2015年 神奈川県立湘南高・横浜翠嵐高 特色検査 出題分析【速報】

神奈川県立湘南高の特色検査は、過去2年、4題の大問にそれぞれ小問が3~5問ずつで構成されています。全体で17問が出題され、時間に余裕はありません。それぞれの小問については、国語や英語、数学だけでなく、理科、社会、美術や家庭科などの知識を使う問題が出されていて、教科横断型の出題です。日頃の学習において常に問題意識を持ち、苦手な教科や範囲を作らない、総合的な学習が必要とされます。

問1

日本語の様々な表現についての課題文からの出題でした。5問の小問中、空欄補充を含めた記号選択問題3問、20字以内の記述が1問、12語以内の英作文が1問の出題となっていました。課題文で説明されている内容を理解できていれば、きちんと得点を重ねることのできる問題でしたが、英作文については、くだけた会話表現を「言いたい内容が伝わるように」英訳する必要があり、苦労した受験生もいたと思われます。

問2

立方体の組み合わせの問題、光の屈折の問題、遠近法の問題が出されていました。小問ごとに出題される科目が違うため、戸惑ってしまった受験生もいたと思われますが、それぞれの問題をきちんと考えていけば、対応できたものばかりでした。多くの知識を身につけるのではなく、その場で与えられた図形、グラフ、説明文を踏まえて取り組んでいく対応力が求められました。

問3

【A】エネルギー、【B】フードマイレージ、【C】家畜を育てるために必要な飼料、という環境問題に関わる3つの文章や資料からの出題でした。解答欄に計算過程を書くことが必要であったり、2つの課題文の内容を踏まえて100字以内で答える記述問題があったりと、論理的な思考を必要とする問題が出されており、そのうえで、自分の考えを表現する力が試されていました。

問4

数学のパズルについて考えている2人の会話文からの出題でした。登場人物の考え方に沿ってパズルの法則を理解し、さらに自分でもパズルを完成させる必要があり、問題処理の正確さ、速さが求められていました。

神奈川県立横浜翠嵐高の特色検査は過去2年、大問2題の構成で、それぞれの大問について小問が5問程度出題される形式です。2013年、2014年は小問が合計9問出題されていましたが、2015年は合計12問に出題数が増え、昨年までと比べて、より一層時間がタイトになりました。それぞれの小問は、英語、数学、国語、理科、社会に関する問題がほとんどですが、中学校では習っていない事項をその場で理解しなければ解けない出題もありますので、取り組みやすい問題を見極める力が必要です。

課題1

自然について学ぶことができる公園「ジオパーク」について書かれた文章を引用しながら、日本の自然環境について述べた課題文からの出題でした。4問の小問は英語、数学、国語、理科に関する内容でしたが、英文の空欄を5語以上15語以内で補充する英作文、途中経過を書くことが求められた数学の記述問題、課題文を参考にしながら20字以上40字以内の日本語で記述する問題などが出題され、受験生には高い記述力が求められていました。また、課題文や図を丁寧に読み取り、正解への手がかりを確実に見つけていかなければ正解にたどり着けない問題が多いことも特徴でした。難度は高く、取り組みやすそうな問題と取り組みにくそうな問題の見極めができたかどうかがポイントです。それぞれの問題を手際よく解いていかないと大幅に時間がかかってしまう可能性がある大問でした。

課題2

「シンプル」という概念について、歴史的な観点から述べた課題文を読み取って、それぞれの小問に答える問題でした。今回の課題文、原研哉『日本のデザイン』は2012年に筑駒高・灘高でも出題されたものであり、さらに原研哉の著作が2009年東京大学に出題されたことから、現代文の頻出テーマについて学習しておくことが大切だとわかります。
小問数は4問で、英語、数学、理科、社会に関する出題でした。昨年出題された、表を読み取ってある物事の理由を複数挙げる社会の問題が、今年も出題されていましたが、これらの難度は標準的で、それほど時間をかけずに確実に得点しておきたいところです。一方、複数の手順に沿って考えていく数学の問題や、図を見て、それと同様の具体例を複数挙げる理科の問題は、受験生が苦しんだと思われます。こちらの大問も高い難度でした。

