【SAPIX再発見】理科・社会科編「高校受験と将来の可能性につながる理科・社会科の土台作りの重要性」

暗記科目と思われがちな理科・社会科ですが、昨今の難関高校入試では知識だけではなく思考力を問う問題が出されています。他方で、難関私立校で5科目入試を採用する動きが見られます。その背景には、国公立大や医学部への進学を念頭に置き、中学生の皆さんに高い総合力を身に付けて入学してほしいという思いがあるようです。今回は中学での理科・社会科の土台作りの重要性について、SAPIX中学部の講師が解説します。

解説:SAPIX中学部 理科教科長/SAPIX中学部 社会科教科長

中学で理社の学習にきちんと取り組むことが、なぜ大切なのか

理科 中学で理社の学習にきちんと取り組むことは、将来に向けて学習を積み上げていく、その土台になります。理科は高校に進むと、物理、化学、生物、地学に分かれ、大学ではさらに細分化されます。当然、学年が上がるにつれてそれぞれの内容はより高度になっていくので、その基盤を中学生のうちに作っておかないと、専門性が高くなったときに影響が出てくるわけです。

社会 社会科も、中学で勉強する内容は樹木の幹の部分に当たります。まずここをしっかり形作ればこそ、高校、大学で枝葉を伸ばしていくことができるのです。幹が太くなければ、自分の進路を考えたときに、選択の幅が狭まってしまいかねません。

理科 理科は高校、大学と進むにつれ専門性が高まっていきますが、中学では幅広い分野を学ぶことができるので、興味をひかれる分野を見つけるチャンスでもあります。関心を持って深く入り込めば入り込むほど面白くなっていく科目なのです。

高校受験を考えたとき、どのような力を付けておくべきか

理科 理科は、知識が問われる問題と、計算力や思考力を要する問題の二つに大別されます。難関校では後者を重視した出題が多くなります。ただし、計算力や思考力を必要とする問題も、その前提として知識がないと解けません。そして、知識をただ覚えるだけではなく、その原理もしっかりと理解しておく必要があります。受験直前になって知識を詰め込もうとするとどうしても丸暗記になってしまい、浅い理解のまま入試に臨むことになります。ですから、なるべく早い段階から理科の学習にきちんと取り組むことが重要です。

社会 社会科の場合、大きく分けて問われ方には三つのレベルがあります。まずは単純に知識を確認する問題。一問一答形式から始まり、少し高度になると文章中の誤りを記号で選ぶ正誤形式の問題になります。次のステップは、持っている知識を、資料を読み取るなかで活用できるかどうかを試す問題。与えられた文章や統計資料、史料など、いわばカムフラージュされたなかから出題者の意図を読み取り、求められた知識を答えていかなければなりません。そしてステップ3として、その知識を身近な生活のなかに落としこんで考えていく力が問われます。

SAPIXの理社のカリキュラムの特長とは

理科 理科では小6から高校受験を見据えたカリキュラムを組んでいます。中1では中学の全範囲の基本を学び、中2・3では難度を上げながら同じ範囲を繰り返し学ぶ、いわばらせん型のカリキュラムを採用しています。繰り返し学ぶことで学力を定着させることができるからです。受験期を迎えるまで何度も学習することで学力を確かなものにするのです。

例えば、公立中学校の3年次で学ぶ理科分野に「イオン」「遺伝」「運動」「天体」があります。これは高校入試でよく出題されるジャンルなのですが、苦手な生徒が多い、つまり受験で差がつく分野です。SAPIXでは低学年からこれらの分野を学習しているので、生徒も抵抗なく取り組んでいます。中3になってそれらの分野を初めて学習する場合、仮に導入部でつまずいてしまうと、受験までの時間的余裕がなく、立て直すのが難しくなります。早い段階から学習しておくメリットは大きいと思います。また、単なる暗記ではなく、なぜそうなるのかを理解する過程で自然と知識も身に付くような授業を心掛けています。

