埼玉県立入試で頻出の‘折り返し図形’といわれる平面図形の問題。本ページはこの折り返し図形の性質を紹介すると共に、発展問題を通して幾何のさまざまなテーマを習得するのが狙いです。
目次
- まずは前提の理解(7月1日 掲載)
- 正三角形に折る(7月16日 掲載)
- 長方形内に現れる正三角形(8月3日 掲載)
- 折り返しの直角を利用した相似(8月17日 掲載)
- 相似を利用した解法(9月1日 掲載)
- 三平方の定理を利用した解法(9月16日 掲載)
- 十文字法を利用した解法(10月1日 掲載)
- 座標幾何の導入(10月16日 掲載)
- 典型問題でまとめ練習(11月2日 掲載)
- 3:4:5の直角三角形が生み出される土壌(11月16日 掲載)
- 1:√2の辺比の長方形を折る(12月1日 掲載)
- 長方形の紙を三つ折りする(12月16日 掲載)
- 演習問題
まずは前提の理解
2つの下図はAD>ABの長方形です。
左図は太線で示した対角線BDを折り目としたもので、頂点AがA′へ移っています。一方の右図は、頂点Aが頂点Cと重なるように折ったものです。同じく太線が折り目となって頂点BがB′へ移っています。
いずれの場合でも、元の図形と色の付いた図形は、“折り目(太線)について対称”であることの理解が大切です。つまり、左図では線分AA’が、右図では線分ACが折り目によって垂直に二等分されています。太線はいわゆる対称の軸です。

折り返しの定石 1
平行線を折り返した図形では、二等辺三角形(下記色のついた三角形)が生まれます。
例えば下記【図1】であれば、
①∠ADB=∠A′DB (∵ △ADB≡△A′DBより)
②∠ADB=∠CBD (∵ AD∥BCで平行線の錯角)
これより△DBEにおいて、∠BDE=∠EBDが成り立つからです。

現れる合同な三角形
すると下記のような合同な直角三角形(色のついた三角形)を見出すこともできます。
また【図5】ではEA=ECでもあるので、AE=FC、AE∥FCだから四角形AFCEはひし形であることから、ここからも合同な直角三角形を導くことができます。

折り目が長方形の中心を通る
【図6】で折り目BDは長方形の対角線だから、明らかに‘長方形の中心M’を通ります。また【図7】では、ひし形AFCEの対角線の交点は線分ACの中点Mと一致するから、EM=MFです。これにより折り目EFが‘長方形の中心M’を通ると言えます。

[2015.7.1]
正三角形に折る
正三角形の作図

線分PQを一辺とする正三角形PQRの作図法は右図がよく知られています。
直線 l を、頂点Rを通る正三角形の対称軸とすると、これは線分PQの垂直二等分線となっています。
正方形から正三角形を紡ぎ出す
ここでは正方形を用意して、その内部に正三角形を作り出す手法を2つ紹介します。
折り返しの定石2A
辺BCを一辺とする正三角形を作るのに、【図1】のように辺BCの垂直二等分線を立てます(つまり、たてに半分に折る)。それを直線MNとします。
さて【図2】のように点Cが直線MN上にくるように折ります。この点をC′とすると、BC=BC′(…①)がいえます。今度は【図3】のように点BをB′へ移すと、BC=B′C(…②)となり、点C′とB′は対称性より一致します。
そこで①②よりBC=BC′=B′Cとなるので、【図4】のように正三角形ができあがります。

このことは正方形に限ったことではなく、【図5】のような長方形であっても、短辺(この場合はBC)を一辺とする正三角形【図6】を作ることができます。【図7】のような横長の長方形でも、短辺(この場合はCD)を一辺とする正三角形が同様に考えられます。

折り返しの定石2B
続いての方法もよく知られています。
今度は対称軸MN上に頂点A、Dが載るように移します。対称性によりこれらは一致し、一致した点を点Eとします。
すなわちBC=EB=ECとなり、正三角形ができあがります。

正三角形の発展問題
正三角形になる折り方はこれだけではありません。
興味がある方は、演習1にチャレンジしてください。
[2015.7.16]
長方形内に現れる正三角形
長方形を折り返した図形において、中に正三角形が現れることがあります。今回はこうしたケースを紹介します。
正三角形の折り方Ⅰ

【図1】は対角線ACに沿って折ったものです。頂点DはD′へ移ったとし、辺AD′と辺BCとの交点をEとします。BE:EC=1:2ならば正三角形はどこに現れるでしょうか。
解説
折り返しの定石 1より【図2】において、△AECはAE=CEです。よって直角三角形ABEにおいてBE:AE=1:2だから、これは正三角形の半分(★)です。したがって、∠EAB=30°から、∠DAD′=60°で、これとAD=AD′から【図3】の△AD′Dが正三角形です。

正三角形折り方Ⅱ

【図4】のように頂点Dが辺BCの中点Mへ重なるように折ります。このとき正三角形はどこに現れるでしょうか。
解説
AM=AD=2BMです。すると【図5】の直角三角形ABMは、BM:AM=1:2だから★です。よって∠MAB=30°から、∠DAM=60°であって、これより【図6】の△AMDが正三角形です。

正三角形の折り方Ⅲ

【図7】のように頂点Dが辺BCに重なるように折ります。このとき辺CD上の点Eに対してCE:ED=1:2となれば、正三角形はどこに現れるでしょうか。
解説
ED=ED′だから、【図8】のように直角三角形ECD′においてEC:ED′=1:2なので★です。そこで∠ED′C=30°、∠AD′E=90°より、∠AD′B=∠D′AD=60°となって、これより【図9】のように△AD′Dが正三角形です。

