2013年度 神奈川県立高校 特色検査 出題分析と対策

特色検査の出題方針

まず、神奈川県教育委員会が伝える特色検査入試の概要を見てみると、以下の通りとなっています。

県立横浜翠嵐高の例

  • 与えられた課題を読み取り、中学校までの学習の成果を教科横断的に活用して、設問に対する答えや自分の考えを記述する。
  • 検査時間は60分とする。

県立湘南高と県立横浜翠嵐高の検査時間は60分とそれほど長くはなく、時間的余裕はありません。その他の記載も一部を除き目新しいものはありません。また、題材も3000字程度で、学力検査の国語のそれよりも短いです。図表も計7つとやはり理科や社会と比べると少ないですが、特色検査の問題を「難しい」と感じる受験生は少なくありません。それではなぜ受験生は特色検査を「難しい」と感じるのでしょうか。

「教科横断的」という特徴

題材となっている内容を見てみると、その難度がうかがえます。

県立横浜翠嵐高の例

  • 課題1:宇宙飛行士 毛利衛氏『宇宙から学ぶ ユニバソロジのすすめ』を題材とした文章
  • 課題2:大江健三郎氏 『あいまいな日本の私』を題材とした文章

ここで扱われている文章は中学生ではなかなか触れる機会がないもので、ほぼ全ての生徒にとって検査の際が初見であったと思います。また、各課題に複数の教科に関する設問があります。この2点が、受験生が「難しい」と感じる要素となっているのでしょう。

単問ごとの特徴

ところが、一つ一つの問題を見てみると、実はそれほど奇をてらった問題ではないことが分かります。「課題1」では(設問4)の英文の内容一致問題、「課題2」では(設問1)の英文の内容把握問題以外は、本文を読まなくても対応が可能な設問、つまり完全に独立した小問でした。また、小問ごとに見ても、一部を除くと中学校で習う各教科の基本事項を用いるだけで十分対応が可能な問題です。数学的な設問も確かに計算は多少複雑ですが、立式までは容易にできるはずです。見た目に惑わされず、冷静かつ迅速な処理で解答まで確実にたどりつける問題が多く見られました。

例えば、県立湘南高 問4は次のような問題でした。

県立湘南高 問4

携帯電話の通信の量をはかるには「パケット」という単位を用いる。~中略~
まず、A社の携帯電話の1ヶ月の利用パケット数とその月の利用料金は、次の図1のような細い実線の折れ線グラフで示すことができる。
また、B社の携帯電話の1ヶ月の利用パケット数とその月の利用料金は、次の図2のような太い実線の折れ線グラフで示すことができる。~以下略~

【図1】

【図2】

(ア)次の図3に、図1のA社のグラフを細い実線で、図2のB社のグラフを太い実線でかき入れなさい。~以下略~

【図3】

(イ)略
(ウ)もし、「A社とB社の携帯電話ではどちらの方が利用料金が安いのか。」と聞かれたら、どのように答えるべきか、具体的なパケット数をあげて、90字以内で書きなさい。~以下略~
解説
 (ア) 縦軸の利用料金をy円、横軸のパケット数をxパケットとして、yをxの関数として表し、与えられた図を読み取ることで、次のような関数が得られます。

なお、①、③の交点をP、②、④の交点をQとすると、【図A】の相似を利用して、P(25000、2100)また、【図B】の相似を利用して、Q(84000、4410)以上よりグラフを描くと下図のようになります。

(ウ)より利用料金が安くなる会社を選択することになります。(ア)のグラフにおいて、下側に位置するグラフに該当する方が利用料金が安くなるので、使用パケット数に応じて、利用する会社を選択します。したがってグラフから読み取れる解答例は次のようになります。

使用パケット数が25000パケットより少ない、もしくは84000パケットより多い場合はA社を選択し、25000パケット以上84000パケット以下の場合はB社を選択した方が利用料金が安い。(86字)

実生活に近い携帯電話料金を題材としているが、中身は一次関数の標準的な設問です。この設問では主に、グラフから状況の変化を読み取る能力が問われています。

数学において、本問のようなグラフを利用した解法というものは決して特別なものではありません。むしろ、速さの文章題におけるダイヤグラムの利用や、動点問題でグラフを書いてそこから考察をする考え方は非常に定番なものです。

つまり、文章題や動点問題が多く出題される国立大附高・難関私立高の問題にしっかりと取り組んでいれば、日頃の学習で十分対策が可能です。

一例ですが、平成17年度の筑波大附高の入試問題においては、「料金プランの異なる3社の携帯会社から、電話料金を考察する」といった、本問に非常に似通ったテーマの出題もされています。この設問でも、通話時間と電話料金をグラフに表し状況の変化を読み取ることが、問題解決への大きな手掛かりとなっています。

