筑波大学附属高校 2016年出題傾向リサーチ

英語

筑波大学附属高等学校 傾向分析 英語

例年通り、リスニング1題、長文読解総合2題、和文英訳1題の4つの大問が出されました。長文読解総合では、単に文法や知識だけではなく、読解力や思考力を必要とする問題が多く出ます。文脈を正確に読み取ったうえで、それらを活用して解答を導き出す力が問われています。2問ある日本語記述は、今年はどちらも10字以内と短いものでした。また要約文完成が出題されませんでした。大問4の和文英訳では英語に直しづらい日本語が出題されるのが特徴です。文法の正確な知識とともに、表現方法を判断する力も試されています。

1 リスニング問題:小問数5

例年通り、2人の人物の会話とそれに関する質問を聞き、4つの選択肢から正解を選ぶものでした。放送の速さは標準的ですが、対話、質問とも繰り返しがありませんので、十分に注意する必要があります。

2 物語文の読解(約970語):小問数12

貧乏になった兄弟の物語文です。文脈把握が求められる設問がほとんどでした。今年10字以内となった日本語記述は、必要な情報を過不足なく入れて簡潔にまとめられたかがポイントです。英文記述は本文中の表現で省略されている部分を補うものでした。省略されている表現は本文中からの抜き出しができますが、解答を完成させるにはさらに語句を補う必要があります。また問4と問10の空所補充は、どちらも前後の文脈や語句から判断する必要がありました。とりわけ問10は語形変化もあり、文法力と文脈把握力の両方が問われる難問でした。

3 物語文の読解(約880語):小問数11

王子と妖精の悲恋を描いた物語文です。たいていの設問は文章を順を追って読むことで答えられました。問4の日本語記述は、直前をまとめるだけでは不十分な難問でした。問3や問6はその発言がなされた場面を考慮すると正解を導き出せます。問5と問7は英文記述ですが、どちらも本文からの抜き出しで、語数が指定されています。一方で問1は、単語の知識を用いて比喩表現を具体化することが求められる、やや難しいものでした。

4 和文英訳:小問数5

例年と同じ小問数でした。対話文の発言の一部を補う形式で、英文に直しづらい日本文がよく出題されます。対話の内容を押さえたうえで、それをどのように英語で表現するかが問われています。今年は基本的な構文を用いて表現できるものがある一方、(2)や(4)の英語での書き方に難しさを感じた受験生がいたと思われます。

数学

筑波大学附属高等学校 傾向分析 数学

近年では、大問数4~5題、小問数15問前後で構成されています。設問は基本的に解答のみを記入する形式ですが、一部の設問で途中経過や説明が必要なものも含まれます。文章題、円、平面図形、空間図形などの分野が頻出で、全体的によく練り込まれた難度の高い問題が目立ちます。中でも点や図形が動く問題や複雑な文章題など、受験生が苦手にしがちなテーマからの出題が特徴的です。大問1の小問集合も基本的な問題ばかりでなく、思考力が必要な問題も含まれるため、時間配分とともに難度を見極めて解き進めることが重要です。

1 小問集合

(1)式の値、(2)確率、(3)円と角度、(4)正四角錐の切断の4問で構成された小問集合でした。(2)が他と比べてやや間違えやすいものの、時間をかけずに完答しておきたいところです。

2 資料の整理

度数分布表を考察する問題で、中央値、平均値、階級値などの知識を前提とした内容でした。難しくはないものの、解答を得るまでに状況の吟味や多少面倒な計算処理が必要なため、落ち着いて解き進めなければなりません。

3 速さの文章題

頻出の速さの文章題でした。与えられた3つの条件の理解がやや難しく、(1)から戸惑った受験生も多かったと思われます。(3)は「ガソリンの量が一定であること」に注目することがポイントでしたが、正答率もかなり低く、後回しにしたほうが得策だったと思われます。

4 関数と動点

台形の辺上を動く2点を考察する問題でした。図が与えられていないため、グラフを読み取りつつ自分で図を描いて状況を把握することが必要でした。得点差がついた大問だったと思われます。

5 平面図形

合同・相似、二等辺三角形、補助平行線、角の二等分線定理など、図形の総合的な理解を問う内容でした。(2)はどの解法を選択するかによって解答までの時間差が発生したことでしょう。

国語

筑波大学附属高等学校 傾向分析 国語

論説文と小説文という現代文2題の構成が続いています。頻出のテーマを扱った論説文や登場人物に感情移入しやすい小説文が多く、文章の理解はそれほど難しくありません。しかし「読める」ことが「解ける」ことに直結しないのが筑波大附高の国語の特徴です。記述では短めの字数制限が課されることが多く、解答の要素や表現を吟味しなければなりません。記号選択ではまぎらわしい選択肢の中からしっかりした根拠をもとに正答を選ぶ力が求められます。総じて、基本的な読解力を前提に受験生の高度な分析力を試す問題構成だと言えます。