正三角形の折り方Ⅳ

【図10】のように頂点DがBへ重なるように折ります。このとき辺CD上の点Eに対してCE:ED=1:2ならば、正三角形はどこに現れるでしょうか。
解説
DE=BEだから、【図11】の直角三角形ECBにおいてEC:BE=1:2より★です。そこで∠CBE=30°より、∠EBF=60°です。またこれと折り返しの定石 1より、BE=BFだから【図12】、【図13】のように△EFBが正三角形です。

最後に構図を解き明かす
これらⅠ~Ⅳを少し俯瞰的に眺めてみると、ある一つの構図に行き着きます。下図で太線で囲った長方形に目をやれば、Ⅰ~Ⅳの図形はすべて太線の長方形内にすっぽりと収まっています。
実はこれが今回の主となる大もとの図形であって、例えばⅡとⅢを比較するならば設問の問いかけ方を変えただけ。それにⅠならば太線の長方形の下部を、Ⅳでは左半分を消し去った問であることが分かります。

[2015.8.3]
折り返しの直角を利用した相似
問題1

三角形の相似に注目
次の三角形の相似の組み合わせに注目します。
折り返しの定石3

∠DFC=90°-∠FDC(…①)
∠DFC=90°-∠EFB(…②)
①②の右辺どうしを比較することで、
∠FDC=∠EFB
これと∠EBF=∠FCD=90°より、
∴ △EBF∽△FCD
長方形や正方形の折り返しでは、この三角形の相似のペアを欠かすことができません。
ここから読みとれる辺比の関係

先ほどの相似のペアの対応する辺では、EF:EB=FD:FC(…④)【図3】。

さてここで、EF=EA、FD=ADだから【図4】、④でこれと入れ替えて、EA:EB=AD:FC(…⑤)となります。
またAD=BCなので、⑤のADとBCを入れ替えれば、AE:EB=BC:CFとなります。
定理1

例題で試してみましょう。
例題1

解法
例題2

解法
問題1の解答は?
ここまで学んだところで、いよいよ問題1の解答です。
EB:EA=EB:EFであって、この比とFC:FDは等しくなります。
またFD=AD=BCなので、
となります。
※注:△EBFで三平方の定理を用いてしまうと、計算がより複雑になります。
[2015.8.17]
相似を利用した解法
ここでは折り返しの定石3を利用する問題を2題紹介します。
問題2

【図1】の長方形において頂点Aが辺BCに重なるようにDEで折り、その点をA′とする。
このときBA′の長さを求めよ。
解法
まずEA′=EA=5、A′D=AD=15を準備し、ここで折り返しの定石3の、2つの相似な三角形に着眼します。
すると△EBA′∽△A′CDにおいて、その相似比は5:15=1:3(…①)
この相似比を用いて問題を解決していきます。

①の辺比を利用することで、
BA′=xとおくと、CD=3x
A′C=15-xより,EB=15-x3
と【図2】のように辺の長さが揃います。
そしてCD=(AB=)AE+EBを利用すると、
3x=5+15-x3 ∴ x=3
こうしてBA′=3となります。
問題3

【図3】の長方形において頂点Aが辺BCに重なるようにDEで折り、その点をFとする。
△EBF:△FCD=9:25のとき、AE:EBを求めよ。
解法
折り返しの定石3より、△EBF∽△FCD
題意よりこれらの三角形の面積比が9:25なので、
相似比は3:5(…②)。
今回のこの辺比を利用します。

②より、
EB=3aとおけばFC=5a
BF=3bとおけばCD=5b
と【図4】のように準備します。
さてここで、AE:AD(=EF:FD)=3:5だから、
(5b-3a):(3b+5a)=3:5
となって、整理してb=158a
すると求めるAE:EBは、
AE:EB=(5b-3a):3a
=(758a-3a):3a=518a:3a=51:24=17:8
より17:8が答です。
[2015.9.1]
三平方の定理を利用した解法
折り返した辺の行き先が直角三角形の斜辺へ移ることから、攻略には、「三平方の定理」も有用です。ここではその使い方を紹介します。
折り返しの定石4

【図1】の折り方では、太線で囲む2つの直角三角形ⒶⒷのどちらか一方に、「三平方の定理」を活用するとよい。
問題2(再掲)

【図2】の長方形において頂点Aが辺BCに重なるようにDEで折り、その点をA′とする。
このときBA′の長さを求めよ。
(ただし、「三平方の定理」を用いた解法で。)
解法
問題4

【図4】において、EDを折り目としたとき、頂点Aが辺BC上に重なり点Fとする。
このときFCの長さを求めよ。
解法
[2015.9.16]
十文字法を利用した解法
折り返しの定石 6

【図1】の長方形の折り返しにおいて、色のついた三角形に注目すると、これはいくつかの三角形と相似になる。

実際、AE⊥FDから、【図2】のようになるから、△AGF∽△ABE∽△DAFである。
このことを正方形に限定すれば、次の定理が有名です。
定理 2

【図3】において、EF⊥GHならば、EF=GHとなる。

証明 点EからBCへ垂線EIを、点HからABへ垂線HJを引く。
ここで△EFI≡△HGJを示せば、題意のEF=GHが明らかとなる。
△EFIと△HGJにおいて、
∠EIF=∠HJG(=90°)…①
EI=HJ(=正方形の辺)…②
さてここで、∠ELM=∠HKM=90°、∠EML=∠HMKより、
△ELMと△HKMの内角の和を利用すれば、
∠MEL=∠MHKが成り立つ。つまり、
∠IEL=∠GHJ…③
以上①②③より合同が示される。
∴ EF=GH(証明終わり)
そこで問題2を折り返しの定石6(十文字法)を使って解いてみます。
問題2(再掲)