神奈川県横浜翠嵐高の特色検査は、2013年の実施初年度以降、制限時間内にすべての問題を解ききることが難しい出題が続いていましたが、今年は前年までの出題と比べるとやや時間に余裕があったかもしれません。しかし、取り組みやすそうな問題とそうではない問題を見極め、時間配分に気をつけながら解かないと合格点までは到達できなかったと思われます。中でも、英語の選択肢による内容一致問題は例年出題されており、難度も標準的なので、こういった問題で確実に得点を重ねていくことが重要です。横浜翠嵐高の特色検査では、問題とは別に、課題文中に出てくる英単語の意味が書かれた「単語集」が配付されますが、課題文の中の単語と「単語集」を見比べている時間的余裕はありません。つまり、英語に関わる部分では、「単語集」をほとんど必要としない程度の英語力を身につけておく必要があります。

なお、上述の内容一致問題以外は全て記述問題であり、受験生には高い記述力が要求されています。日頃から添削を受けるなどして、確かな記述力を身につけていくことを心がけましょう。

次に、特徴的な問題を取り上げてみます。

【課題2】(設問2)

大学の理工系学部の初年度に物理(力学)で学習する「角運動量保存の法則」に関する出題です。2013年、2014年は高校物理で学習する内容を、中学生向けに再構成した問題が出されていて、その傾向を踏襲したものです。しかし、2013年、2014年の問題が文章の記述だったのに対して、2015年は、具体例を短文で示す問題と、文字式の計算を行う問題でした。また、2014年までは、中学生が初めて見るような内容を題材として取り上げ、予備知識に関係なく理解力、分析力、思考力をはかる問題だったのに対して、今回の具体例を示す問題は、ある程度の予備知識なしで正解するのは難しく、やや異なる傾向の問題でした。計算問題は、少し解きにくくはあるものの、基礎的な内容でした。

神奈川県立湘南高の特色検査は、読解力と数的処理の正確さ、速さが要求される問題が多いといえます。もちろん、その中には例年通り、考えさせる問題、作業が必要な問題も含まれていますので、時間配分に気をつける必要があります。

今後もさまざまな教科の問題が出されると予想されますので、苦手な教科を作らず、さらに、日頃からいろいろなことに問題意識を持って生活していくことが、高得点を取るための対策といえるでしょう。また、60分という制限時間の中で素早く問題を解いていくためには、計算力を高めておく必要があります。問題演習では常に制限時間を意識し、効率的に取り組むようにするとよいでしょう。

次に、特徴的な問題を取り上げます。

問4(イ)

会話形式での数学的パズルのような問題で、全5問中、2問目の(イ)が解けるかどうかが、得点差につながったと思われます。パズルは、○と□が交互に、円を描くように並べられたもので、その中に1から順に数字を入れていくのですが、□には、両側の2つの○の合計が入るという決まりになっています。2問目の(イ)では、○が5つ、□が5つ並べられていました。

この問題を解くポイントは「文字でおくことによる一般化」です。

この問題の場合、○に入る数字を、abcdeとおいて一般化してみることが重要です。

すると、その間の□に入る数字は、aから時計回りに、
abbccddeea
となります。会話文では1から10の和が55であることが議論されているので、○と□に入っている10個の数字の和を考えると、
3(abcde)
となるため、和が必ず3の倍数になることを示すことができます。

すなわち、55という数は3で割り切れない数のため、条件にあったパズルを作ることはできないことが説明されました。

このように数学において、物事を示す際に「文字でおくことによる一般化」は非常に有効であることが多くあります。

神奈川県横浜翠嵐高・湘南高の特色検査では、ほぼ全ての問題が主要5教科(英語・数学・国語・理科・社会)に関する教科横断的なものです。内容は、既習内容のいくつかを手がかりにしながら正解にたどり着くことができるようなものもありますが、受験生が受験会場で初めて目にするものも少なくありません。また、高校範囲や、場合によっては大学範囲の内容も出題されることもあります。しかし、そうした問題には説明や図表などが与えられています。そこでポイントになるのは、その場で与えられた情報をきちんと理解し、活用する力です。自分の知っている範囲のことだけから考えるのではなく、問題解決のために必要な情報を取り入れ、それを活用し、目の前の問題に取り組むことができる力が必要です。これは、現代の情報化社会において、情報リテラシーをもとに適切な自分なりの「答え」を見つけることのできる生徒を求めている、という高校側のメッセージの表れともいえます。

特色検査に対応する力は一朝一夕では身につかず、日々の学習の積み重ねで養成されます。学習した知識をただ覚えていくだけではなく、自らが主体的に問題に取り組み、新たな問いを見出し、さらにそれを解決していくことも求められます。そのためには、常に根本を理解しようという「思考力」、さらにはそれを他者にわかりやすく伝えていく「表現力」を鍛えていくことが必要でしょう。

その他の問題分析、対策について、3月8日()に行われる高校入試分析会(国私立難関高・神奈川県立トップ高)でより詳しくご説明いたします。

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