神奈川県の入試の仕組みを理解しよう
神奈川県立高の入試(共通選抜)は「第1次選考」と「第2次選考」の2つの選抜があります。「第1次選考」では3つ、もしくは4つの選考基準があり、それぞれが点数化され、その合計点で各高校の募集定員の90%までが選考されます。その選考に漏れてしまった受験生に対して、「第2次選考」が行われます。「第2次選考」では「第1次選考」とは異なる選考基準により改めて点数化され、その合計点で選考されます。

[例:横浜翠嵐高(定員358名)]
選考の基準

「第1次選考」では、特色検査を実施しない高校は①~③、特色検査を実施する高校は①~④が選考の基準となり、それぞれ100点満点に点数化され、各高校が設ける評価比率によって合計点が確定し、その合計点によって募集定員の90%が選考されます。
「第2次選考」では、①の内申点は考慮されず、②と③(特色検査を実施する学校は④も)が選考基準となり、各学校が設ける評価比率によって合計点が確定します。「第2次選考」の評価比率は「第1次選考」の評価比率とは異なります。
各高校の「評価比率」
選考基準をそれぞれ100点満点に点数化した後に、各高校の評価比率によって合計点が確定します。この評価比率とは、各高校が独自に設定するもので、高校によって比率が異なります。
〔図1〕 神奈川県の主な高校の評価比率(第1次選考)

湘南高

横浜翠嵐高

柏陽高

希望ヶ丘高

緑ヶ丘高
この表を用いて、各高校の合計点を算出することができます。例えば、横浜翠嵐高の合計点を算出してみましょう(〔図2〕、〔図3〕)。
〔図2〕 「第1次選抜」の合計点(横浜翠嵐高の場合)

「第2次選抜」は、①内申点の基準が考慮されず、②~④の基準となり、評価比率も変わります。
〔図3〕 「第2次選抜」の合計点(横浜翠嵐高の場合)

以上の通り、横浜翠嵐高の「第1次選抜」では合計点が1200点です。そのうちの半分である600点を学力検査が占めています。また、「第2次選抜」では合計点は同じく1200点ですが、そのうちの2/3である800点を学力検査が占めています。このように横浜翠嵐高では学力検査の比率が非常に高くなっています。他にも、偏差値が上位の高校では学力検査の比率が高く設定されていることがほとんどです。
誰が合格により近い?
例えば、A君、B君、C君が横浜翠嵐高校を受験したとします。ここでは仮に、940点(1200点中)を基準点として、この3人の内申点・学力検査の得点・特色検査(自己表現検査)の必要な得点を設定してみます。
A君
A君の内申点
中2の内申点:45点(45点満点)
中3の内申点:45点(45点満点)
内申点合計
45点+45点×2=135点(135点満点)
A君の学力検査の得点
英語:85点 数学:85点 国語:85点
理科:65点 社会:80点
5教科合計
400点(500点満点)
A君の特色検査の得点
A君の面接の得点
A君の換算後の合計得点
B君
B君の内申点
中2の内申点:36点(45点満点)
中3の内申点:36点(45点満点)
内申点合計
36点+36点×2=108点(135点満点)
B君の学力検査の得点
英語:90点 数学:85点 国語:90点
理科:70点 社会:80点
5教科合計
415点(500点満点)
B君の特色検査の得点
B君の面接の得点
B君の換算後の合計得点
C君
C君の内申点
中2の内申点:30点(45点満点)
中3の内申点:30点(45点満点)
内申点合計
30点+30点×2=90点(135点満点)
C君の学力検査の得点
英語:90点 数学:90点 国語:90点
理科:75点 社会:85点
5教科合計
430点(500点満点)
C君の特色検査の得点
C君の面接の得点
C君の換算後の合計得点
内申点 2年 |
内申点 3年 |
学力検査 | 面接 | 特色検査 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
A君 | 45 | 45 | 400 | 92 | 40 | |
B君 | 36 | 36 | 415 | 92 | 50 | |
C君 | 30 | 30 | 430 | 92 | 55 |
これを、(内申点):(学力検査):(面接):(特色検査)=2:6:2:2 の比率で換算した点数は、
内申点 2年 |
内申点 3年 |
学力検査 | 面接 | 特色検査 | 換算合計点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
A君 | 67 | 133 | 480 | 184 | 80 | 944 |
B君 | 53 | 107 | 498 | 184 | 100 | 942 |
C君 | 44 | 89 | 516 | 184 | 110 | 943 |
「学力検査」の重要性
内申点が高ければ高い程合格点に近づくことができるのは当然のことですが、仮に内申点が満点だったとしても、学力検査で400点、特色検査で40点の点数を取らなければ、ここで設定した940点を超えることができませんでした。
学力検査、特色検査の配点が内申点の4倍に設定されているので、学力を付けなければ合格できないことは当然のことです。
一方、内申点が30点だったとしても、学力検査で430点、特色検査で55点の点数を取れば940点を超えることができました。各学校で設けている評価比率によって、学力重視の入試に移行していることを見て取ることができます。入試本番を迎える最後の最後までしっかりと学力を身につけていくことが重要であると言えるでしょう。