早稲田大学高等学院 2016年出題傾向リサーチ

英語

早稲田大学高等学院 傾向分析 英語

大問構成はほぼ一定で、長文読解が2題という形が続いています(2012年は文法総合の大問もあり)。親子関係や、教育に関わるテーマの長文を通して、内容理解だけでなく文法・語彙・発音などの基礎知識を含めた英語の総合力が問われることが特徴です。小問の形式は幅広く、内容一致や要約文、整序英作文、語句の抜き出し、下線部の解釈や書き替えなどがあります。時間内に解ききるためには、豊富な文法知識に基づいて長文を深く理解することが大切です。今年も例年通りの出題で、小問数にも大きな変化はありませんでした。

昨年と比べると、本文の総語数が例年並みの多さに戻ったことに加え、頻出の「本文を読んだ人の感想」という形式の内容要約問題が大問ごとにあり、全体で読むべき語数は増加しました。2年連続で出題された年号や数値の読み方はなかったものの、記号ではなく単語で答えさせる設問が例年よりも多くありました。

A 物語文の読解(約540語):小問数25

とある本を通して、父と息子の心の距離が縮まる話でした。本の内容と現実世界を区別し、物語が息子に与えた影響を読み取ることがポイントです。本文の語数は大問Bよりも少ないものの、深い読解を要する設問が多く、時間をかけて読みこむ必要がありました。特にⅨの要約文は約285語と長く、感想を話す父子の関係を新たに読み取る必要があります。ここに時間をとれたかどうかが、後に続く九つの小問の正答率を左右したでしょう。早大学院の特徴でもある下線部解釈では、前後の文脈だけでなく下線部そのものの細かい読解が求められます。Ⅱ(3)やⅨ(iii)では、前置詞のforや不定詞のtoが持つイメージをもとに選択できます。同じ意味の英語を本文より抜き出すⅦは、下線部を含む文の構造と登場人物の心情の変化をともに理解しなければならない良問でした。

B エッセイの読解(約735語):小問数25

シンガポール育ちの英国人である筆者が、欧米とアジアの教育について論じたエッセイです。大問Aと比べると文法や語彙の知識のみで答えられる設問も多いため、本文の語数のわりに、全体的にはスピーディに解くことが求められました。速く正確に解答するには、Ⅲの整序英作文で後に続く似たかたちの文を参考にしたり、Ⅻの要約文で接続詞や冠詞に注目して空所に入る品詞を見極めたりする工夫が必要です。一方、Ⅺの内容一致は英文2行にわたる選択肢五つから正しいものを選ぶもので、東西の教育観の対比や、それに対する評価、筆者の立場を捉えていなければ正解できません。本文を読み多様な設問に素早く取り組みながらも、内容をしっかりと整理して進めることが要求されています。

数学

早稲田大学高等学院 傾向分析 数学

近年では、大問4題、小問15問前後で出題されています。解答形式は記述式のため、すべての問題について途中式や解法を書き残すことが求められます。難度は年によって大きく異なることもありますが、近年は易化傾向にあり、典型的な問題も多く出されています。また、小問数も減少傾向にあるため、基本的な問題でのミスは取り戻せません。2016年は極端に難度の高い問題がなかったものの、円や二次関数は得点差がつきやすい問題構成になっていたため、ミスなく慎重に解き進める力が求められました。

1 小問集合

(1)整数、(2)平方根の大小の問題で、どちらも基本的な問題でした。計算ミスには十分に注意して手早く完答したいところです。

2

2円と共通接線についての問題でした。(1)の特別角に気づけたかどうかがポイントで、(2)はそれを利用して2円の半径の関係と共通接線の長さから半径を求める問題でした。(1)(2)ができれば(3)まで完答することができたでしょう。

3 二次関数

2本の放物線と原点を通る2直線についての問題でした。(1)は与えられた面積を利用して立式する問題ですが、bの値を求めることができたかどうかで得点差がついたものと思われます。(1)ができれば(2)(3)は頻出問題なので得点したい問題でした。

4 場合の数

五つの整数の並び替えについての問題でした。2013年の入試問題と同様の形式のため、過去の入試問題にしっかり取り組んでいた受験生にとっては対応しやすい問題でした。(1)(2)は符号に注意さえすれば難しくないので、確実に正解しておく必要があります。(3)は符号に加え、五つの整数の組合せを見つけるために丁寧な場合分けが必要なため、漏れなく書き出すことができたかどうかがポイントとなりました。

国語

早稲田大学高等学院 傾向分析 国語

論説文(説明的文章)が2題、古文が1題という3題構成が続いています。記述問題がほぼ見られず、抜き出し問題と記号選択問題が中心であることが特徴です。現代文は、中学生にとってなじみの薄いさまざまな分野から、抽象度の高い文章が出題されています。小説文の出題は見られません。古文は出典こそ年によってさまざまですが、説話的な内容であることが多く、教訓を読み取ることができれば解答しやすい内容だと言えます。全体を通して時間配分に注意が必要です。

1 岸政彦『断片的なものの社会学』

何気ないものが価値あるものに変容する過程について説明した文章でした。架空の話を具体例としているものの、論じている内容は極めて抽象度が高いため、読みにくいと感じた受験生も多いようです。筆者が提示した論理にしたがって、逆説的な結論を読み取れたかどうかがポイントでした。15問中、抜き出しが6問、記号選択が5問出されていることから、例年通り、高度な思考力と分析力が試された大問だと言えます。選択肢はいずれも長いものではありませんが、読みやすい分ヒントが少ないため、文中に根拠を求めつつ選択肢を吟味する必要があります。

2 M・ファクラー『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』

アメリカ人のジャーナリストが日本と海外の記者を比較して、いい記者にとって必要なものとは何かを論じた文章でした。対比構造がつかみやすいため、大問1と比べると筆者の意見が読み取りやすく、素早く処理したい問題でした。注目すべきは、社会科公民分野の知識を要する問いが複数あったことです。国語だけにとどまらない広い視野や知識が受験生に求められているようです。

3 『発心集』

鎌倉時代の説話集からの出題で、内容は仏教色の濃いものでした。古文特有の価値観や物語のパターンを知らなければ解答することが難しい問題です。よって、古典常識の勉強をしっかりとしてきたかどうかが点差につながったと言えます。語句の意味に関する問題では、単純な知識の有無だけでなく、文脈から適切な解釈を導く能力が試されました。主語の判断という基本的な問いがあることからも、古文の演習を積んでいれば対処しやすい大問です。

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