【図5】の長方形において頂点Aが辺BCに重なるようにDEで折り、その点をA′とする。
このときBA′の長さを求めよ。(ただし、「十文字法」を用いた解法で。)
解法

折り返しの定石6より、【図6】のように△AFE∽△DAEとなる。

ここで△DAEの三辺の比は【図7】であるから、
AF=AE=
×5=
さて、点Aと点A’は点Fについて対称だから、
AA′=2AF=2×=
そして△AFE∽△ABA′であることから、△ABA′の三辺の比も【図7】を利用できて、
BA′=AA′=
×
=3
続けて問題3もこちらの方法で解いてみます。
問題3(再掲)

【図8】の長方形において頂点Aが辺BCに重なるようにDEで折り、その点をFとする。
△EBF:△FCD=9:25のとき、AE:EBを求めよ。
解法

△EBF∽△FCDより、その相似比は3:5。
したがって、BF=3aとおけばCD=5a
よってAB=5aだから、ここで△ABFに着目すれば【図9】、
三平方の定理により、AF=a
つまり、AB:AF=5a:a=5:

AE=




=517a
そうすると、AE:EB=175a:(5a-175a)=175a:85a
=17:8
興味のある方は、演習2にチャレンジしてください。
[2015.10.1]
座標幾何の導入
問題5

【図1】のような1辺が8の正方形ABCDがあり、頂点Bが辺ADの中点Mに重なるようにEFを折り目として折る。
このときFCの長さを求めよ。
解法1
解法2

上記AE=3が求まったあと、次のように解くこともできます。
定理2の証明で用いた合同な三角形を利用すると、
【図4】で△MAB≡△EHFとなるから、EH=MA=4
EB=AB-AE=8-3=5だから、
FC=HB=EB-EH=5-4=1
このように相似を用いずシンプルに解決することもできます。
折り返しの定石6改

【図5】の正方形において、色のついた2つの三角形は合同である。
(証明は定理2と同様)

さてこの問題において、【図6】のように頂点Bを座標平面上の原点Oに載せ、直線BCをx軸、直線BAをy軸と見立て、“座標平面上の関数の知識”を用いて解く方法を紹介します。
解法3
点B(0,0),A(0,8),C(8,0),D(8,8)とします。
するとM(4,8)から、BMを通る直線の式はy=2x
次に直線EFは、直線BMと垂直に交わるので傾きは-12
解法1でAE=3だからE(0,5)となり、この点を通るから、直線EFの式はy=-12x+5
点Fのx座標は8で、これを上記の直線の式へ代入すると、y=1 ∴ F(8,1)
このことから点CとFのy座標の差をとりFC=1と求めることができる。
※この方法を『座標幾何』といいます。
折り返しの定石7
正方形や長方形といった直角を持つ図形は、図形の角を座標軸の交点に合わせ、頂点や各点の座標をとり、さらに線分を直線の式として表すとよい。
[2015.10.16]
典型問題でまとめ練習
今回はこれまでに習ったさまざまな解法の確認をしていきます。
問題6

【図1】のような1辺18の正方形ABCDがあり、図のように頂点Bが辺ADを2:1に分けた点Eに重なるように折る。
このとき次の各問に答えよ。
(1)FBの長さを求めよ。
(2)四角形EFGC′の面積を求めよ。
解法1 三平方の定理と相似による解法
解法2 十文字法による解法
解法3 座標幾何による解法

(2)折り返しの定石7より四角形ABCDを座標平面上で表す【図8】。
点B(0,0),A(0,18),C(18,0),D(18,18)
とするとE(12,18)から、BEを通る直線の式はy=32x
次に直線FGは、直線BEと垂直に交わるので傾きは-23
FB=13だからF(0,13)となり、
直線FGの式はy=-23x+13
すると点G(18,1)だから、GC=1となり、後は先ほどと同様である。
問題7

【図9】のようなたて23、横65の長方形ABCDがあり、
辺AB上にAE=13をとり【図9】のように折り返した。
このときFGの長さを求めよ。
解法1 相似による解法


【図10】のようにA′を通り長方形の横の辺と平行な直線を引く。すると折り返しの定石3より、
△EB′A′∽△A′C′D
これらの相似比はEA′:A′D=13:65=1:5(…☆)
ここでBB′=aとし【図11】をみる。
☆よりEB′:A′C′=1:5だから、
A′C′=5×EB′=5×(a+10)=5a+50
よって、B′A′=B′C′-A′C′
=65-(5a+50)=15-5a
再び☆より、
B′A′:C′D=(15-5a):(a+23)=1:5
これを解いてa=2
つまり△EB′A′の辺比は、
EB′:B′A′=(a+10):(15-5a)=12:5(…★)

【図10】や【図12】で色をつけた三角形の辺比は、上記★と等しいはずだから
BF=10×512=256
GC=23×125=2765
∴ FG=BC-(BF+GC)=65-(256+2765)=16930
解法2 三平方による解法

上記【図10】と同様にして、☆からA′C′=5a+50。
ここで折り返しの定石4から△A′C′Dにおいて三平方の定理を利用しaの値を求める。
(a+23)2+(5a+50)2=652
a2+21a-46=0 (a+23)(a-2)=0
a>0よりa=2が求められる。
以降は「解法1」と同様。
解法3 十文字法による解法

折り返しの定石6より、△DAE∽△AB′A′
DA:AE=AB′:B′A′=65:13=5:1
ここで【図14】のようにB′A′=xとすれば
AB′=5xとできる。
さて△EB′A′に着目すれば、
EA′=13、EB′=5x-13だから、
三平方の定理をしてx=5
これ以降は「解法1」と同様。
解法4 座標幾何による解法