この種の問題は、グラフを読み取り、関数を用いて解答を導くという理解で十分かもしれませんが、グラフを用いて、図形的な処理を施すことでさらに理解を深めることができるということも共通した特徴です。

つまり、特色検査だからといって、特別な問題ばかりを解こうとするのではなく、「典型的な難問」に対する解法を身につけていくことが非常に大切です。

また、(ウ)は字数制限の論証で、自分の頭で考えたことを他者に分かりやすく、かつ簡潔に伝える表現力(すなわち記述力)も求められています。表現力は、一朝一夕で身につくものではないので、普段から解法を書き、自分の意図を他者に伝える練習を積んでいく必要があります。さらに、何を問われている問題なのかを正確に把握できなければ解答をコンパクトにまとめることはできません。その意味でも「典型的な難問」を解いた経験を積んでおくことは重要です。

記述の問題はもちろん、選択問題であっても「なぜそうなるのか」という理由づけをしっかり意識し、それを問われた時にしっかり説明できるような勉強姿勢を身につけていきましょう。

また、県立横浜翠嵐高【課題2】(設問3)は次のような問題でした。

県立横浜翠嵐高【課題2】(設問3)~前略~

一般に「ド」と「レ」の音を同時に聞く場合は音が調和しづらく心地よい響きには感じられず、「ド」と「ファ」の場合は音が調和して心地よい響きに感じられると言われる。
≪資料≫Ⅰ~Ⅲをすべて使い、その理由を具体的に述べなさい。

≪資料≫
Ⅰ 音の高さは周波数fで決まる。「ドレミファ……」の音階の決め方の一つである純正律という規則によると、図1のように「ド」の周波数を基準として各音階の音程を周波数の比で決める。図1において、低い方の「ド」の周波数は132Hzである。

【図1】

Ⅱ 図2のグラフは、ピアノを使ってある音階の音を出した時に、そこに含まれる音の成分を模式的に表したものである。左端の周波数fの音はその音階の基準となるもので基音といい、もっとも音が大きくかつ低い音である。一般に各音階の周波数はこの基音の周波数fで表される。また、一つの音には、この基音のほかにfの整数倍の音も含まれている。これらを倍音と呼び、音の低い順に2f、3f、4f、……と表す。つまり、ピアノで出した一つの音は基音と倍音が混ざり合ったものである。

【図2】
実際は8 倍音を超える音も発生しているが、一般的に基音から離れると小さい音となり
聞こえにくくなるので、ここでは考えないものとする。

Ⅲ 音の性質として、基音および倍音により構成される音が、二つ同時に聞こえた場合、一般的には周波数に一致するものがない時は、調和したように聞こえない。一方、周波数に一致するものがある時は、心地よい響きとなりうる。
解説

資料Ⅰより、低い方の「ド」の周波数132(Hz)をα(Hz)とすると、「レ」の周波数はα(Hz)、「ファ」の周波数はα(Hz)と表せます。

次に資料Ⅱより、「ド」の基音の周波数はα(Hz)で、基音、および倍音の周波数はα×l(Hz)で表せます(ただし、lは1以上8以下の自然数)。

同様に、「レ」の基音、および倍音の周波数は α×m(Hz)、「ファ」の基音、および倍音の周波数はα×n(Hz)で表されます(ただし、m、nは1以上8以下の自然数)。

さて、「ド」と「レ」の音が心地よく響くためには資料Ⅲより、α×l=α×m が成り立てばよく、これを変形すると、8l=9m となります。

しかし、この等式を満たすl、mの組み合わせは存在せず、「ド」と「レ」の音は心地よく響きません。

同様に「ド」と「ファ」の音が心地よく響く為には資料Ⅲより、α×l=α×nが成り立てばよく、これを変形すると、3l=4n

よって、(l、n)=(4、3)、(8、6) と確かに解は存在するので、「ド」と「ファ」の音は心地よく響きます。

なお、解答例としては次のようなコンパクトな解答で十分です。

「レ」の基音、および倍音の周波数は、132××m(Hz)(mは1以上8以下の自然数)であり、これが「ド」の基音、および倍音の周波数と一致することはない。
一方、「ファ」の基音、および倍音の周波数は、132××n(Hz)(nは1以上8以下の自然数)であるが、たとえば、n=3のとき、132×4(Hz)となり、これは「ド」の4倍音の周波数と一致する。
よって、「ド」と「レ」の音は心地よく響かず、「ド」と「ファ」の音は心地よく響くことが分かる。

