神奈川県公立高等学校(特色検査) 2026年 教科別入試問題分析
自己表現検査(60分)
神奈川県は2019年から上位校の特色検査(自己表現検査)の出題方法を、それまで学校がそれぞれ作成していた自校作成形式から変更しました。2026年には学力向上進学重点校8校(横浜翠嵐、湘南、柏陽、厚木、川和、横浜緑ケ丘、多摩、小田原)と学力向上進学重点校エントリー校10校(横浜平沼、光陵、希望ケ丘、横須賀、平塚江南、鎌倉、茅ケ崎北陵、相模原、大和、横浜国際)の計18校の県立高等学校において、「共通問題」と「共通選択問題」を組み合わせて実施しました。

以上をふまえて、2026年の主要校の出題をまとめました。学校が異なっても、すべての大問が同じになる場合があります。
それぞれの大問の出題内容は、以下の通りです。数学と理科に関する出題が多く、理系科目の学力が重視されていることが分かります。また、技能4科目については、技術家庭のみ出題されました。

【神奈川県立主要校の出題分析表】
問1【英語】【数学】【理科】
英語で書かれた「サグラダファミリア」についての会話文を読み、設問に答える問題でした。(イ)では、英文と与えられた図をもとに、「直線の位置関係」を読み取る問題でした。(エ)はプラスチックについて表から密度や性質を読み取る問題で、水に浮くかどうかは水の密度(1g/cm3)と比較する必要がありますが、類題の演習経験がある受検生が多いと思われる内容なので、比較的取り組みやすかったでしょう。また、英語の対話の内容を参照する必要もありました。(オ)は内容一致問題で、選択肢の英文が長く、それに伴い正誤を確認する情報量も増え、解答に時間がかかるものでした。
問2【理科】【社会】
クラスで発表するための「食品ロス」についての資料を読み、設問に答える問題でした。(ア)は、基礎的な割合の計算問題です。(イ)は、家庭の食品ロスに関する資料・グラフの読み取り問題で、3つの文と資料・グラフの数値を慎重に見比べる必要がありました。(ウ)は、企業の食品ロスに関するグラフの読み取り問題で、グラフの変化を正確に読み取り、選択肢の誤りを見つけることが求められました。(エ)は、乳酸発酵という見慣れない化学反応に関する応用レベルの計算問題でした。原子量が与えられていないため、化学式から乳酸(C3H6O3)とグルコース(C6H12O6)の関係性に気づくことができればその先は容易でした。(オ)は、食品ロスに関する生徒の会話文をテーマとした問題でした。文章のポイントを読み取って、テーマに沿うかどうかを判断する必要がありました。
問3【数学】【理科】【社会】【技術家庭】
木材加工の道具についての会話文を読んで、設問に答える問題でした。(ア)は、大工道具・作業に関する図を用いた問題でした。それぞれの大工道具・作業についての説明があるため、判断は容易だったと思われます。(イ)は、さしがねについての正誤問題でした。aは計算することで正誤判断が可能ですが、bとcはさしがねの形を元にさまざまな作図の仕方を考察する必要があり、正確に判断することが難しかったのではないかと思われます。(ウ)は、炭素の同位体の残存率から経過年数を求める問題です。一見すると理科的な問題ですが、理科の知識が無くても対処が可能な問題です。(エ)は、形の異なる木材を組み立ててできる立体の完成図を元に、寸法などを考察する問題でした。木材を差し込む方向や引き出した際の木材のずれ具合などを図示しながら考える必要があり、苦戦した受検生が多かったと思われます。
問4【数学】【国語】
ほかの大問とは異なり、それぞれの設問に共通したテーマがない、独立した小問の集合問題でした。(ア)について、(ⅰ)は、韻を踏んでいる歌詞を選ぶ問題と、正岡子規の書いた近代文語文の正しい解釈を選ぶ問題でしたが、比較的答えやすいものでした。近代文語文は古文に近いので、古文の学習をしっかり重ねていた生徒が有利だったと言えましょう。(ⅱ)は、話し合いの中の空欄を埋め、文を完成させる記述問題でした。指定された語をヒントとして、複数の資料に共通する内容を抽出する必要があり、差がついたものと思われます。(イ)は、与えられたルールでノートの並べかえをする問題でした。ルール自体は単純ですが、取りこぼしのないよう慎重に解答する必要がありました。(ウ)は、立体迷路の問題です。内部の空間が複雑であるため、回転後の立体を図示し、上下左右の変化に注目しながらビー玉の位置を把握しなければならず、時間内に解ききるのは難しいと思われます。
問5【理科】【社会】
黒部峡谷などをテーマにした会話文を読み、設問に答える問題でした。(ア)は、地形図と立体模型を用いた問題でした。等高線の間隔を正確に読み取って、問題文の条件に則した事例を選ぶことが求められました。(イ)は、季節風の風向きや方角などに関する問題でした。前提条件となる文章の理解が必須だったため、慎重に読み取って解答することが求められました。(ウ)は、ダムの放水をテーマにした実験に関する問題です。初めて見る実験内容と結果を正確に読み取る力と分析力が試されています。(エ)は、ダムの治水をテーマにしたグラフを推察する問題です。流入量と放出量の関係をしっかりと理解する必要があります。(オ)は、物体にはたらく力に関する思考・分析問題です。複雑な条件を整理し、物体にはたらく力を考える必要があります。より典型的な条件での類題でも、間違えやすい内容のため、難問だったと考えられます。
問6【数学】【理科】【社会】
「エジプト」についての授業で発表する資料を読み、設問に答える問題でした。(ア)は、アフリカや西アジアでみられる地下水路に関する記述問題でした。必要な知識は基礎的なので、条件に則して正確に答えることが求められました。(エ)について、(ⅰ)は塩害に関する問題でした。本文からエジプトでの塩害について読み取り、応用する能力が必要です。(ⅱ)は、浸透圧やモル濃度に関する問題でした。高校範囲の内容ですので、本文を読み取り、立式して整理する力が必要です。テーマは理科ですが、作業内容としては数学の文字式とも言えましょう。 (オ)は、正四角錐の影から太陽の高度を求める問題です。典型的な問題ですが、角度の把握と煩雑な計算を要するため、概数を利用して、いかに時間を短縮できたかが重要でした。