折り返しの定石7より【図15】のようにとる。
①まず点A′の座標を求める。
(ここでのポイントはED⊥AA′、AH=HA′であること)
直線EDの傾きはE(0,10)、D(65,23)より15
ED⊥AA′から、直線AA′の傾きは-5
A(0,23)より、直線AA′の式はy=-5x+23
さて点Hの座標は、直線ED(y=15x+10)と直線AA′の交点として求め、H(52,212)。
このHはAA′の中点だから、A′(5,-2)
②点Fの座標を求める
直線EA′の式はy=-125x+10であるから、F(256,0)
③点Gの座標を求める
直線DA′の式はy=512x-4912であるから、G(495,0)
∴ FG=495-256=16930
[2015.11.2]
3:4:5の直角三角形が生み出される土壌
問題5では正方形の折り返しから“3:4:5型の直角三角形”が現れましたが、ここでは設定に秘められた構図を明かします。
基本の構図
【図1】は縦横比が5:4(これをⅠ型とする)、【図2】は縦横比が5:3(Ⅱ型とする)の長方形です。これらを下図のように折ることで、色をつけた三角形が3:4:5の辺比を持ちます。
これが元の図形といえます。

それではⅠ型に注目しましょう。
ここでは薄青色に染まる正方形のフレームを、‘中点(青い点)’をキーワードとしながら折り返します。こうすることでさまざまな“3:4:5型の直角三角形(色の濃い三角形)”を得ます。
A)頂点を、辺の中点に重ねるように折る

B-1)中点を折り目とする

B-2)中点を折り目とする

C)折る辺の中点が、頂点と重なる

D)中点を折り目とする

3:4:5を確かめる
A)…問題5を反時計回りに90°回転させたものです。

B-1)…【図4】で色の濃い2つの三角形の相似比は1:2だから、【図8】のようにxと2xと置くことができ、色のついた三角形の三平方の定理よりx=4となり、3:4:5の辺比が示されます。


B-2)…【図9】での青枠の2つの三角形は、内角が等しく長さ5の対応する辺を持つことから合同なので【図9】のように置けます。
そこで色のついた三角形の三平方の定理からx=154となり、辺比が明らかとなります。
こちらは意外に盲点を突いた構図なので、頭に入れておく必要があります。


C)…【図6】は薄青色の正方形の一辺が407の場合にこうなります。
【図10】で同じく三平方の定理からx=157で、3:4:5が導けます。


D)…【図11】で青枠の2つは直角三角形は、共通する斜辺と他の一辺が等しいので合同です。
そこで色のついた三角形で三平方の定理からx=53で、3:4:5が導けます。

いかがでしたか。続くⅡ型については皆さんも考えてみてください。
[2015.11.16]
1:√2の辺比の長方形を折る

【図1】は、たてと横の辺の比が1:の長方形です。今回はこの長方形を折ったときに現れる、様々な形について調べてみます。
Ⅰ. 折り目を決めるケース
a)対角線を折り目とします。【図2】の赤い点線がそれです。
【図3】で青枠で囲った2つの直角三角形に注目すれば、それぞれの内角の大きさは共に等しく、また対応するある辺の長さも等しいことからこれらは合同です。そこで図のようにxをおきます。
色のついた三角形での三平方の定理を用いることでx=と分かり、これは長方形の横の長さの
だから、【図4】の赤い点は長方形の上辺を3:1に分けているといえます。

b)下辺を3:1に分ける点で折る【図5】と、【図6】で青枠で囲った三角形は上記と同様に合同となり、色のついた三角形での三平方の定理によりx=となります。
a)にしてもb)にしても、合同な直角三角形が出てきますからこの活用が鍵のようです。

c)【図7】のように下辺の中点を折り目とすると、【図8】において△ABC∽△ADBで、△ABCの辺比は長い順に:
:1だから、BD=
AB=
するとBF=2BD=
またここで、△ABC∽△BDC∽△BEFだから、
このことから【図9】のようになります。とてもきれいな性質です。

Ⅱ.頂点の行き先を決めるケース
d)【図10】のように下辺の隅(赤い頂点)が上辺へ移るように折ると、【図11】の色のついた直角三角形は、たての長さが1、斜辺は長方形の横の長さと同じ
このことから長方形の上辺の残り(左の部分)は-1で、折り返しの定石3より色のついた三角形と相似な三角形が現れることから、残りの辺の長さは【図11】のようになります。

e)下辺の隅(赤い頂点)が対角へ移るように折ります【図12】。
【図13】の色のついた直角三角形で三平方の定理を用いれば、x=
つまり【図14】のように長方形の下辺を3:1へと分ける点が現れます。
また○+×=90°であることからなどから、青枠で囲った2つの三角形は合同となります。

f)【図15】のように下辺の隅(赤い頂点)が対辺の中点へ移るように折ると、【図16】の色のついた三角形での三平方の定理からx=となります。
すると【図17】で△ABC∽△EBD∽△BFDとなって、AC:AB=BD:BF=1:から、DB=
が分かればBF=
が求まります。
このことにより、【図18】のような辺比が現れます。

[2015.12.1]
長方形の紙を三つ折りする

正方形の辺を三等分する方法、つまり正方形を三つ折りする方法としては『芳賀の定理』が知られています(折り方は問題5で、点Gがそれである)。
では長方形の辺の三等分はどのようにすればいいでしょうか。【図1】の長方形を用い考えてみます。
三つ折りの方法 そのⅠ

まず【図2】のように隅の点Bが上辺ADと重なるようにします。するともとの長方形の下辺BCが、FEという新たな線分を生みます。そこで点FとEに浅い折り目を付け、印代わりとしましょう。(図で青色で示した線分がその印です。)
つまり正方形ABEFを作ったことになり、この後は問題5と同じ要領です。

