神奈川県は2019年から上位校の特色検査(自己表現検査)の作題方法を、これまで学校がそれぞれ作成していた自校作成形式から変更しました。具体的には、学力向上進学重点校の4校(横浜翠嵐・柏陽・湘南・厚木)および学力向上進学重点校エントリー校の中から3校(希望ヶ丘・横須賀・平塚江南)については、「共通問題」および「共通選択問題」を組み合わせて作成します。これらは2020年にはすべてのエントリー校まで拡大する予定です。

[イメージ図]
さて、以上を踏まえて、2019年の学力向上進学重点校の出題をまとめてみます。4校とも問1・問2が「共通問題」、問3・問4が「共通選択問題」でした。なお、横浜翠嵐高と厚木高のように、すべての大問が同じになる可能性があります。
問1 | 問2 | 問3 | 問4 | |
---|---|---|---|---|
横浜翠嵐高 | 共通A | 共通B | 選択C | 選択D |
湘南高 | 選択E | 選択F | ||
柏陽高 | 選択D | 選択F | ||
厚木高 | 選択C | 選択D |
[4校の大問の構成]
また、それぞれの大問の出題内容は、以下の通りです。さまざまな科目の力が求められていますが、特に数学や理科、それに国語に関する出題が多いことがわかります。また、実技科目についての知識も必要です。受検生はどの高校を受検する場合でも、特定の科目の学習に特化するのではなく、すべての科目について十分な学習をする必要があります。
英語 | 数学 | 国語 | 理科 | 社会 | 音楽 | 美術 | 保健 体育 |
技術 家庭 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
共通A | ● | ● | |||||||
共通B | ● | ● | ● | ||||||
選択C | ● | ● | ● | ● | |||||
選択D | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
選択E | ● | ● | |||||||
選択F | ● | ● | ● | ● |
[出題分析表]
- [共通問題A] 英語 数学
- 英語で書かれた、先生と生徒たちの対話文を読み、提示された表の内容も含めて理解する必要のある大問でした。対話文は、学力検査の英語の入試問題より難度が高いものでしたが、私立校の入試問題への対策もしていた受検生ならば、それほど難しく感じなかったと思われます。ただし、与えられた英文を正しい順番に並べかえる小問は、この大問の中では手間がかかるものでした。
- [共通問題B] 数学 国語 理科
- 3つの文章を読んで、その内容について答える大問でした。それぞれの文章内容に関する数学や理科分野の小問は標準的な難度でしたが、3つの文章のうち、2つの内容の共通点について考える小問は、文章の主題を掴む力が求められました。
- [共通選択問題C] 数学 国語 理科 保健・体育
- 中学校の保健体育の授業で3つの班がそれぞれ発表した内容について答える大問でした。その中でもフローチャートに関する小問は難問でした。設問の指示通りに取り組むと非常に時間がかかるので、解き方を工夫して、いかに短時間で解答できるようにするかがポイントでした。
- [共通選択問題D] 数学 国語 理科 社会 技術・家庭
- 農産物に関する複数の表や資料に記載された情報を使いながら考える大問でした。数学的な思考が求められる小問から、家庭科で学習する栄養素の知識に関する小問まで、幅広く出題されました。その中でも、複数の資料の情報を用いて計算する必要のあった小問は、計算に手間がかかることに加えて、計算結果を資料や選択肢と見比べなければならなかったため、多くの受検生が苦労したと思われます。
- [共通選択問題E] 数学 国語
- 数学的な思考が求められる小問を中心に構成されていました。展開図に関する小問と、与えられた図から操作の手順を考える小問は、丁寧に取り組むことができれば、正解にたどり着くことができたと思われます。しかし、素数に関する小問は、与えられた表をもとにして考え方を工夫しないと、時間がかかってしまうものでした。また、アンケート調査に関する小問は、指定された語句を3つ用いて25字以内で記述することが求められていて、必要な内容を短い字数にまとめる記述力が必要でした。
- [共通選択問題F] 数学 理科 社会 音楽
- 「メロディーロード」に関する対話文の内容と、図や表の内容を総合的に読み取る必要のある大問でした。音楽に関する小問は、音楽の知識を豊富に持っていなくても、対話文、図、表の内容を慎重に読み取れば正解することができました。しかしながら、音階、テンポ、音符の長さなどの知識があれば、より速く解くことができたと思われます。