神奈川県立高校入試「特色検査」の出題方針である「科目横断的な出題」「思考力」「表現力」とはどのようなものなのか、中学3年生を対象に実施した神奈川県立難関校入試プレ「特色検査」の問題を題材にご紹介いたします。
問題は以下の通りです。
問題
A君は友人とアルファベットを数字で暗号化して、単語のやりとりをすることを考えた。使用するのは下のような対応表であり、アルファベット1文字を1~3の数字3つの並べ方で対応させることにした。例えば、112223213という数列は「 cat 」を意味する。
対応表
111 b 112 c 113 g |
211 y 212 m 213 t |
311 s 312 l 313 q |
121 j 122 z 123 r |
221 w 222 o 223 a |
321 e 322 i 323 h |
131 p 132 n 133 u |
231 d 232 k 233 x |
331 v 332 f 333 対応なし |
(1)A君と友人がアルファベット1文字を数字の並べ方に対応させる際、その数字を「3つの数字で3ケタ」にした理由を考えて答えなさい。
(2)A君がある単語を暗号化して送ったところ、友人はその数列を右から左に解読したため「 son 」になってしまった。もとの単語を答えなさい。
(3)次の単語をそれぞれ暗号化した数列を、右から左に解読すると、もとの単語の意味と反対の意味になるものがある。その単語を選び、記号で答えなさい。
ア coldイ fallウ openエ cleanオ dangerous
このような設定の問題を初めて見たという方も少なくないでしょう。ただ、問題の内容はそれほど複雑ではありません。まずは、問題の設定をしっかりと読み、理解することが大切です。設問に書かれている例とも照らし合わせながら、落ち着いて理解しましょう。
「特色検査」では、このように受験生にとって初めて見る内容が問われ、入試本番にその場で考える力が試されます。
問題(1)で問われているのは、思考力と表現力です。
アルファベットが26文字あり、対応表にあるとおり「3つの数字で3ケタ」であらわされる数は27種類あることがポイントです。これらを関連づけて記述することを読み取らなければなりません。
解答を記述するときには、まず書くべき要素を考えてみましょう。この問題では、以下の2点が重要です。
- アルファベットは26文字あるので、少なくとも26種類の内容を区別してあらわす必要がある。
- 26種類の内容を区別してあらわすために何種類の数字を何回使うのが適切か。
これらをふまえながら、理由を示して記述します。記述例は以下の通りです。
問題(1)の記述例
アルファベットは26文字あるので、少なくとも26種類の内容を区別してあらわす必要がある。
2つの数字を用いてあらわそうとすると、1ケタであれば2種類、2ケタであれば4種類、3ケタであれば8種類の内容を区別してあらわせる。
24=16、25=32となり、5ケタで32種類の内容を区別してあらわせる。
同様に3つの数字を用いると、32=9、33=27 3ケタで27種類
4つの数字を用いると、42=16、43=64 3ケタで64種類
5つの数字を用いると、52=25、53=125 3ケタで125種類
6つの数字を用いると、61=6、62=36 2ケタで36種類
というように26種類以上の内容を区別してあらわすことができる。
したがって、「3つの異なる数字を3ケタ用いてあらわす」方法が選ばれたと考えられる。
解答はこれ1つとは限りません。A君と友人は別の理由でこのルールをつくったのかもしれません。大切なのは自分の考えた結論を合理的に説明できるかどうかです。
問題(2)は対応表と照らし合わせ、短時間で解答する必要があります。
「 son 」になる数列は「311222132」
↓
もとの単語はこの数列を右から並べた「231222113」
↓
対応表と照らし合わせて、答えは「 dog 」
このような過程を丁寧かつ迅速に解いていく必要があります。
特色検査は少ない時間の中でたくさんの文章を読み、多くの計算や作業を行うので、時間配分を意識する必要があります。一方で、丁寧さを欠くとミスが起こりやすくなります。丁寧かつ迅速に、これも特色検査を解くうえでのキーワードです。
問題(3)は「科目横断的な問題」といえます。
対応表をもとに右から左に解読して、単語を考えると、
ア cold → ntoy
イ fall → ttix
ウ open → drpo
エ clean → dirty
オ dangerous → gvoersdin
となる。
よって、エが答えである。
このように解いてもよいのですが、5つの選択肢のすべてで、対応表との照合作業をしていると、試験時間を大きく費やしてしまいます。
ここで注目したいのは、まず設問の設定から、選択肢にある単語とその対義語が同じ文字数でなければならないことです。
ア cold ←→ hot
イ fall ←→ rise
ウ open ←→ close, shut など
エ clean ←→ dirty, unclean など
オ dangerous ←→ safe
このように対義語を先に考えておけば、文字数の異なるア、オの選択肢が除外されます。また、イ、ウ、エの単語の照合作業をするときも、先頭の文字を考えれば短時間で答えにたどり着けます。この設問では単に表を読み解き照合する作業だけではなく、同時に英語の語彙力も問われているわけです。
以上のようなポイントに気をつけながら日々の勉強をすすめ、県立高校合格を目指しましょう。