そこで今度は【図3】のように線分AFの中点をとり、(点AがFと重なるように浅く折れば、青色の点の目印がつくはずです。)隅の点Bがこの中点に重なるように折ります。

問題5より【図4】のような長さになり、FG:GE=2:1がわかります。

このことから点Gに印をしておき、その上で長方形を一旦広げ、点CやDが辺CD上にくるようにしながら、
- 点Gを含むよう折り目
- 上辺ADが点Gを通るような折り目
を作れば、“長方形の短辺を三等分”できました。
三つ折りの方法 そのⅡ

次は最初に、長方形の長辺を半分にする折り目を浅くつけることで、上辺ADの中点Mを導きます。

次に【図7】のように、BMを折り目として折り、

続けて隅の点Dが上辺AD上にくるようにしつつ、A′を通るように浅く折り、折り目HIをつけます。
すると長さは【図8】のようになるから、
HA′:A′I=2:1
AH:HD=2:1
となり、

【図9】のように、“長方形の短辺を三等分”も“長方形の長辺を三等分”もできます。
両方が一度にできる優れ技です。
三つ折りの方法 そのⅢ

方法Ⅱと同じくまずは長方形の長辺を半分にする折り目MNを浅くつけ、上辺ADの中点Mを導きます。

今度は【図11】のように、隅の点Bが点Mと重なるように折ります。

そこで折り返しの定石4から、【図12】で色のついた三角形にて三平方の定理を行うことでx=2となります。

さらに折り返しの定石6で出てくる相似を【図13】のように利用すれば、BN:NJ=2:1とわかります。

そこで、もとの長方形の辺BC上にあった点Nは、MJの点N′へ移っているわけなので、【図14】からもわかるように、
MN′:N′J=2:1
です。

このことからN′を目印とすれば、“長方形の短辺を三等分”できるのです。
三つ折りの方法 そのⅣ

長方形の短辺を半分にします。

隅の点Cが【図17】のKL上にくるようにすれば、△DC′Cは折り返しの定石2Aより正三角形です。
よって∠CDP=30°です(図の○印)。

さてDPの折り目がついたところで一旦点Cを元の位置に戻します。そして今度は点CがDPに重なるように再度折ることとします【図18】。
その折り目をPQとすれば、△QPCにおいて
∠QPC=12∠DPC=30°だから、
QP:QC=2:1です。

ここで△DPQは∠QDP=∠QPD=30°だから、DQ=PQの二等辺三角形で、
よってDQ:QC=2:1
このように三等分する点Qが取れて、【図19】のように“長方形の短辺を三等分”します。

また【図20】のように、隅の点Aが直線DC′へ重なるように折れば,∠ADC′=30°より先ほどと同じようになり、AR:RD=1:2となります。

点Rによって“長方形の長辺を三等分”できます
[2015.12.16]
演習問題
演習1
問題
【図1】の正方形ABCDにおいて、点L、M、N、Oはそれぞれの辺の中点である。ここでこの正方形を、次のⅠ→Ⅱ→Ⅲの順に折ることにする。
Ⅰ.頂点BがOMに重なるようAEを折り目とし、点Bの移る点をB′とする【図2】
Ⅱ.頂点DがLNに重なるようAFを折り目とし、点Dの移る点をD′とする【図2】
Ⅲ.その後、EFを折り目とし、点Cの移る点をC′とする【図3】
こうして△AEFを作るとき、次の各問に答えなさい。
(1)△AEFはどのような三角形か。理由も答えなさい。
(2)正方形の1辺を1㎝とするとき、△AEFの面積を求めなさい。
(3)△ECF=△ABE+△ADFが成り立つことを示しなさい。

知りたい∠OAB´の大きさ

(1)まずは∠DAB′に注目します。
【図4】のように、AD⊥MO、AO:AB′=1:2より、∠B′AO=60°
※折り返しの定石2Bを参考
よって、∠BAE=12∠BAB′=12×30°=15°(…※)

同様にACについての対称性(…*)より∠DAF=15°【図5】
これより∠EAF=90°-15°×2=60°(…①)
これと*よりAE=AF(…②)だから、①②より、△AEFは正三角形となる。
- 研 究
- これは、正方形内に最大の正三角形を作る方法です。

ここでEG=kとおくと、∠GCE=45°より【図6】のようにGC=k
また△AEFは正三角形なので、AG=

つまりAC=

すると、AB=




この長さが1cmだから、


これより、△AEF=2k×







(3)【図6】を利用して、
△ECF=2k×k×12=k2
また、BE=BC-EC=k-
k=
k
すると、△ABE=△ADF=k×
k×12=12k2
∴ △ECF=△ABE+△ADFが成り立つ
別解

このとき、△ADF≡△ADH
つまり、△ABE+△ADF=△AFHである。
(点DはFH上にある)
よって題意は、△ECFと△AFHの面積が等しいことを示せばよい。
ここで△AFHにおいて、AH=2kで、※より∠HAF=30°
ここから、直角三角形HAIにおいてHI=kとなる。
このことにより、△AFH=2k×k×12=k2
以上より題意が示されたことになる。
系

右図のように、正方形に正三角形が内接するとき、
S=S1+S2
という面積の関係が成り立つ。
[2015年1月 初出]
演習2
問題
1辺が9㎝の正方形ABCDの辺AD上にAP=3cmとなる点Pをとる。
- 【図1】のように直線EFを折り目とし、頂点Bが点Pに重なるように折る
- 【図2】のように直線GHを折り目とし、頂点Cが点Pに重なるように折る
この両操作による折り目を示したのが【図3】で、その交点をQとする。
このとき、△EGQと△FHQの面積の比を最も簡単な整数の比で表せ。



まずは定石からEBとHCの長さを求める
EBは【図4】の斜線の三角形による三平方の定理においてx=5
HCは【図5】の斜線の三角形による三平方の定理においてy=6.5
こうしてEB=5(cm)、HC=6.5(cm)と計算されます。


続くGBとFCの長さは一工夫
GBは【図6】を利用します。点Gから辺DCへ垂線GG′を引き、△HGG′≡△PCDより、HG′=6(cm)なのでGB=0.5(cm)。
FCは【図7】で、点Fから辺ABへ垂線FF′を引き、△EFF′≡△PBAより、EF′=3(cm)なのでFC=2(cm)。


△EGQと△FHQの関係は?

