系、植物、人体、微生物 | 火山、地層、天気、天体 |
| 2023年 | 電流、運動とエネルギー、力 | 化学変化、物質の特徴 | 動物、顕微鏡、生殖、植物、遺伝 | 地震、火山、天体、天気 |
| 2022年 | 電流、磁界、運動とエネルギー | 化学電池、気体、物質の特徴 | 植物、動物、人体 | 天気、天体、岩石、火山 |
社会

1 公民総合
憲法第9条と安全保障に関する生徒の会話から国際社会・財政を中心に出題されました。難度は高くないものの、組み合わせを選ぶ形式が多く選択肢の数も多いため、資料や問題文をしっかり見て丁寧に解く必要がありました。
2 日本史総合
古代から近代にかけての日本・中国・朝鮮の関係史からの出題でした。教科書に掲載されている家系図・都の図といった資料や、多くの受験生が初めて目にするであろう史料を用いる形式は例年通りのものでした。標準的な難度であり、過去の入試問題で演習を積んできた受験生にとっては十分対応できるものでした。
3 歴史総合
栃木県宇都宮市に存在する建物や食文化をテーマとした歴史の総合問題でした。近現代の日本史・世界史に加えて地理分野からの出題もあり、柔軟に知識を引き出せることが重要でした。
4 世界地理
茶の歴史をテーマとした世界地理の問題でした。統計問題や気候区分に関する基本的な知識があれば対応できるもので、すべて正解したい大問でした。
5 日本地理
東北地方に関する出題でした。各県を統計をもとに判断していく形式は例年通りでした。文学史と関連づけた出題もあり、難度はすべての大問のなかで最も高いものでした。
| 年 | 日本地理 | 世界地理 | 日本史 | 世界史 | 政治 | 経済 |
| 2026年 | 東北地方 | アジアの地誌 | 古代~現代 | 中世~現代 | 憲法・国際社会 | 財政・社会保障 |
| 2025年 | 日本地理総合 | 経緯度・地形 | 古代~近代 | 古代~現代 | 地方自治・人権 | 企業・金融 |
| 2024年 | 近畿地方 | アフリカの地誌 | 古代~現代 | 近代~現代 | 選挙・政党 | 環境問題・消費 |
| 2023年 | 九州地方 | 世界地理総合 | 古代~現代 | 古代~現代 | 人権・三権・国際社会 | 環境問題・企業 |
| 2022年 | 近畿地方 | 世界地理総合 | 古代~現代 | 古代~近代 | 人権・地方自治・内閣 | 経済総合 |