本問で問われているのは、今まで解いた経験のない問題に対して、それを自分が解いたことのある問題に置き換えることで解法につなげていく力です。これは、初見の問題をその場で考えて解く力と言い換えられます。学力検査で問われるような、知識だけで正答にたどりついてしまうようなものではない、特色検査らしい設問です。

本問は一見すると音楽を主題とした設問のように見えますが、丁寧に読み進めれば整数問題であることに気付きます。与えられた条件を正確に読解し、場合に応じて具体的な実験を繰り返しながら、それを考えやすい形に置き換える力が必要不可欠です。

一例を挙げると、筑駒高 平成17年度 4 のような問題があります。

筑駒高 平成17年度 4

1、11、111、1111、…… のように各位に同じ数字1が並ぶ自然数を1連数と呼ぶことにします。ある数に適当な自然数をかけて1連数をつくることを考えます。たとえば、次のように7に自然数をかけて1連数をつくることができます。
 7×15873=111111 …(※)
次の問いに答えなさい。

(1)3にどのような自然数をかければ、1連数になりますか。かける数として考えられるもののうち、最も小さい数とその次に小さい数を求め、それぞれ上の(※)のように等式で答えなさい。
(2)略
(3)6363に適当な自然数をかけて1連数をつくりました。それらの1連数のうち、最も小さいものは何けたの数ですか。

1連数(レプユニット数)という、おそらく類題を解いたことがない受験生が多かったであろうテーマです。まず、具体的な実験を繰り返していくことで、何をすべき問題なのか正確に把握していくことが求められています。(1)だけならば具体的な実験だけで十分ですが、それだけでは(3)には太刀打ちできなくなってしまいます。実験を繰り返す中で、そこからポイントとなるテーマ(3)だと「素因数」からスタートし、実験結果を経て「最小公倍数」を考えることに置き換えられる)を拾い上げられるかどうかが解法のカギとなっています。

このような力を養っていくために、ぜひとも普段の学習から、初見の問題にじっくり時間をかけて「思考する」習慣をつけてほしいと思います。「思考」とは自分の知識の引き出しを整理し、そこから場合に応じて必要な知識を取り出すこととも言い換えられます。知識を詰め込むだけで勉強を終わりにせずに、手を動かし考えながら、自分の持っている知識を整理し、引き出すような勉強が必要です。

一方、論述面に関しては、数式を用いたコンパクトな解答を心掛ける必要があります。県立横浜翠嵐高【課題2】(設問3)でも、132(Hz) という具体的な周波数から、ほかの音の周波数を細かく計算する必要はない(一致する・しないを論ずればよい)点などに注意し、必要な要素を最小限にまとめる工夫をしてください。普段の学習から、より良い解法を考えることが対策になります。

このようなことは、英語に関する出題にも見られます。

県立横浜翠嵐高【課題1】(設問4)

この文章で示されている毛利氏の考えを、あなたがアメリカの姉妹校にいる友人へ英語で説明しようとする場合、適するものを次の英文ア~クの中から3つ選び、記号で答えなさい。

宇宙飛行士の毛利衛氏による書籍の引用を含めた日本語の文章を読み、その内容に当てはまる英文の選択肢を選ぶ問題です。

正解の選択肢と、文章における対応箇所は以下の通りです。

(エ)The members of “Spaceship Earth” have to put their thoughts together across conflicts and they have to think about many problems on Earth.
「20世紀後半、~」から始まる9段落目の中盤に、我々は『人類』という視点に立ち、貧困にあえぐ人々について考えることができているだろうかという内容の問題提起がなされています。同段落の終わりには、「今ある対立や争いを超えて、思いを一つにできるはずだ」との記述があります。英文選択肢との対応を考えたうえで、思いを一つにすることや、さまざまな問題を考えることは“have to ~”「しなければならない」という義務なのか否かを読み解く必要がありますが、「日本のあるべき姿」に言及した最後のパラグラフで、自然を慈しむ心を世界に発信し、地球環境に対する意識を高めていくことの必要性を窺うことができ、文章全体の論旨とも一致します。
(カ)It is necessary to spread a Japanese love of nature to every part of the world to save the earth from crisis.
選択肢エの解説にて言及したように、最終段落の論旨と一致します。
(キ)On Earth, every life, like humans or animals and plants, is related to each other in the environment.
「現在、地球には~」から始まる7段落目において、地球上の生命は、「互いに関係を持ち、影響を与え合いながら共に生きる」との記述があるので、論旨に一致します。