これにより【図8】において、EG=5-0.5=4.5(㎝)、FH=6.5-2=4.5(㎝)から、EG=FH(…①)。
またAB∥DCより、∠QEG=∠QFH(…②)、∠QGE=∠QHF(…③)。
以上①②③より(「二角挟辺」)、△EGQ≡△FHQとなるので、
∴ 1:1
この破線 の様態はたまたまなのかそうでないのか、次にもう少し詳しい考察を加えてみます。
素材は2004年の出題
先の演習1、何と言ってもEG=FHが秀逸です。おまけに正方形の辺の12の長さです。これは実は、次の2004年入試(一部略・改題)を素材にしました。
大問5

図の正方形ABCDの辺AD上に点Tをとり、PQを折り目として点Bが点Tへ、RSを折り目として点Cが点Tへそれぞれ重なるように折る。
このとき、BC=PR+QSであることを示せ。
大問5の性質を明らかに

RS∥UQとなるよう、ABの延長上に点Uをとります。
さて、点Bと点Tは直線PQについて対称であるので、TB⊥PQです。すると定理2が使えてTB=QP(…④)。
同様にTC⊥RSから、TC(=SR)=QU(…⑤)
また、四角形TEFGは円に内接するから∠ETG=∠PFR。
RS∥UQより∠PFR=∠PQU。つまり∠BTC=∠PQU(…⑥)。
以上④⑤⑥より(「二辺挟角」)、△BTC≡△PQUが成り立ち、
∴ BC=PU=PR+RU=PR+QS
大問5をより掘り下げ核心へと迫る

ここからはPRとQSの長さの関係に迫ります。
点Bと点Tは直線PQについて対称だから、対称軸PQ上の点FについてFT=FBです。
同様に、対称軸SR上の点FについてFT=FC。これらからFB=FCとなり、点Fは辺BCの中点から立てた垂線上にあります。
ということは、PB∥FH∥QCから点Fは線分PQの中点(PF=QF)で、これにより△FPR≡△FQSを導き、PR=QSが得られます。
∴ PR=QS=12BC
こうして演習2のEG=FHは、どのような状態にあっても常に成立することが示されました。
[2014年9月 初出]
演習3
問題
正方形ABCDを以下の手順で折る。
まず、図1、図2のように頂点B、Dがともに対角線AC上に重なるように折り目をCE、CFとして折る。
続けて、図3、図4のように頂点Cが点Fと重なるように折り目をGHとして折ると、五角形AEHGFができる。




このとき、次の各問いに答えよ。
(1)△FHGはどのような図形か、その理由も答えよ。
(2)AF=2cmのとき、△EHFの面積はいくつか。(ただし、その解法も記せ。)
設問(2)の解答例
ここでは(1)を省略し(答:直角二等辺三角形)、(2)の解答例を紹介します。
解法1

手順① FG=aと置き、△EHFの面積をaを使って表す
△FHGで、(1)よりHF=a
また、折り返し図形の性質を使いHF=HCより、HC=a
それと、ACにおける図形の対称性を使ってEC=FC
つまり、EH=EC-HC=FC-HC=2×FG-HC
=2a-a=(2-
)a
これらにより、△EHF=HF×EH×12=a×(2-
)a×12=(
-1)a2(…*1)

手順② △FCDについて三平方の定理を用いて立式
対角線AC上で点BとDが交わる点をIとする
△AIFにおいて、∠AIF(=∠FIC=∠FDC)=90°、∠FAI=45°より、
FD=FI=AF×=2×
=
よって、DC=AD=2+
FC=2a
三平方の定理 FC2=FD2+DC2より、
(2a)2=()2+(2+
)2となって、整理することでa2=2+
(…*2)
最後に、式*1のa2へ*2の右辺を代入し、
△EHF=(-1)(2+
)=
(cm2)(…答)
これは最もスタンダードな解法です。
手順①の別解
次のようにすると、もう少し計算が楽になります。
△EHF=△ECF-△FHC
=△DFC×2-△FHC
=×(2+
)×12×2-2a×a×12
=2+2-a2
ここに手順②の*2を代入すれば、答を導くことができます。
スマートな解法
解法2

点FをHについて対称にとった点をJとします
∠FEH=∠JEH、また∠FEH=∠BECより∠JEH=∠BECとなり、点J、B、E、Aは一直線上にあることが分かります。
こうすることで、△EHF≡△EHJ
このことより、EJ=EF=2
そこで、
△EHF=△EJF×12=EJ×AF×12×12
=2×2×12×12=
(cm2)(…答)
これならば「文字で置いて……」を悩まずに済む分、計算ミスの心配がありません。

[2014年9月 初出]
演習4
問題
辺の長さが【図1】のような長方形ABCDがある。
いま、頂点Cが辺AB上の点Pと重なるようDEを折り目として折り、さらに頂点AがDP上にくるようにDFを折り目として折った様子を示したのが【図2】である。
このとき、次の各問に答えなさい。
(1)ECの長さを求めなさい。
(2)DE上にDC=DGとなるような点Gをとる【図3】。このとき△DFGの面積を求めなさい。



