[2016 高校受験 保護者体験記]「扉を開けよう! 〜地方生へのエール〜」折井 恭子さん(開成高校進学・母より)

「俺、東京の高校に興味あるんだ」中2の春休み直前の息子の一言で我が家の1年は一変した。間近で息子を見てきた私は、彼が自分の手元にいる子でないことは幼少期から感じていたし彼の言葉に寧ろ納得したのだが、それまで首都圏高校受験など考えた事もなく、そこから急遽エンジン全開で情報収集し、唯一あった宿泊施設付の春期講習に滑り込んだのが息子の塾初体験となった。高度な授業は彼が切望した学びへの欲求を満たし彼の人生の大きな転機となったが、9日間余っ程頑張ったのだろう。帰りのあずさの車中で息子は39度の熱を出し、一晩ぐっすり寝て入りっぱなしだったスイッチを漸く切る事が出来た後解熱した。
 
SAPIX入室の決め手は息子の希望と偶然目にしたある保護者の手記だった。私は進学塾への通塾には懐疑的だったが、その方の人生に対する考え方に共感し彼女が信頼する先生方なら信頼できるかもしれないと思えた。SAPIX主催の開成入試説明会で垣間見た室長先生のお人柄も安心感につながった。東京まで特急で三時間余。受講は土曜日のみ。欠席分の授業は自習だったが、息子は必死で授業を聞き難問に頭を捻る刺激的な世界がいたく新鮮だったようで、週1回の授業を心から楽しんでいた。
 
地方から首都圏を志す生徒は、総じて学習への高い意識と意欲を持っている。けれど都会の塾の授業は日帰りは出来ず、週1回の授業への参加も学校の登校時間の調整が必要になる。当初は授業の予定に合わせてホテルを予約していたが、息子の頑張る姿をみて腹をくくり塾近くに現地での生活拠点となる部屋を借りた。これは大正解で息子も私も安心してくつろげ、受験を頑張りぬくenergenの一つとなったように思う。
 
受験生活で息子が一番苦労したのは学校生活とSAPIXとの両立で、必死で努力して自分のペースが出来てくると行事もろもろで停滞することを繰り返す日々は本当にしんどかったと思うが、友達との語らいやSAPIXの存在、開成で高校生活を送りたいという強い思いを原動力に頑張り抜く中で、精神的にとても逞しくなったように思う。
 
親にできたのは環境整備と体調栄養管理、中学担任への首都圏受験に対する理解と協力のお願いの3点。息子にとってはキムチ鍋が受験期を支えてくれた食べ物だったそうだ。私自身は最難関未知の世界での受験でゴールに対する現在地が見えなかったが、SAPIXの先生方や先輩保護者の支えと目の前で真摯に努力し続ける息子を信じられたことで、受験の伴走生活は意外と穏やかなものだった。積み重ねた日々を基に当日に向けて完成させていくまでの1月からの息子の圧倒的な勢いにはSAPIXで鍛えられた大きな力を実感し、「この子はきっと合格する」と確信できた。
 
受験を終え、送別会での指揮練習をする息子の姿にSAPIXでの夏が蘇る。「その経験で成長することができるからやった方がいい」学園祭の指揮者に立候補するかどうかで迷う息子に先生がかけてくれた言葉だ。こんな先生方の下で、新生活の足場を築かせてもらえたことを心から幸せだと思う。地方生には確かにハンディもあるが、支えてくれる人たちもいる。志を持つ生徒が一人でも多く扉を開けることを願っている。

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