上記のように、本文該当箇所との対応関係を確認することで正解の選択肢を選び出すことができます。

ただし、確実に3つの正しい選択肢を選べた受験生は多くないはずです。初めて見る形式の問題に対して、アプローチの方法から考えなければいけない特色検査ではありますが、この設問4のような「見慣れた問題」は確実に得点源としなければなりません。そこで、正解の選択肢と本文内容の吟味よりも、誤った選択肢を判別する消去法が有効です。

(ア)All creatures can exist only on Earth. So leaving here means the extinction of humans.
(ウ)Humans have to abandon borders between countries and become one single nation to abolish war on Earth.
これらはいわゆる「極論」を述べるタイプの選択肢です。「すべての~」「いつも~」「必ず~」「ただ~だけ」など、限定を表す表現を含む選択肢については、その部分に注目して本文を確認しましょう。今回の場合、「全ての生物は地球にしか生息できない」や「人間は国境をなくしてただ1つの国にならなくてはいけない」などの極端な記述には注意が必要です。
(イ)We have to develop space for our future because we must explore the possibility of life on other planets outside “Spaceship Earth.”
選択肢に場所を表す語句がある場合、その部分に注目して本文の内容と照らし合わせることが近道です。今回の場合、地球外の惑星に言及した箇所はありません。
(ク)Now there are problems everywhere on Earth from the population explosion, but we will soon solve these problems because we are making efforts as members of “Spaceship Earth.”
選択肢にbutがある場合、butの後ろに注目することがポイントです。butの後ろには「伝えたいこと(=主旨)」が述べられますので、「我々は努力をしているので、問題を早期に解決するだろう」という内容に注目すればよく、今回の場合、解決方法や解決への目処についての言及がないので、一致しません。

今回の設問のように、allやonlyなどの限定を表す表現、on other planets outside “Spaceship Earth”などの「場所・時間・場合」を表す表現、butを含んだ表現に注目し、本文の内容と照らし合わせることで、効率的に解くことができます。このような解き方は、今回の特色検査のみならず、国立大附高、難関私立高の入試問題にも有効です。

例えば、「場所」や「時間」を表す語句に関して、学芸大附高の平成23年度の入試問題における内容一致の問題では、7つの選択肢のうち、「時間」や「場所」に関する語句が含まれる選択肢は5つありました。また、早大学院の平成21年度の入試問題では7つの選択肢の中に4つ、早実高の平成21年度の入試問題では13の選択肢の中に6つに、同様の手がかりが含まれていました。

もう一つのポイントであるbutに関しては、譲歩の意味を導く接続詞thoughとの違いを学ぶときに、単に「butは等位接続詞、thoughは従位接続詞」という表面的な括りで覚えてしまうと、実際の英文でどのようにbutが活用されているのか理解することは難しいので、単にbutの意味を覚えるだけではなく、それがどのように使われているのかを考えましょう。例えば、He is poor but he is happy.とHe is happy though he is poor.という文を見た時に、それぞれの違いは何かを考えてみましょう。この文の「言いたいこと(=主旨)」がhe is happyで、それがbutとthoughで置かれる位置が違うことに気付いたと思います。また、butの前後の文が対比関係になっていることにも気付いたでしょうか。このように、butの知識を覚えるだけではなく、その用法も意識して学習することで、初めてこのような内容一致問題において応用することができます。ちなみに、butを手がかりにできる選択肢は、平成21年度の早実高では13の選択肢の中に6つ含まれています。

正確に解答へ辿り着くためには、上記のような語句の知識を覚えるだけでなく、その語句の用法についても日頃から意識して学習することが大切です。この力を伸ばすためには、今回のような内容一致の問題だけではなく、他の問題形式でも練習することができます。

慶應女子高 平成19年度 大問1

問2[A]~[E]を補うのに、最もふさわしいものを次の中から選び、その番号を書きなさい。ただし、各番号一度しか選ばないこと。なお、文頭に来る語も小文字で始められている。

① many other things influence air temperature and weather conditions
② people’s activities can change the weather
③ the weather is very simple
④ weather influences so much of what we do
⑤ weather is what’s happening

この設問は、問題文中の空欄に上の選択肢①~⑤を補う問題です。本文中の空欄の[D]付近の英文は、以下の通りです。
Scientists cannot yet control the weather, but [ D ], often not in a good way.