辺の行き先に注目した定型の解法

[図4]
(1)DP=DC=2
つまり直角三角形DAPは、∠ADP=30°
これにより∠CDE=30°
よって、EC=2

[図4]
回転移動が決め手
DP⊥FGを示すのに苦労します(後述[別解])。
なので次のような手法を取ることにします。
(2)〈解法1〉

[図5]
【図5】のように、IJは点Gを通りBCに平行
ここで△DGJは、(1)より∠CDE=30°
またDG=DC=2から、DJ=3
これより四角形AIJDは正方形
- 点Aは点Jに重なる
- 点Fの移動した点Kは、直線IJ上にある

[図5]
このような事実から△DFGと△DKGにおいて、折り返し図形の性質より、
∠CDE=∠PDE、∠JDK(=∠ADF)=∠FDP
であり∠FDG=∠KDG(…①)
また回転移動をもとにしてDF=DK(…②)、それにDGは共通(…③)
以上①②③より、二辺挟角が等しく、 ∴ △DFG≡△DKG

[図6]
まずGKの長さは、こちらはGFを求めた方が早そうで、∠DGJ=60°から∠DGFも同様、よって∠FGIも60°
GJ=から、IG=3-
△FIGでGF=6-2=GK
△DKG=GK×DJ×12
=(6-2)×3×12
=9-3
∴ △DFG=9-3

[図6]
[別解]
DP⊥FGはなかなか手ごわいですが、次のようにして示せます。
DP上にDからDJと等しくなるような点Lをとり、△DJG≡△DLGより∠DLG=90°(…④)
次にDAと等しくなるような点Mをとると、同様にして∠DMF=90°(…⑤)
DJ=DAから、点LとMは一致し、④⑤より、点F、L(M)、Gは一直線上にあり、かつFG⊥DM
〈解法2〉
正方形AIJD-(△DAF+△FIG+△DGJ)としても求めることができます。
回転移動から生まれる興味深い性質
回転移動という発想により次が浮かびます。

[図7]
ここでDからEFに垂線DGを下せば、
DG=DA=DC
∠ADE=∠GDE、∠CDF=∠GDF
AE=EG、GF=FC
がいえる。

[図7]
[2014年10月 初出]
[2016.1.4]
演習問題(2)
演習5
問題
【図1】のような正方形ABCDがあり、点Mを辺BCの中点とする。
AM上の点D′は、この正方形をECについて折ったときに点Dが移る点で、点EはAD上にあるものとする。
このとき次の各問に答えなさい。
(1)AE:EDを最も簡単な整数の比で表しなさい。
(2)【図2】のようにEMとDD′の交点をFとするとき、△ED′Fと△D′MCの面積の比を最も簡単な整数の比で表しなさい。

[図1]

[図2]
点Eの位置を見た目で判断してはなりません。

[図3]
(1)AMとDCの延長の交点をGとすると、BM=MCだからAB=GC(=DC)
また、折り返し図形の性質よりD′C=DC
このことからDC=D′C=CG
よって、△DD′Gのそれぞれの内角は【図3】のようになり、2о+2×=180°
こうして∠DD′G=о+×=90°(…①)
一方、DとD′は折り目ECについて対称で(☆)、∠DFC=90°(…②)
つまり①②により、EC∥AM
このことと☆より、△DAD′において、AE:ED=D′F:FD=1:1

[図3]
2つの三角形にある関係

[図4]
(2)まず、折り返し図形の性質より∠EDC=∠ED′C=90°
ここで(1)より点Eと点Mはそれぞれの辺の中点で、EM∥DC、EM⊥BC
したがって∠EMC=∠ED′C=90°より、4点E、D′、M、Cは同一円周上の点である(…③)
また4点E、M、C、Dも同一円周上にある(…④)から、ということは、5点E、D′、M、C、Dは同一円周上の点である【図4】
そこで、∠D′EM=∠D′CM=●(…⑤)
さらに∠MEC=∠MD′C、∠DCE=∠DD′Eと、∠MEC=∠DCEから、∠MD′C=∠DD′E=о(…⑥)
以上⑤⑥より、△ED′F∽△CD′Mとなる。
最後に、正方形の一辺を2aとすれば、ED′=ED=a、CD′=CD=2aなので、対応する辺比から、
∴ △ED′F:△D′MC=a2:(2a)2=1:4

[図4]
直角三角形で必須の構図
今回の(1)で肝となったのは下記の構図【図5】です。
様々な場面で活用が効くので、目に留めておくと良いでしょう。

[図5]
[2014年11月 初出]
演習6
問題
短辺、長辺の長さがそれぞれ1、の長方形ABCDがあり、対角線ACを折り目として【図1】のように折る。
このとき頂点DはD′へ移るものとし、【図2】のようにBCとAD′、DD′との交点をそれぞれE、Fとする。また、ACとDD′の交点をGとする。
このとき次の各問に答えなさい。
(1)BEの長さを求めなさい。
(2)BE:EF:FCを最も簡単な整数の比で表しなさい。
(3)BGの長さを求めなさい。
(4)長方形ABCDは、△BD′Cの面積の何倍になるか答えなさい。
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(5)GE2=ED′2+D′F2+FG2を示しなさい。

[図1]

[図2]
対角線の折り返しでみられる二等辺三角形

[図3]
(1)図形の折り返しの性質から∠DAC=∠D′AC
それとAD∥BCから、∠DAC=∠ACB
以上より∠D′AC=∠ACBがいえて、△AECは二等辺三角形になるから、
AE=CE(…※)
これは折り返し図形の大切なポイントです。
そこでBE=xとすると、AE=CE=-xとなって、△ABEで成り立つ三平方の定理より(【図3】)、
(-x)2=12+x2 ∴ x=

[図3]