社会 社会科も理科と同じようにらせん型で、小6、中1、中2、中3と全ての単元を1周ずつ学習しながらレベルを上げていくスタイルは変わりませんが、学年ごとに特長、工夫があります。例えば、中1のテキストには「テーマ学習」という項目があります。つまらない社会科の授業の典型とはどんなものでしょうか。それは、テキストに書かれていることを読み上げ、板書するだけの一方的な授業です。中1の「テーマ学習」はそれとは対極的で、SAPIXの双方向授業による効果を最大限発揮するためのものです。

テーマ学習では、その単元を学ぶ上で軸となる部分をテーマとして設定し、生徒の思考を引き出していきます。例えば「第一次世界大戦」を扱ったテキストでは、これまでの戦争よりも戦死者が格段に増えた理由を問います。生徒とのやりとりを繰り返すなかで、市民革命以降、「国家」「国民」の意識が芽生え、戦争が権力者のものから国民全体のものへと変化したことや、産業革命以降、大量生産と技術革新によって強力な兵器が送り込まれるなど、軍事力だけでなく生産力などあらゆる力を動員して戦う総力戦となったことなどを導いていきます。このように、軸となる部分が理解できれば、そこに付随して覚えていく知識の定着度も上がっていきます。受験学年に近づくほど、「合格するための勉強」をせざるを得なくなりますので、低学年のうちは知識を詰め込むのではなく、社会科的な視点を磨き、学ぶ楽しさを知ってほしいと考えています。

理社の学力を伸ばすための学習法のヒント

社会 まずは授業をしっかり聞くこと。最終的には知識の蓄積が社会科の力になるのですが、知識をどう取り込んでいくかのヒントがSAPIXの授業にはあります。きちんと授業を聞かないと、断片的かつ大量に知識を覚えなくてはいけなくなります。二つ目は手間を惜しまないこと。テキストに知らない国名が出てきたときは地図を見る、歴史であれば史料部分にもしっかり目を通す、などです。教科書やテキストの太字の用語を覚えるだけでは、深い理解にはつながりません。三つ目は、覚えたものは忘れるという前提で勉強を進めていくこと。例えば、間違えた箇所を自分専用のノートにまとめておけば、それ1冊を読み込むだけで忘れたことをすぐに思い出せます。そうした工夫も必要です。

理科 社会科を「人間が作ったルールを理解する学問」だとすると、理科は「自然科学のルールを理解する学問」です。従って、学習する上でのアプローチには違いがあります。苦手とする生徒が最も多い物理でいえば、自然現象がどんな理屈で起きているかを理解し、その現象のルール(法則)を探究していく学問なので、それを理解できるかどうかがポイントになります。つまり、その基本さえしっかりと理解できれば、あらゆる問題に対応することが可能です。もしつまずいたら、基本問題・標準問題に戻って徹底的に繰り返すこと。難問に取り組んで、解けなければ次の難問というのが、物理を苦手とする人が陥りやすいパターンです。基本問題・標準問題を何度も繰り返し解き、ルールが体に染み込んでから難問に向かうことをお勧めします。

難関高校を目指す小・中学生にメッセージ

理科 5科目を課す難関高校では英数国と理社の配点が同じ学校も多く、理社の取り組み方で差がつくことも珍しくありません。早い段階から着実に力を付けていきましょう。理科は、世界中の研究者たちが長年にわたって自然科学を研究してきた成果を一瞬で学ぶことができるぜいたくな学問です。理科を学ぶ楽しさをぜひ、味わってほしいですね。

社会 社会科はその名のとおり、われわれを取り巻く「社会」に関連した学問であり、社会科を学ぶことでより知的にこれからの「社会」を生きていくことができるはずです。一般教養として重要であるばかりでなく、大学で学部を選択する際にも皆さんの選択肢や可能性を広げてくれることでしょう。受験科目でないからという理由で、せっかくの学びの機会を逃すのはもったいないので、広い視野を持って前向きに勉強していただけたらうれしく思います。

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