ここでは、Scientistsから始まる文の動詞部分、cannot yet control「まだ制御できない」を踏まえたうえでbutに着目すると、cannot「できない」と対比関係にある選択肢②can change「変えることができる」(変え得る)が正解であると分かります。「butの用法」を普段から意識することで、問題形式にかかわらず、正しい解法を見出すことができます。
このように語句の用法を身につけるためには、普段からポイントとなる語句に注目して文章を読む習慣をつけ、県立高だけでなく、国立、私立高などの英語の長文問題に触れ、数多くの問題を解くことが必要です。

特色検査は「自己表現検査」

「全国でも最高難度」と呼ばれる問題も出題されています。次の問題を見てみましょう。

県立横浜翠嵐高【課題2】(設問1)

下線部①「大江氏は、鳥の言葉を~」~(中略)~。大江氏がこの場面から影響を受けた内容はどのようなことであったと考えられるか。英文から読みとれることを日本語で、句読点を含めて51字以上、60字以内で述べなさい。

県立横浜翠嵐高【課題2】(設問4)

「それは他人に向かって、~」~(中略)~。このことについて、次のA・Bそれぞれの問いに答えなさい。

A 苦しみを伴う日本社会における課題を一つあげ、その苦しみの現状とそれが生じる背景について述べなさい。
B また、その苦しみを解決するために、国が取り組むべき具体策を自分で考えて述べ、あわせて、その取り組みのなかであなた個人がなすべき行動についても具体的に述べなさい。

受験生を悩ませ、点数の差をつけたのは、このような問題です。つまり、時間をかけて自分の考えをまとめ、なおかつ文章に起こす「自己表現力」が大きく試されているのが県立横浜翠嵐高校の特色検査です。(設問1)はともかく(設問4)は日頃より問題意識を持ちながら生活していないと対応できない「人間力」が問われている問題ともいえます。「ただ漠然と勉強している」だけでは、対応は難しいでしょう。

対策としては……

①「難問」にもひるまない準備を
今まで見たことのない問題を目の当たりにしたときには、誰しも戸惑うものです。それらの問題に冷静に対応するには経験値を上げておくしかありません。ただ「高校に合格できればよい」というスタンスでは自分の限界が低く設定されてしまいます。都道府県立高の難度を超える難関高の入試問題(時間があったら大学入試問題にも!と言いたいところですが…)などに積極的にチャレンジし、限界点を高める努力を怠らないよう心掛けましょう。
②全てのことがらに関心を
現代社会は混沌としており、さまざまな問題が山積しています。新聞やテレビのニュースに目を通すだけでも、どのような問題が存在しているのかを理解することができるでしょう。また、国語の読解問題で扱う論説文には、現代社会における問題が「テーマ」として多く述べられています。例えば、医療を含む現代科学についてや、グローバル化、そして少子高齢化社会についてなど、私たちが今、考えるべき問題が取り上げられています。そうした「テーマ」をつかむことは、読解問題を解くために役に立つだけでなく、今後、社会と関わっていく皆さんが考えておくべきものでもあります。これらの問題にどん欲に関わろうとする姿勢こそが入試問題で問われているのではないでしょうか。もちろん、画期的な解決策を導き出す必要はありませんが、自分なりの「意見」を持てるように、日頃から積極的に考えようとする姿勢が必要です。
③論文指導は必須
特色検査の対策として、論文を書く技術を身につけておく必要があります。まずは国語の記述問題で短い字数のものを書けるようになる練習を積んでおくことが必要です。その際、採点の基準となりえる、含めるべき要素を複数用意し、採点者にきちんと伝わるような論理的な解答を作っていくことが大切です。
論文を上達させるための一つの方法は、第三者に自分の解答を読んでもらい、添削を受けることです。第三者の目を通すことで、意見のブレや分かりにくい表現などを発見できます。周りの大人に協力してもらい、自分の伝えたいことがきちんと伝わっているか、説得力のある文章になっているか、また、分かりにくい表現はないかなどを見てもらうようにしましょう。
もちろん、誤字脱字やひらがなの多い文章などはあまりよい論文とは言えません。そうした基本的な点での訓練も怠らないように心がけましょう。

以下はSAPIXで行った作文コンクールの出題です。

湯浅誠『どんとこい、貧困!』(理論社)約14,000字を読んだ上で

日本で「生きやすく暮らしやすい社会」を作っていくために重要なことは何か。
日本社会の現状を踏まえて、なぜそれが重要なのか、その理由を明確にしながら、九〇一字以上、一二〇〇字以内で、自分の考えを述べなさい。
なお、小論文を書くに当たっては、課題文の内容を的確に踏まえること。また、改行によって生じる空欄は字数に数えるものとする。

優秀答案をご紹介します。ぜひ、参考にしてください。

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「SAPIX高校受験情報室」― 神奈川県立高校 関連コンテンツ

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