[図4]
(2)AD=AD′から、∠ADD′=∠AD′D(…①)
AD∥BCから、∠ADD′=∠EFD′(…②)
①②より【図4】のように、ED′=EF(…③)
また、BE=BC-EC、ED′=AD′-AE
※より、BE=D′E(…④)
③④により、EF=ED′=BE=
FC=BC-BE-EF=-
-
=
∴ BE:EF:FC=:
:
=1:1:2

[図4]
潜む平行四辺形の発見

[図5]
(3)△ADG∽△CFG(…⑤)で、(2)より点Fは辺BCの中点だから、
DG:GF=2:1
また、点DとD′は対角線ACについて対称で、DG=D′Gだから、
DG:GF:FD′=2:1:1
つまり四角形BD′CGは、
BF=FC、GF=FD′
となり、対角線のそれぞれが中点で交わるので平行四辺形(…☆)である。
よって、BG=D′C=1

[図5]
(4)☆より△BD′C=△CGBなので、△CGBと長方形ABCDの面積を比較します。
⑤よりAG:GC=2:1から、△AGB:△CGB=2:1
すると長方形ABCD=△ABC×2=(△CGB×3)×2=△CGB×6
ゆえに6倍となる。

[図6]
(5)【図6】のように、GEの延長とBD′との交点をHとします。
このとき、(2)よりBE:EF=1:1
(3)よりGF:FD′=1:1

[図6]
ここで【図7】を利用し、点FよりGHと平行な補助線を引き、
BH:HD′=1:2
また点HよりBFと平行な補助線を引き、GE:EH=3:1
さて、GE=34GHより、
GE2=916GH2

[図7]
ここでACについての点DとD′の対称性より、∠CGD′=90°
すると☆の平行四辺形BD′CGにおいて、∠BD′G=90°
それゆえ、GH2=HD′2+D′G2を利用し、
=916(HD′2+D′G2)
(HD′=23BD′、D′G=2D′Fから、)
=916(49BD′2+4D′F2)=14BD′2+94D′F2
(ここで、BD′2=BF2-FD′2を利用し、)
=14(BF2-FD′2)+94D′F2=14BF2-14FD′2+94D′F2=14BF2+2D′F2
(BF=2EFより、)
=14×4EF2+2D′F2
(D′F=FGから、)
=EF2+D′F2+FG2
((2)よりEF=ED′から、)
GE2=ED′2+D′F2+FG2
中線定理
[別解] 後述の中線定理を利用することにより、
GE2+ED′2=2(FD′2+EF2)
=2FD′2+2EF2
EF=ED′より
=2FD′2+2ED′2
GE2=2FD′2+ED′2
FD′=FGより、
=FD′2+FG2+ED′2

[図8]
MがBCの中点であるとき、次が成り立つ。
AB2+AC2=2(BM2+AM2)
[2014年12月 初出]
演習7
問題

[図1]
【図1】の長方形ABCDは、辺AB上にAE=1cmとなる点Eをとり、ECを折り目とし点Bが点B′へ移るように折り返した図である。
また辺ADとEB′との交点をFとし、B′F=EPとなるように線分EB上に点Pをとる。
BC=AB=
EB
が成り立っているとき、次の各問に答えなさい。
(1)∠AEFの大きさを求めなさい。
(2)EPの長さを求めなさい。

[図2]
(3)【図2】のように点Pと点Fを結んだ線と、ECとの交点をGとする。このとき、
i)EGの長さを求めなさい。
ii)△AEF:△GEF=1: である。 に入る数値を答えなさい。
∠BECの大きさをヒントに
(1)題意よりBC=EB、∠EBC=90°から、∠BEC=60°
つまり折り返し図形の性質から、∠B′EC=60°
よって、∠AEF=180°-(60°+60°)=60°となる。

[図3]
(2)長方形の縦・横の辺比が1:であること(…※)
を利用します。
(1)よりEF=2。ここでFB′=a(=EP)とすると、
EB=EB′=a+2
すると題意より、
BC=EB=
(a+2)(…①)
またAB=1+(a+2)=a+3(…②)
※を①②を用いて式にすれば、
AB:BC=(a+3):(a+2)=1:
整理して、(a+2)=
(a+3)
a-
a=3
-2
(-
)a=
(
-
)
a=
よって、EP= (cm)
大切なテーマが潜んでいる

[図4]
(3)点Fを通りGEに平行な直線と、PEの延長との交点を【図4】のように点Hとします。
i)∠FHE=∠GEP=60°より、
∠FEH=∠FHE=60°となって、
△FHEは正三角形となる。
よって、FH=HE=EF=2
ここで、EG:HF=PE:PHが成り立つので、
EG:2=:(
+2)
EG6-2

[図5]
ii)∠AEF=∠GEFより、
△AEF:△GEF
=AE×EF:EG×EF(…後述の「定理2」より)
=AE:EG
=1:6-2

[図6]
右図において、
左右2つの三角形の面積比は、
ab:cd
である。
系

[図7]
右図において、
∠XOZ=∠YOZ=60°
のとき、
1OZ=1OX+1OY
が成り立つ。

[図8]
[証明]【図8】のようにして、
OZ:QY=XO:XQ
ここで△OYQは正三角形であることを利用して、
OZ:OY=OX:(OX+OQ)
OZ:OY=OX:(OX+OY)
OX×OY=OZ(OX+OY)
OX×OY=OX×OZ+OY×OZ
ここで両辺を、OX×OY×OZで割ると、
OX×OYOX×OY×OZ=OX×OZOX×OY×OZ+OY×OZOX×OY×OZ
整理し下記を導くことができる。
1OZ=1OX+1OY [証明終わり]
[2015年2月 初出]
[2016.1.15 終]