1 村瀬学『宮崎駿の「深み」へ』

アニメ作品を例に挙げながら、人間が現実を認識する際に「物語」が及ぼす影響について述べた論説文からの出題でした。論説文で頻出のテーマである「言葉と世界との関係」にかなり近い内容であり、しっかり読解の訓練を積んできた受験生であれば、文章の大まかな内容はつかみやすかったはずです。記述が5問と多く出され、うち4問には10~40字の字数制限が課されました。書くべき内容の大まかな方向性が定まったとしても、それを解答欄に収めるためにはさらに表現を工夫する必要があり、手が止まってしまった受験生も多かったと思われます。2問の記号選択においても、まぎらわしい選択肢が含まれており、油断できませんでした。以上のように、一筋縄ではいかない問題が多い「筑波大附高らしい」大問で、得点にも差がついたと思われます。

2 三浦しをん『舟を編む』

辞書の作成に携わる二人の編集者のやりとりを描いた小説文からの出題でした。全10問のうち、記述2問を除いてすべて記号選択形式でした。うち2問は語句の意味を答えるものでしたが、例年通り単なる知識力ではなく、文脈から意味を類推する能力が試されました。残りの6問については、物語の展開を丁寧に読めていれば難なく解答できるもののほか、すべての選択肢をきちんと検討しなければ誤った選択肢に誘導されかねない問題もありました。2問の記述についてはいずれも文章の広い範囲に目を配る必要がありましたが、答えるべき内容に気づくこと自体は難しくありませんでした。全体的に丁寧さが求められる設問構成であり、地道な解き方を徹底できた受験生であれば高得点を狙える大問でした。

理科

筑波大学附属高等学校 傾向分析 理科

2015年入試では物理、化学、生物分野がそれぞれ2題ずつ、地学分野が1題の全7題の構成となっていましたが、2016年入試では2014年入試までと同じく、各分野2題ずつ全8題の出題でした。ほかの国立大附校と同様に、作図や記述、複数解答の選択問題が例年みられます。また、やや細かい知識や分析力・思考力を必要とする構成が続いていましたが、2016年入試では細かい知識を確認する問題の割合は減り、分析力・思考力を問う傾向が強まっています。

1 地質(地学)

地層、岩石、化石についての基礎~標準レベルの問題でした。(1)以外は、典型的な問題だったので、落ち着いて解答する必要がありました。

2 気体(化学)

得られたデータについて分析・考察する問題でした。解答するための数値を正確に抽出する必要があるうえに、2016年の入試問題の中では数値が細かく、計算量が多いため、注意深く解き進めることが求められました。

3 生殖、遺伝(生物)

カエルの生殖、遺伝に関する基礎レベルの問題で、全問正解したいところです。(4)は問題文をしっかり読んでいれば、対応できたでしょう。

4 電流(物理)

LEDの性質を実験結果から考察する問題でした。電流の単元のなかでは近年頻出のテーマで、過去の筑波大附高の入試問題でも同様のテーマが取り上げられていたため、十分に対策をした受験生にとっては解きやすい大問でした。

5 天気(地学)

日本付近での前線を伴った低気圧に関する基本的な内容の問題でした。取りこぼしなく、短時間で処理したいところです。

6 中和(化学)

中和反応について分析・考察する問題でした。中和による発熱反応を扱った問題の演習量で、得点差がついたでしょう。

7 植物(生物)

植物に関する幅広い知識を確かめる問題でした。典型的な問題だったので、丁寧に解き進めたいところです。(2)③は注意して選択肢を吟味する必要がありました。

8 力(物理)

おもりとばねを用いた実験に関する問題でした。ばねをつないだおもりを水中に沈め、ばねの様子についてまとめる実験は頻出なので、確実に理解しておきたいところです。(3)以降は力の合成・分解について正確な理解が求められました。

社会

筑波大学附属高等学校 傾向分析 社会

毎年、地理・歴史・公民の3分野がバランスよく出題されます。今年は昨年出題されなかった図法や地形図に関するものが出題され、定番の形式に戻りました。求められる知識量は決して多くなく、出題される内容は教科書に記載されているものがほとんどです。しかし、知識を運用する力や知識をもとにした分析力がさまざまな形式で試されるため、時間をかけた入念な対策が必要とされます。また、独特な出題形式のものが多く、ある程度傾向が安定しているため、過去の入試問題を十分に研究しておくことも大切です。

1 世界地理(図法・北アメリカ)

北アメリカの地誌とメルカトル図法・正距方位図法を用いた出題でした。図法の異なる2つの地図を見比べて答える問題は珍しいものでしたが、難度は標準的でした。

2 日本地理(地形図・気候・畜産)

地形図や統計を題材とした問題でした。与えられた設問条件をしっかりと読み取り、出題の意図をくみ取らなければ正解できない難度の高いものもありました。

3 日本史

史料と写真を題材とした出題でした。例年通り多くの受験生にとって初めて見るような史料が多かったものの、史料や問題文に多くのヒントが隠されていたため、答えやすい問題でした。

4 日本史・世界史

資料・年表を用いた出題でした。資料が何を表しているかを判断する力と、年代を判断する力が必要でした。

5 政治

国際連合と選挙に関する問題でした。選挙、とりわけ一票の格差に関する問題は近年、さまざまな難関校での出題が目立つため、多くの受験生にとって対策を講じていれば解答は容易であったと思われます。

6 経済

経済分野から幅広く出題されました。頻出の需要・供給曲線は基本的な内容でした。文章の正誤を判断する問題は例年よりも論点が細かく、深い知識が試されるものでした。

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